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2024.11.17

宮崎県 木城町からの視察 〜日本の未来とイノシシさん対策と

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2024年11月彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

この日は、宮崎県木城町から農家の方々と町役場の方がおいでになりました。

 

・食肉加工場・ジビエファーム

・箱罠見学

・意見交換会

3部をぎゅぎゅっと2時間コースの視察でした。

 

山が9割の木城町、対策はすすめてきた

町の9割が山という木城町、100ha分の畑をイノシシさん対策として柵で囲んでいるそうです。まさに「人が柵の中で仕事している状態」だとおっしゃっていました。

対策は地区のメンバーで自主的におこなってきました。狩猟免許を持っている方は、来られた4人中2人。みどり会という組織を組んで、箱罠をメンバーに配布し各々捕獲するスタイルで対策しています。

そういうわけで皆さんご経験と知識は豊富なようでした。

それでも、今の課題は「個人の守りではもう追いつかない」。危機感を募らせ、こうして視察においでになったということでした。

 

 

 

邪魔者だとしか思ってこなかった

 

 

農家が集まって、「農家が地域を守るために鳥獣対策していこう!」と始まった農家ハンターの活動。しばらくは捕獲したイノシシさんを埋設していたけれど、捕獲頭数が多くなり、いよいよどうするかという課題に直面した時に出した答えが、食肉加工場をつくるということでした。そして食肉加工場建設のための融資を受けるため、株式会社イノPを立ち上げました。今は、ジビエだけでなく堆肥・革製品・動物園の肉食動物にイノシシさんを提供する屠体給餌などで利活用し、そして各地域でセミナーなどの鳥獣対策サポートを行っています。農家ハンターがこれまでやってきたのは、「命を無駄にしたくない」という思いが軸にあるからです。

 

この一連の流れを井上くんがさくっと説明したとき、参加された方の
「自分たちは邪魔者として思ってなかった。たまたま獲れたらもったいないから捌いて食べるか、というくらいで…」という小さな声を聞きました。

 

稲作物を作っているという方は「田んぼにシカやイノシシが入ってくる。イノシシが畑に入ったら、稲が絡み合ってコンバインも通りにくい。収穫量が減るだけでなく、収穫の手間も大きくなる。」と話してくれました。

 

被害のある農家の方は、大切な農作物を食べられる・農地を荒らされる だけでなく、その対策に知恵や時間、労力、お金を使います。
そうしてせっかく張った柵がやぶられるとイタチごっこのような気分になって、そりゃあ腹も立つでしょうし嫌にもなるのではないかと思います。家に入ってくるアリにだって手を焼くわたしとしては、この状況に対峙する方が野生動物に向かって「もうあいつら嫌い!」となっても全然不思議ではないです。

 

でも、もしそんな”邪魔者”を、地域の宝にすることができたらば、それはやっぱり全国の希望になるのだとじんわり思います。だからこそ農家ハンターは全国のロールモデルになろうとしているのだと、応援団のわたしは思っています。

 

箱罠を前に

箱罠は数万円するものだし1人で設置するのは難しいです。木城町で取り入れている、組織で買って個人が管理というスタイルはいいなと思いました。

 

イノシシが入る罠と入らない罠の違い、イノシシにとって音はどうか光はどうかといった質問がありました。

 

イノシシさんは足元にも敏感なので、必ず土や葉で網目を覆います。また、一気に捕獲するというよりは、足跡からウリ坊がいるのか大人だけなのかなどを予測します。大人は慎重なのでなかなか箱罠の奥まで入ることはしません。なので、日にちをかけて箱罠の外からじわじわと奥の方まで餌を置くようにすると、少しずつ警戒心が解けて奥まで入るようになります。駆け引きです。

 

 

 

 

 

そんなときに理解と対策をすぱぱっと早くできるのがカメラですね。でもカメラも高いですからどこでも導入できるわけではありません。カメラがなくても観察していくことで見えていきます。

 

自分ごとになる1ステップ

 

 

意見交換会では、木城町の地図を見て、「ここに果樹園がある」「ここは柵を張っている」、「ここから来てるんじゃないか」「ここはよく出るんじゃないですか」とイノシシさんの動きや対策の状況を俯瞰して考えてみました。

対策をしっかりしている木城町、今後どうしていきたいかを自分たちで考えることが大切だとたっちゃんから話がありました。

自分たちが自分たちの集落をどうしたいのか話し合って決めることは、【自分ごと】となっていく1ステップです。

「やるのは自分たち。住民がやれるような仕組みをつくるのが行政」だとたっちゃんは言います。

 

 

高齢化と鳥獣対策

木城町では、高齢化も鳥獣対策に影響があっています。
これまで、「自分の畑は自分で守る」として、それぞれが対策をしてきたが、高齢化でそれがままならなくなってきている。

対策のできない畑があることで、他の農地に影響が出ているということです。

これは木城町に限ったことではなく他の多くの地域でも同じことが起こっていると思います。今は問題でないところも、近い将来同じ課題を抱える地域は増えていくでしょう。

ということで、「管理しやすい農地づくり」「鳥獣対策ありきの農地づくり」が必要になってきます。例えば、草刈りしやすい状態にして柵を張るなど。高齢化と鳥獣対策の必要性は同じように右肩上がりになっていくため、《地域ぐるみで》が大きなキーワードになっていくかもしれません。

 

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