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2025.08.10

阿蘇市で通電シートと電気柵設置!イノシシ被害を防ぐ現場レポート

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2025年8月、彼らの現場で見て感じた事をレポートします。

 

阿蘇市のある地区にて、840mの通電シート(電線が織り込まれた防草シート)と電気柵を設置しました。
作業には地域の方約20名が参加。イノPからは稲葉たっちゃんと、特定地域づくり協定のメンバー・井手くん、JICAグローカルプログラムで研修に来ている竹村くん、橋本くんも加わりました。

当日の様子をお届けします!

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【レポートのポイント】
▶︎通電シートを設置
▶︎電気柵の支柱を設置
▶︎電気柵の電線張り
▶︎電気柵の電源装置の設置

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美しいカルデラでの早朝作業

阿蘇の美しいカルデラの中、夏の早朝に作業が始まりました。
地域の方によれば、すでにイノシシは出没しているとのこと。
まだ稲は食べられるほど実っていませんが、各所で足跡が見つかっています。山や川から、イノシシは静かに近づいてきているのです。

稲穂が実る前に、そしてイノシシが活発に動き出す前に——早めの対策が必要です。

 

 

 

 

① 通電シートを設置

まず通電シートを敷きます。
コンクリートから少し離すと通電効果が高まります。
位置を決めたら、杭で固定します。

場所のあたりをつけたら、杭で留めます。

 

 

杭を打ち込むのは難しくないですが、場所によっては地中が固く杭が入り込みませんでした。そんな場合はバール等を使って穴を掘ります。

 

 

② 電気柵の支柱を設置

杭を打ち終わったら、次は電気柵の支柱を打ち込みます。

 

 

 

③ 電気柵の電線張り

支柱を打ち込んだら、電線を張ります。今回はイノシシ対策のため、地面から20cm、40cmのところに2本設置します。
上から張ると2本ともたわまずにピンとなります。

 

 

 

井手くんも立派な戦力です!

 

人数が多い分、作業は順調に進みます。

 

こういうところは、見回りや草刈りの頻度がどうしても低くなりがちです。通電シートは価格が高めなので予算に合わせて部分的に利用するのもすすめています。

 

通電シートは、電線が織り込まれていることもあり価格は安くありません。草刈りがしづらいところなどで部分的に使用することも◎です。

 

電線の接続は結ぶだけでも可能ですが、通電効率を高めるため、電線の被覆をはがして直接結びました。ライターも現場で活躍です。

 

張り終えたら、地面からの高さが20cm・40cmになっているか確認します。これは効果的な防護のための重要なチェックポイントです。

 

④ 電気柵の電源装置の設置

 

最後に電気柵の電源装置を設置します。
管理者が操作しやすく、かつ動物や人が触れにくい場所が望ましいです。電気柵の内側に設置するのが良いそうです。

 

 

近くには子どもも住んでいて、今回、子どもたちがよく走り回っているところに電柵が設置されました。集落の方々は安全のため周知活動を行うことを話し合っていました。

 

 

写真では見えないところまで総延長840m。
シート敷き、杭打ち、ポール配り、高さ調整、電線張り。
大勢で取り組んだので4時間で終えました。暑かった〜!

 

大変お疲れさまでした!

 

 

先日、ソラシドエアさんと電気柵を張った経験から、若手3人も立派な戦力となっていました。

 

 

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2025.07.24

野生動物にとっての渋谷?水俣市の鳥獣被害と対策の実態

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2025年7月、彼らの現場で見て感じたことをレポートします。


水俣市で鳥獣対策のセミナーが行われました。県・市・林業組合・イノP、そこに水俣・津奈木地域の農家の方が集いました。

稲葉たっちゃんは、座学に加え、ワイヤーメッシュ柵を設置した圃場での現地研修を担当しました。

今回はその研修現場の様子と、会場近辺で行ったの鳥獣被害対策の調査をレポートします!

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【レポートのポイント】
▶︎行政・林業・農業が連携して挑む鳥獣害対策
▶︎防護柵:ワイヤーメッシュ柵設置の現場
▶︎水俣市における鳥獣被害・対策状況の実態調査

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行政・林業・農業が連携して挑む鳥獣害対策

水俣市東部センター葛彩館にて、「芦北地域における広域的な鳥獣被害防止対策に係る研究会」が開催されました。

水俣・芦北地域から農家35名、行政関係者25名が参加しました。

有害鳥獣対策は、一部だけで完結するものではなく、県・市区町村・林業・農業・民間が連携して取り組むのが望ましい課題です。というよりも、誰もが無関係ではいられない問題です。

水俣地域ではイノシシとシカによる被害が深刻で、令和5年度の被害額は約6,000万円にのぼります。被害の95%が果樹で、そのうち52%に樹体被害がありました。
令和6年のシカの捕獲数は4,200頭と、年々増加しています。

「隣には動物がいる」──そんな環境で農業を営む方も少なくありません。

 

 

林業関係の方から狩猟免許取得の声掛けもありました。
免許更新の折に、特に高齢の方はもう更新しないという声もあがってきます。高齢者へ更新の呼びかけだけでなく、若手への声かけも必要だと力強く話されていました。

 

ワイヤーメッシュ柵設置の現場へ

ワイヤーメッシュ柵がずらっと張ってある圃場へ行きました。

 

お米を植えてすぐに食べられてしまい、困っていたと地域の方が言いました。

イノシシもシカも訪れる水俣は、動物さんの渋谷のような場所と言えるかもしれません。

 

 

 

この圃場では、柵と、動物による掘り返しを防止する“スカート部分”を組み合わせて設置してありました。

 

 

農家ハンターはこのスカート部分を強く推奨しています。

地形の段差やわずかな隙間があると、動物たちは粘り強く掘り返して侵入してしまいますが、このスカートがあれば難易度が上がり、侵入を抑える効果があります。

さらに効果を高めるには、このスカート部分を畑の外側にもっと広く張り出してもよかった、とのアドバイスもありました。

この地域には現在、狩猟免許を持つ人がいないそうです。
特にシカ被害は災害リスクにも直結するため、地域内での相談と連携が必要だとたっちゃんは強調していました。

この地域には狩猟免許を持った人がいないそうです。
とくにシカ害は災害の被害に直結するため、たっちゃんは地域で相談していくことを勧めました。

 

町をぶらり現地調査へ

 

「耕作放棄地が増えてる!」

と、車道を走りながらたっちゃんは小さく叫びました。2,3年前よりも増えている印象だそうです。
わたしにはただの茂みと耕作放棄地の耕作放棄地の違いがはっきり分かりません。でも、たっちゃんは一目で見分けられます。

 

 

現役の畑の隣が耕作放棄地となると、やがて茂みに変わり、動物の潜み場になってしまいます。

高齢化・過疎化・耕作放棄地の増加──これらの要因が重なることで、農業や鳥獣対策にとっては好ましくない結果をもたらします。

高齢化・過疎化・耕作放棄地 の組み合わせは、農業や鳥獣対策には望ましくない結果になります。

 

見えてきた日本の里山のつくりと 災害

日本の里山集落は、山のすそに民家があり、その前の開けた日当たりの良い場所に畑や田んぼが広がっています。

 

イノシシは作物を食べるだけですが、水俣市で深刻化しているシカの被害は、食害にとどまらず土砂災害にまで及びます。

シカは樹皮を食べて木を枯らし(人間の帯状疱疹のように、樹皮を一周食べられると木は死んでしまいます)、
さらに下草を食べ尽くし、新芽が育ちません。根が張らず、土壌に土をとどめる力がなくなり、大雨の際に土砂崩れが発生する──という悪循環が起こります。

この構造を考えると、土砂崩れによる最初の被害は、山すその民家や住民に及ぶことになります。

 

シカは、農地を守るだけでは減らせない。捕獲しなければ個体数は減らないのが悩ましいです。

狩猟免許保持者がいなければ捕獲もできないため、狩猟免許取得を促進するのです。

 

集落でも、シカが木を食べた跡が分かる【ディア ライン 】も確認できました。

 

 

家にシカがたくさん来ることが見える防護柵です。

 

水俣に取材にお邪魔したのは初めてでしたが、県南のシカ害の深刻さが伝わってきました。

 

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2025.06.27

【南小国町 田尻轟地区】箱罠とカメラを設置!

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!

2025年6月彼らの現場で見て感じた事をレポートいたします。


南小国町の田尻轟地区で、箱罠カメラを設置しました。

もともとこのエリアの山の中には、たっちゃんと一緒に設置した箱罠がありましたが、イノシシさんのオフシーズンのため捕獲には至っていませんでした。そこでカメラ設置の依頼を受け、この日稲葉たっちゃんとお邪魔しました。行ってみると、箱罠は約2週間前、田んぼや畑に囲まれた池近く移動されたそうでした。しかし、現場を確認したところ、箱罠の設置場所としてはやや難があることが分かりました。
カメラ設置までの動きをレポートします。


【レポートのポイント】

▶︎箱罠とカメラを新たに設置
▶︎柵の内側から山中へ移動して再配置
▶︎設置は地域住民の皆さんで。
▶︎タイミングを見据えた捕獲活動


柵の中に侵入するイノシシの足跡

今回の設置場所は、地元の方々が知恵を凝らして設置した、メッシュ柵(山側)と電気柵(川側) の内側。にもかかわらず、柵の中にイノシシが侵入したとみられる形跡がありました。土手は掘り返され、田んぼの中にはイノシシの足跡、さらにはアライグマと思われる足跡まで。ここ最近は人の田植えなど人の動きがあったため、イノシシが警戒して気配が薄れていたようですが、活動を再開した様子です。

 

しかし、人間の生活圏(畑の隣など)への箱罠設置は適切ではないとの判断から、その場所でのカメラ設置は見送ることにしました。捕獲に至ったとしても、他のイノシシが農作物を食べに来るリスクが高まるためです。人間の生活圏で捕獲することは、「人間のところまで出ておいで」というメッセージになってしまいます。

新たな設置場所は柵の外、山の中へ

そこで、話し合いの上、柵の外にある山の中へ移設することを決定。設置作業は地域の方々の人手と知恵でスムーズに行いました。切り倒された木々を整理し、地面を平らにしながら箱罠を設置しました。特に注意したのは、メッシュ部分がイノシシの足に触れないようにたっぷりと土をかけること。イノシシはメッシュが蹄にはまるのをとても嫌がりますから、これはイノシシが警戒しないための重要なポイントです。

 

 

 

 

 

カメラ第1号を設置!

今回の作業では、田尻轟地区初のカメラを導入。たっちゃんが準備してくれたカメラは、今後のイノシシの動向を把握するための大切なツールです。カメラの設置はスムーズに進み、全体の作業時間は約50分ほどでした。

 

カメラの設置場所は、箱罠の入り口の反対側、かつ距離感が掴めるように斜めにするのが望ましいです。イノシシさんは警戒心が強いため、箱罠に入ろうとしたときに目の前から赤外線のライトが見えないようにします。

 

餌は柑橘と米ぬかを使用

罠には米ぬかと落ちていた柑橘類を使用。特に米ぬかは、罠の中だけでなく出入り口、10mほど離れた場所にも撒き、イノシシをうまく誘導できるよう工夫しました。今後、カメラで記録された写真はイノPへ送信され、地域のグループLINEに情報共有します。

捕獲はこれからが本番の季節!

7月以降はイノシシの活動が活発になる季節。たっちゃんの見解では、この時期を逃すのは非常にもったいないとのこと。捕獲の成果は、地域住民のノウハウ蓄積や、自信にもつながっていきます。

ちなみに、以前設置していた池のそばの箱罠では、箱罠よりもくくり罠の方が効果的だというたっちゃんのアドバイスがありました。箱罠は呼び寄せるやり方なので設置には向きませんが、特定の個体を狙って仕留めるくくり罠は選択として◎です。

鹿の気配もあり

さらに、設置場所ではシカの痕跡も確認されました。木の皮がめくれている箇所があり、これはシカによるものだろうとのこと。これから夏にかけて、捕獲頭数が増える季節に突入します。今後の成果に期待が高まります。

この日、阿蘇ではシカに見守られて帰路につきました。

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2025.06.13

農水省職員がプライベート研修に!ジビエ・害獣対策のリアル

こんにちは!農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです。
2025年6月、農林水産省の職員の方々が、プライベートで研修にお越しくださいました。今回は、その現場でのやりとりや学びをレポートします!

この日お越しくださったのは、農林水産省よりお3方。

  • 九州農政局  谷川 智雄さん

  • 九州農政局  玉城 寛人さん

  • 本省鳥獣対策室 佐藤 駿悟さん(東京から!)

仕組みを作る側、日本の鳥獣対策の“ど真ん中”にいる皆さんです!

 


【レポートのポイント】
▶︎三角町の鳥獣被害対策
▶︎ジビエファーム・解体施設運営のリアル
▶︎狩猟文化の有無
▶︎箱罠の選び方と注意点
▶︎柵設置のコツ
▶︎イノシシパウダー化マシーン
▶︎まとめ


 

2024年度は、全国的に捕獲頭数が多かったそうです。農家ハンターの本拠地・宇城市三角町の2024年度のイノシシさん捕獲頭数は1016頭と過去イチです。

三角町の鳥獣被害対策

狩猟文化の有無

三角ではもともと捕獲文化がなく捕獲技術を持った人が地域にいませんでした。
農家ハンターに当初から多大なご協力をしてくださっている大師匠・山本さんが三角じゅうを回っていて、それを引き継ぐように稲葉たっちゃんと井上くんが取り組んできました。

それから時間をかけ、住民自身が捕獲できるように技術を共有してきました。

いろんな地域で話を聞くと、もともと狩猟文化があるところは動物がいる環境も食すのも当たり前でした。対策に従事する人もいて、そこまで困っていない印象があるそうです。

 

狙いは動物たちの「絶滅」ではなく、「山から人里への出没数を減らす」こと。
“濃くなった部分を薄める”という感覚が大切です。

 

解体施設運営のリアル

 

 

捕獲頭数が左右する運営の難しさ

ジビエの解体処理施設であるジビエファームは、農家ハンターから生まれた株式会社イノPが運営しています。この解体施設をつくる費用を確保するために会社を立ち上げて今に至ります。実際にやってみて、直面した課題がいくつかあります。

  • 季節によって変動する捕獲数

  • 売れる肉と売れない肉の差

  • 味と品質の維持

  • 食肉にならない部位(残渣)の処理先の確保

残渣の処理は、どこが引き受けてくれるかは自治体によってまちまち……
家畜ではないのと民間施設の解体処理施設であることから処理先の確保が一筋縄ではいかず非常に大変だったようです。

 

捕獲が増えると、「命を無駄にしたくない」という想いから、解体施設の設置やジビエ利活用をする動きが出てきます。
命を無駄にしたくないという思いの表れだと思います。

しかしこれまでの経験から、有効活用・利活用したい気持ちは重々わかるものの解体施設をつくるのは慎重に、と稲葉たっちゃんは普段から伝えています。

 

ジビエ活用までのおすすめフロー

ジビエ活用までのおすすめフローはこちらです。

減溶化設備を整える(イノシシさんを5時間でパウダー状にします。堆肥としての活用を検討中)

どのくらい、どんな個体が捕獲されるかを知る

解体施設をつくっても採算取れるか?
肉の取引先はあるか?
残渣はどこが引き取ってくれるか?
人的経済的に運営できるか? を検討

見通しがたてば解体施設をつくる

 

現場で見た!箱罠の選び方と注意点 

箱罠には多様な種類がありますが、重要なのは「どんな個体を捕獲したいか」によって適切なタイプを選ぶこと。

  • 感度が高すぎるとウリ坊だけがかかって親を逃してしまう

  • 取り逃がした親は二度と罠にかからないことも

「獲りたい個体に合わせた罠選び」が捕獲率を高めます。

止め刺しと電気ショッカーの選択肢

現場での精神的負担と対策

止め刺しの道具、電気ショッカーも実際に持っていただきました。

 

捕獲にかかる最大のハードルが止め刺し。
狩猟とは違い、有害鳥獣対策のために捕獲する人は「獲らなくていいなら獲りたくない殺したくない」という思いを持つことが多いです。精神的ストレスが大きいため、止め刺しの方法は負担が小さいことが重要です。槍をつかうところも多いですが簡単ではありません。そして心身ともにすり減ってしまうという経験をたっちゃんも井上くんもしてきています。

空気銃は人間にも動物にもストレスがありません。が、銃を持つのは簡単ではないので、やはり電気ショッカーが扱いやすいです。

手作りする人もいますが、それだと電気が流れていることが分からなかったりしてヒヤリハットが多いため、安全面に配慮されたものを購入することをおすすめしています。

 

柵設置のコツ:メッシュ柵と金網柵

メッシュ柵の設置方法

メッシュ柵は害獣対策をしている地域ではどこでも見かけます。ブログでも何度か取り上げていますが、その向きは裏表が逆になっていることも多く、どうやら納品の仕方に原因があるようです!
納品時、表・裏・表・裏とたがいちがいに重ねてあるそうです。重ねてある通りに設置すれば、たがいちがいの柵になってしまうというわけです。

「納品の仕方を変えてもらったらいいのでは……」とわたしは思いましたが、コンパクトにするためには致し方ありません。

 

 

両端を隣の柵と1マス分被せるのも重要です。
害獣たちは畑に入れる抜け道をぐるぐると回りながら探し、「ここ弱そう、いけるかも」な場所があれば掘ってすり抜けようとがんばります。その隙を与えないようにするために、両端を重ねて守りを固めます。重ねることを計算に入れて、必要数を調達する必要があります。

 

金網柵

ゴリ押しなのが金網柵です。地面の状態に合わせて張れるため、隙間ができません。L字で張るので、動物が掘って中に入ることができないためです。人手や手間はかかるしコストもかかります。でもその分効果があります。しっかり張れば動物の侵入も、食害によるストレスもありません。

全てを金網柵で張るのはコスト面で難しい場合、地面がごつごつ/凸凹した場所は金網柵にし、それ以外はメッシュ柵にするなどして場所ごとに検討してもいいでしょう。

減溶化施設「イノシシパウダー化マシーン」

総重量400kgを一度に、まるごと処理できます。

休眠預金を活用して導入した、新イノ粉マシーン。解体に向かない個体、肉にならない部分の処理の行き先としてはもちろん、この減溶化マシーンの運用をしていくことで、地域で鳥獣対策する人の後押しもできます。

止め刺しとその後の処理が2大難関の害獣被害対策。山での埋設処理が多いですが、国の研究機関が作成したガイドブックによれば、掘り起こしが起きない深さとしては、150cm以上の深さがあることが望ましいとされています。浅いと掘り起こされる可能性があるからです。
150cmを掘る……想像できますか?汗だくで体力も時間もすり減ります。わたしはたぶん、ぶっ倒れます(・∀・) 施設はその処理を担ってくれます。

無機質と混ぜて堆肥とすれば、畑への散布や販売の道も見えるかもしれません。

 

 

 

古石さんのいちじくハウス

TOBASE  Island Works代表の古石さんのいちじく農園も訪ねました。いちじく栽培についてや特定地域づくり事業についての意見交換などしました。
(特定地域づくり事業についての取り組みはこちらをご参照ください https://farmer-hunter.com/blog/5332

特定地域づくり事業によって就農者を増やしたり地域の人口減少を食い止めたいという思いがあると古石さん。

いちじくが実っている様子を見るのは初めてで、3ヶ月でこんなに大きくなるんだ!と驚きました。

 

 

柿の木の下で、ヤギを眺めながらのまとめ

宮川洋蘭の柿の木ガーデンで、クロストーク。
ヤギを眺めながら……というよりもヤギも混ざってきていました。

今回はスケジュールはある程度決めていたものの、聞きたいことに合わせて時間を調整しました。ジビエファームで2時間も話したのは初めてでした笑

政策をつくっていく皆さんです。
質問する姿勢や内容、まなざしから熱意が伝わってきました。
公も民も一緒に、ですね。今回のプライベート視察が政策に活かされていくことを願っています。

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2025.05.31

みかん農家も直面!山鹿・鹿本の有害鳥獣対策セミナー

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!2025年5月、彼らの現場で見て感じた事をレポートします。

 

JA鹿本みかん部会での講演に同行

この日、山鹿市鹿本町の『JA鹿本』では、みかん部会の皆さんが集まり、有害鳥獣対策についての講演が行われました。講師は、農家ハンターの稲葉さん(たっちゃん)!彼自身もみかん農家であり、現場感覚を交えた実践的な話をしました。

講演に先立ち、JAの販売店にもお邪魔してきました。その様子もあわせてレポートします!

 

今回集まられたのは、みかん農家の皆さんです。たっちゃんもみかん農家。地域は違えど共通の課題も多いようです。

 


【レポートのポイント】
▶︎鹿やイノシシの被害は初期対応がカギ
▶︎オフシーズンには電気柵や罠の点検が重要
▶︎地域ぐるみでの対策
▶︎JA販売店でのやりとり


今、現場で起きていることとその対策

シカやイノシシ被害の予兆と初動の重要性

山鹿・鹿本地域でも鹿が目撃されるようになっているようです。近い将来、鹿の被害が増えることを見込んで対策をおすすめします。
今、困ったことになっているイノシシも、最初は土手の崩れがサインでした。枯れ木はシカからのサインです。見逃さないよう山に入られたら注意して見てください。被害が本格化する前の「初期対応=初期消火」が重要です。

 

被害がで始めると、猟友会に獲ってくれ、市役所にどうにかしてくれ という声が上がります。

イノシシの習性も分からないままでいると増える一方、役場の対策では追いつきません。猟友会も高齢化が進み、さらに人が減っています。「誰かがしてくれる」というスタンスでは解決しません。だからこそ、今こそ一人ひとりの行動が必要です。ぜひ一歩踏み出してください。

 

山鹿・鹿本地域での鳥獣対策の現状

イノシシの捕獲数
・熊本県内では46,000頭
・山鹿市では2,600 頭、天草では10,000頭

これだけ獲っても減らない。

 

シカは消防と同じで初期消火のための初動が効果があります。芦北や水俣のようにならないためにも、シカのサインが見えたら対策をするというのを頭に入れておいてください。鹿の捕獲は箱罠ではなく、足をつかむくくり罠が主流です。

オフシーズンの今、やっておきたい対策

今はお腹に赤ちゃんがいるシーズンのため、比較的動きが少なく捕獲も多くない時期です。6月くらいから出産が始まり、7月から動きが活発になるので、6月中に対策を進めておかれると◎です!

 

オフシーズンにどんな対策をするといいか?

・罠の設置、動作確認
・罠 設置場所の見直し
・電気柵の通電確認、メンテナンス
・草刈り(電気柵まわり、耕作放棄地や茂み)
・実を採らない果樹の伐採

たけのこ、枇杷、みかん、米、栗、柿、そして米の2番穂・・・
山鹿・鹿本地区には年中おいしいものが溢れてます。

昔は今よりも貧しかったので、栗や柿は食べていました。今は採る人も食べる人も減り、過疎地で人口も減っています。
収穫しないものをそのままにしていることで、動物の餌場となってしまうので、家庭や地域で、相談・対策・管理することが重要です。

電気柵の現状とポイント

みかん栽培のオフシーズンの今、電気柵はどうしていますか?

電気柵は「心理柵」。「痛い!と思わせる」ことが大切です。

電気の線を回収している人、そのままにして電流は止めている人、いらっしゃいました。
電線があるなら電気を流すか、必要なシーズンまで回収して保管する というのが望ましいです。

 

みかん農家の皆さんには、みかん畑のどの位置に電気柵を設置するといいかを話す場面もありました。軽トラックの通る道路側ギリギリにはると電気は効きづらいため、50cm畑の内側に張ることを勧めました。

 

 

質疑応答から学ぶ

質問もおおく届きましたのでまとめます。

質問内容 回答
シカが来そう。対策は何をすればいい? 山や地域を守るには、電気柵の設置と捕獲の両立が必要です。特にシカは捕獲が有効。
シカは賢い? シカよりイノシシの方が頭が良く、警戒心も強いため、捕獲がより難しいです。
電気柵に動物が慣れてきたらどうする? 完全に慣れることは少ないですが、電圧をテスターで定期確認し、常に効果的な状態を保つことが重要です。
防草シートは電気柵の下に使える? 通常の防草シートでは電流が弱くなる可能性があります。電線が編み込まれた通電シートを使用するのが望ましいです。
忌避剤は効果がある? 一時的な効果はあるかもしれないが、長期的には電気柵やメッシュ柵との併用が効果的です。
ビニールハウスの中にヒヨドリが入ってくる。対策は? ハウス内での対策としては、ネットを張ることが有効です。

 


講演前、山鹿市のJA販売店にお邪魔してきました。

忌避剤もいくつも売ってあって、日常では縁のないわたしは興味津々!笑

電気柵の助成金の申請方法についても提示してありました。
従業員の方は電気柵のテスターの必要性をたっちゃんが話すと、熱心に話を聞いてくださいました。そろそろきっと入荷してくださっていると思いますので、県北の方、どうぞ!笑

 

 

 

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