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2025.10.17

地域が動く!熊本県・鳥獣被害対策実践塾に見る行政と住民の連携

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。
今回は、熊本県が主催する行政担当者向け研修『鳥獣被害対策実践塾』の第1回の様子をレポートします。

鳥獣被害の実態や対策の基本を知り、各市町村でどのように対策を進め、どのように住民へ働きかけていくか具体的な事例とともに学びを深めるもので、全3回開催されます。


【レポートのポイント】

◆ 行政×地域×農家ハンターの協働
◆ 現場から学ぶ鳥獣被害対策と合意形成
◆ 住民主体で進める地域防除
◆ 江戸から続く、日本の害獣管理の知恵


野生鳥獣による被害の実態と対策の基本

どのような対策が有効なのか、担当者の方も最初は知らないことが多いのが実情です。こうして学びを深めることで地域に知識を渡してくださいます。

えづけSTOP!と合言葉のように言いますが、何が餌付けにつながるのかのイメージが具体的になってきたかと思います。

 

メモを取る方の人数、メモの量は、これまでのセミナーや講座の中で群を抜いていたかもしれません。

東海大学内のホールの広さ、美しさ、映画館サイズのスクリーンに驚きました。。。
みなさんも驚いておられました笑

 

 

 

 

 

行政の担当者の方にとって重要なことは、地域のみなさんとどう足並みを揃えて取り組んでいくかです。
行政が前を走りすぎても、地域に対して非協力的でもうまくいきません。補助金の情報や、経験に基づかない確な対策の方法をこうして学べる機会を得やすいのは行政だからこそです。

どうやって足並みを揃えて取り組めるか、合意形成をしていくかを、これまでの農家ハンターの活動を事例に挙げながら、楠田さんが話しました。

 

涙のトークセッション

登壇されたのは次の皆さんです。

阿蘇市担当者 宮岡さん、阿蘇市山田地区 区長・笹原さん、阿蘇市山田地区 中西さん、
南小国町担当者 麻生さん、前担当者 武田さん、 南小国町 波居原地区 区長・井野さん。

阿蘇市のこれまでの取り組みや南小国町での取り組みは前のブログをご覧ください。

南小国町での取り組み: https://farmer-hunter.com/blog/5481

阿蘇市から南小国町へ視察の様子:https://farmer-hunter.com/blog/5144

阿蘇市での取り組み: 阿蘇市山田地区の取り組み

 

南小国町 波居原地区の取り組み

南小国町 波居原地区の井野区長から、鳥獣対策に取り組み始めたきっかけとして、町の代表者を集めて開催されたセミナーがあったと話されました。

・これまで自分たちがそれぞれ取り組んでいた鳥獣害対策は、間違っていることがたくさんあった。
・地区の皆さんに周知する必要性を感じて、地区でのセミナーを行うよう依頼した。
・イノPが持ってきてくれたジビエの加工品が楽しみで来るきっかけになった人もいた。
・同じ農家で、同じ悩みを持って取り組んできた農家ハンター/イノPだからこそ、自分たちが悩んでいることを理解した上で話してくれた。それが町の皆さんの心に届いたのだと思う。
・その結果、電柵に触れないように草刈りをマメにしたり、見回りの際に電圧を測ったりするようになった。

 

稲葉たっちゃんは、「これまでの活動が地域に届いていた」と、思わず涙ぐんでました🥲

 

阿蘇市 山田地区の取り組み

2年ほど前、阿蘇市で自治会長向けに講演をした際、取り組みたい地区がないか問いかけました。そこで手を挙げたのが山田地区でした。

 

阿蘇市山田地区の笹原区長と農家の中西さんから、阿蘇市山田地区での動きについて紹介がありました。

・前任の区長が「やろう!」と手を挙げてくれていた。
・近年イノシシが川を越えてやってくるようになり、畑での被害も増え、住居の周りに野生動物が出てくるようになり、人的被害を一番心配していた。
・若手のメンバーに相談したところ、やれるだけやってみようという話になった。農家の中でも鳥獣害問題について意識が高まり、狩猟免許取得者が数名いたこともあり、集落をあげて取り組もうという空気ができた。
・南小国町に視察に行き、対策の事例を見せてもらった。
・7月に800mほどの防護柵をイノP指導のもと、みんなで張った。それから2ヶ月、動物には入られていない。

 

 

みんなで取り組む地区の共通点とは?行政と地域が協力できる条件

阿蘇市や南小国町で「みんなでやろう!」と手を挙げた地区には、いくつかの共通点が見えてきました。
それは、被害の深刻さだけでなく、地域のつながりの強さリーダーの存在など、日常の中にある要素が大きく関係しています。

阿蘇市の特徴

集落としてのまとまりがしっかりしている地区が手を挙げる傾向にありました。
さらに、代表者が農家であり、自らが被害を受けている当事者であるかも大きな要因かもしれません。
その危機感が、地域全体の動きを後押ししていました。

また、若手農家が積極的に参加し、リーダーを支える体制があるのも特徴的です。
「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識が芽生え、行動に結びついていました

南小国町の特徴

一方の南小国町では、地域にリーダーシップのある人物がいることが強みでした。
日頃から草刈りや花植え、子ども会などの活動が盛んで、住民同士の信頼関係が深く根付いています。
そのため、新しい取り組みも自然と受け入れられやすく、助け合いの文化が鳥獣害対策にも生きているのかもしれません。

 

共通する成功のポイント

阿蘇市・南小国町の事例を比べると、成功する地区にはいくつかの共通点がありました。

  • 主体性:行政任せにせず、「自分たちの課題」として取り組んでいる。

  • リーダーの存在:信頼される人が中心となり、地区全体を巻き込んでいる。

 

 

実践後、どう変化したか

・阿蘇市山田地区では、800mの電気柵を張った時、みんながみんなやる気があったわけではなかった。しかし各々取り組んでも地域全体での解決につながらない、みんなですれば見回りも分担できるということを説明していき、合意形成ができてきた。
・柵を張る作業はボランティアだったが、今後は日当が出るようにしたい

 

柵を張る場所をどうやって決めたか?

・各集落から候補地を一つずつ出して、役員会でさらに絞り、イノPに相談して決めた。
・被害の大きさや維持管理していける後継者がいるかなどを踏まえて決定した。

 

行政はどのような役割があるか

・市役所、役場、どうにかしてくれという声が多く届く。対策は住民主体であることを丁寧に説明し、ともに学びながら進めていく姿勢を大切にしている
・行政主体になると、「やらされている感」が出てくる。声も届きにくくなる。

 

民間の農家ハンター/イノPや第3者の役割

・行政からだと住民に届きづらい声も、届けることができる。コミュニケーションが円滑になる。
・お酒を交えた交流会で、距離が近くなり話しやすくなることがあった。

 

参加者の方からの質問もありました。

「日頃の集落での活動はどんなふうに生まれているか?鳥獣害対策に行く前の、集落の活動を知りたい。」

・子供会、春と秋の草刈り、老人会、婦人会、花植え、子どもたちのスイカ割り、体験学習など日頃の活動は充実している。
・牧野の維持管理が大変な地域でもある。人と動物の棲み分けが今後ますます課題になる。もともと活動のほかに、野焼きの文化があるので、地域で協力して取り組む風土があったのは結束は強いのではないか

 

今後の抱負

・高齢化が進み、農業に携わる人は減っていく。その中でいかに今の農地を実施していくか、今の地区を維持していくのかという課題に、町といろいろな方々の意見を聞きながら、今後の課題として取り組んでいきたい。

南小国町
・3地区での取り組みを町の優良事例ということで、町内に広げていきたい。

・鳥獣害対策もしながら、農地を守り、儲かる農業をしていくのは本当に難しい課題じゃないかと日々感じている。地域の皆さんと協力しながら農地を維持していきながら、儲かる農業を実践して、若い人たちをいい地域に残していく活動をでやっていこうという思い

阿蘇市
・阿蘇市はどちらかというと、鳥獣害対策は遅れている方。山田地区が成功事例となって、他の地区に波及していければ。

 

 

 

ワークショップ!各地域の事例を聞いて自分の地域で取り入れたいこと

グループを星座の名前で分けてワークショップを行いました。
自分たちの地域で、どんなことを取り入れたいか?

明日から生かせるように、具体的なこと話し合い、シェアする時間でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・モデル地区をつくる
・第3者を交えることで潤滑油をつくる
・住民主体であることを伝えていく
・集落ごとの勉強会を実施

・リーダーとサブリーダーの確保
・農家以外の人も巻き込んで、地域みんなでえづけSTOP!
・共有地という概念
・地域と畑は自分たちで守る!理念を伝える

などが上がりました。

 


東海大学農学教育実習センター長・岡本智伸先生による講演

 

最後のプログラムは、東海大学農学教育実習センター長・岡本智伸先生による講演です。

学生さんも参加されていました。

 

わたしがおもしろかった点を独断と偏見で要点をお裾分けしますね。

・2000年頃は、九州では被害がありつつもそこまで深刻ではなかった。九州は平野部が広いため生息密度が農地に迫っておらず、脅威に感じる必要がなかった。

・被害というのは人間が感じていること。人間が動物にとってどんな環境を作っているのか、行動、活動、考え方が大きな要因になっている。

 

・4つの管理
①生息環境の管理 ②被害防止の管理 ③動物の個体種の管理 ④仕組みの管理

 

・【シカ】阿蘇には牧草地がある。冬でも緑の牧草地があり、そこに入ればシカにとっては餌がたくさん!1ヘクタールあたり冬場に11頭を養えるくらいのものがある。死なない、増えていく、無意識の餌付けになっている。

 

・シカは、ジャンプして餌場に入ると思われているが、ジャンプには怪我の危険が伴うためそんな簡単にしない。通常はツノが邪魔になったとしても、潜れるところを探していく特性がある。動物の特性を知る。

 

・ピンクのテープなどの感覚刺激をつかった防除実験結果・・・餌があれば入ってくる。数日で効果がなくなる。

 

・地域の人のパワーが、野生動物を入れないバリケードのような役割を担っている。

 

・地域を守ることが、自分の農地を守ることにつながる。全体がハッピーにならなければ個々のハッピーにつながらない。

 

 

害獣の管理技術が江戸時代まで発達していた!

・江戸時代は石垣で動物の侵入を防いでいた
・鉄砲は農家に集められていて、捕獲した人への報酬などもあり、対策の中心には農家がいた。

・西洋では、狩猟によって多くの野生動物が絶滅していったが、日本では、野生動物への愛着や信仰、神話などから乱獲に至らなかった。里山に出てきた動物を捕獲するやり方がとられていた。

・西洋が日本の動物の毛皮や羽毛を買い付けるようになり、動物が減る。獣害が起こらなくなる。その後、鳥獣保護法で守られるようになった。

・経済成長が進み、保護も進み数が増え、勢力を拡大していき、1990年代から農業ヤバいな…ということになった。
・日本では約140年間、害獣管理の技術をほとんど使わず、知識が途絶えてしまっている
・放棄地が増え、そこに動物が入ってくる。

 

ということで、農家が鳥獣対策の中心的役割を担うのは、江戸から続く日本における害獣管理のやり方だったのですね!


締めくくりにふさわしい講演で、私自身も多くの学びを得ました。密度の濃い一日、本当にお疲れさまでした💡

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2025.10.06

熊本4Hクラブが戸馳島へ!農家ハンター流・鳥獣害対策の現場を学ぶ

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。

熊本県青年農業者クラブ(通称4Hクラブ)の皆さんが、農家ハンターの拠点・戸馳島を訪れました。若手就農者や行政関係者など、次世代の農業を担う方々が集まり、鳥獣害対策の「い・ろ・は」を現場で学ばれました。

この記事では、学びの様子と農家ハンターが伝えた“実践型の鳥獣害対策”のポイントをレポートします。

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【レポートのポイント】
▶︎ 若手農家と行政が現場で学んだ「リアルな鳥獣害対策」
▶︎ イノシシ対策に欠かせない電気柵と箱罠の正しい運用
▶︎ 残渣処理や耕作放棄地の管理など、日常の工夫が被害防止につながる
▶︎ 命と向き合う現場での“止め刺し”や減溶化施設の実情
▶︎ 地域で維持・管理する体制づくりの大切さ

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農業と鳥獣害対策は切り離せない

参加者は若手農家の方々や、農水課など農業関連の行政担当者。
近年、野生動物による農作物被害は各地で増加しています。農家ハンターでは「農業をする以上、鳥獣害対策はセットで考えること」と伝えています。それほど、鳥獣害は農業と切り離せない課題になっているのです。

実際、三角町ではかつて捕獲数ゼロだったイノシシが、わずか4年で1000頭獲れるようになりました。「うちは関係ない」と思っていた地域でも、予防のための知識が欠かせません。


無意識の“餌付け”を防ぐ|残渣処理と耕作放棄地の管理

残渣の処理

収穫後の残渣を防護柵の外に捨てると、イノシシやシカを呼び寄せてしまう原因になります。味を覚えた動物は、どうにかして畑に侵入しようとします。さらに食べ物が豊富になると、動物の栄養状態が良くなり、飢えずに越冬して数が増えることも。無意識の餌付けをしないことが第一歩です。

耕作放棄地の管理

イノシシは体を隠せる場所を好みます。草が茂った放棄地は、格好の潜み場です。地域で定期的な草刈りを計画し「隠れ場」をなくし、とどまりにくい環境を整えましょう。

 


イノシシは学ぶ動物|電気柵の正しい使い方

イノシシやシカは非常に学習能力が高い動物です。
光・音・匂いなどを利用した忌避グッズもありますが、次第に「怖くない」と学習してしまいます。

一方、その学習能力を逆手に取った対策が電気柵です。「痛い!怖い!」と体験することで避けるようになります。
ただし、昼間に電気を切っていたり、電圧が弱い状態が続くと「怖くない」と覚えてしまいます。

→電気柵は“常に適正な電圧で通電”させること、そして“設置後の管理”が何より大切です。


ソラシドエコファームで学ぶ電気柵体験

戸馳島にある「ソラシドエコファーム」では、ソラシドエアさんと協働して電気柵を学ぶ体験研修が行われました。

この日測定したところ、なんと8000ボルト!
葉っぱで電気を感じたり、手で触れてみる参加者もいて、現場はヒヤヒヤと笑いに包まれました(※真似はしないでください😅)。

畑と道路の段差がある箇所では、通常より1段多い3段電線を設置。

一方で、芋の葉が電線に触れる部分もあり、「電気柵と作物は50cm以上離す」という基本ルールを再確認しました。(NG例もしっかりここでお伝えします♡)


箱罠の運用を学ぶ|Q&Aで現場の疑問を解決

箱罠の前では質問が飛び交いました。

  • Q:エサはどのくらいの頻度で入れる?
    → 食べ具合を見て判断します。週1回程度は見に来ます。

  • Q:両開きと片開き、どちらが良い?
    → 両開きだと落ちるのにタイムダグがあるため片開きを採用しています。

  • Q:罠カメラの電池は?
    → スマホで確認。頻度は使用状況によります。

  • Q:この箱罠で年にどのくらい獲れる?
    → 2回ほど。

  • Q:エサを食い逃げされることは?
    → ある。罠の外から食べたりトリガーの周りだけ食べることもあります。

現場での工夫が細部に光る内容でした。

かたつむりを乗っける古石さんチラリ

箱罠のそば・田んぼの横にイノシシさんの足跡発見!


地域全体で取り組む鳥獣害対策

柵を設置しただけでは終わりではありません。
重要なのは「どう維持・管理するか」を地域で話し合うこと。
地域ぐるみで取り組むことで、対策が“絆を深める活動”にもなります。

 


命と向き合う現場|止め刺しと減溶化施設

農家ハンターでは、なるべく動物に恐怖や痛みを与えないよう「電気止め刺し機」を使うことが多いです。
ただし、止め刺しの現場は精神的な負担が大きく、「空気銃による止め刺し」が最もストレスが少ない方法とされています(ただし免許・コストの問題あり)。

また、イノシシを粉末化する減溶化施設は、鳥獣害に悩む地域にとっての救世主。
処理コストはかかりますが、埋設するより労力も軽減できます。灯油45リットルと電力を使うことから、まとめて効率的に稼働させています。

「命を無駄にしない」という理念は、肉としてではなく別の方法で形にしています。

 

ジビエファームにも来てもらいました。

 

 

 


参加者の声とまとめ

4Hクラブのこの会代表の古石さんは、

「鳥獣害対策は身近にあると思っていたけれど、知らないことがたくさんあり驚きました」

と感想を述べられていました。

三角・戸馳島は、農家ハンターの鳥獣害対策ノウハウが詰まったモデル地区のようになっています。

暑い中、大変お疲れさまでした!

 

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2025.08.10

阿蘇市で通電シートと電気柵設置!イノシシ被害を防ぐ現場レポート

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2025年8月、彼らの現場で見て感じた事をレポートします。

 

阿蘇市のある地区にて、840mの通電シート(電線が織り込まれた防草シート)と電気柵を設置しました。
作業には地域の方約20名が参加。イノPからは稲葉たっちゃんと、特定地域づくり協定のメンバー・井手くん、JICAグローカルプログラムで研修に来ている竹村くん、橋本くんも加わりました。

当日の様子をお届けします!

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【レポートのポイント】
▶︎通電シートを設置
▶︎電気柵の支柱を設置
▶︎電気柵の電線張り
▶︎電気柵の電源装置の設置

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美しいカルデラでの早朝作業

阿蘇の美しいカルデラの中、夏の早朝に作業が始まりました。
地域の方によれば、すでにイノシシは出没しているとのこと。
まだ稲は食べられるほど実っていませんが、各所で足跡が見つかっています。山や川から、イノシシは静かに近づいてきているのです。

稲穂が実る前に、そしてイノシシが活発に動き出す前に——早めの対策が必要です。

 

 

 

 

① 通電シートを設置

まず通電シートを敷きます。
コンクリートから少し離すと通電効果が高まります。
位置を決めたら、杭で固定します。

場所のあたりをつけたら、杭で留めます。

 

 

杭を打ち込むのは難しくないですが、場所によっては地中が固く杭が入り込みませんでした。そんな場合はバール等を使って穴を掘ります。

 

 

② 電気柵の支柱を設置

杭を打ち終わったら、次は電気柵の支柱を打ち込みます。

 

 

 

③ 電気柵の電線張り

支柱を打ち込んだら、電線を張ります。今回はイノシシ対策のため、地面から20cm、40cmのところに2本設置します。
上から張ると2本ともたわまずにピンとなります。

 

 

 

井手くんも立派な戦力です!

 

人数が多い分、作業は順調に進みます。

 

こういうところは、見回りや草刈りの頻度がどうしても低くなりがちです。通電シートは価格が高めなので予算に合わせて部分的に利用するのもすすめています。

 

通電シートは、電線が織り込まれていることもあり価格は安くありません。草刈りがしづらいところなどで部分的に使用することも◎です。

 

電線の接続は結ぶだけでも可能ですが、通電効率を高めるため、電線の被覆をはがして直接結びました。ライターも現場で活躍です。

 

張り終えたら、地面からの高さが20cm・40cmになっているか確認します。これは効果的な防護のための重要なチェックポイントです。

 

④ 電気柵の電源装置の設置

 

最後に電気柵の電源装置を設置します。
管理者が操作しやすく、かつ動物や人が触れにくい場所が望ましいです。電気柵の内側に設置するのが良いそうです。

 

 

近くには子どもも住んでいて、今回、子どもたちがよく走り回っているところに電柵が設置されました。集落の方々は安全のため周知活動を行うことを話し合っていました。

 

 

写真では見えないところまで総延長840m。
シート敷き、杭打ち、ポール配り、高さ調整、電線張り。
大勢で取り組んだので4時間で終えました。暑かった〜!

 

大変お疲れさまでした!

 

 

先日、ソラシドエアさんと電気柵を張った経験から、若手3人も立派な戦力となっていました。

 

 

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2025.07.24

野生動物にとっての渋谷?水俣市の鳥獣被害と対策の実態

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2025年7月、彼らの現場で見て感じたことをレポートします。


水俣市で鳥獣対策のセミナーが行われました。県・市・林業組合・イノP、そこに水俣・津奈木地域の農家の方が集いました。

稲葉たっちゃんは、座学に加え、ワイヤーメッシュ柵を設置した圃場での現地研修を担当しました。

今回はその研修現場の様子と、会場近辺で行ったの鳥獣被害対策の調査をレポートします!

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【レポートのポイント】
▶︎行政・林業・農業が連携して挑む鳥獣害対策
▶︎防護柵:ワイヤーメッシュ柵設置の現場
▶︎水俣市における鳥獣被害・対策状況の実態調査

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行政・林業・農業が連携して挑む鳥獣害対策

水俣市東部センター葛彩館にて、「芦北地域における広域的な鳥獣被害防止対策に係る研究会」が開催されました。

水俣・芦北地域から農家35名、行政関係者25名が参加しました。

有害鳥獣対策は、一部だけで完結するものではなく、県・市区町村・林業・農業・民間が連携して取り組むのが望ましい課題です。というよりも、誰もが無関係ではいられない問題です。

水俣地域ではイノシシとシカによる被害が深刻で、令和5年度の被害額は約6,000万円にのぼります。被害の95%が果樹で、そのうち52%に樹体被害がありました。
令和6年のシカの捕獲数は4,200頭と、年々増加しています。

「隣には動物がいる」──そんな環境で農業を営む方も少なくありません。

 

 

林業関係の方から狩猟免許取得の声掛けもありました。
免許更新の折に、特に高齢の方はもう更新しないという声もあがってきます。高齢者へ更新の呼びかけだけでなく、若手への声かけも必要だと力強く話されていました。

 

ワイヤーメッシュ柵設置の現場へ

ワイヤーメッシュ柵がずらっと張ってある圃場へ行きました。

 

お米を植えてすぐに食べられてしまい、困っていたと地域の方が言いました。

イノシシもシカも訪れる水俣は、動物さんの渋谷のような場所と言えるかもしれません。

 

 

 

この圃場では、柵と、動物による掘り返しを防止する“スカート部分”を組み合わせて設置してありました。

 

 

農家ハンターはこのスカート部分を強く推奨しています。

地形の段差やわずかな隙間があると、動物たちは粘り強く掘り返して侵入してしまいますが、このスカートがあれば難易度が上がり、侵入を抑える効果があります。

さらに効果を高めるには、このスカート部分を畑の外側にもっと広く張り出してもよかった、とのアドバイスもありました。

この地域には現在、狩猟免許を持つ人がいないそうです。
特にシカ被害は災害リスクにも直結するため、地域内での相談と連携が必要だとたっちゃんは強調していました。

この地域には狩猟免許を持った人がいないそうです。
とくにシカ害は災害の被害に直結するため、たっちゃんは地域で相談していくことを勧めました。

 

町をぶらり現地調査へ

 

「耕作放棄地が増えてる!」

と、車道を走りながらたっちゃんは小さく叫びました。2,3年前よりも増えている印象だそうです。
わたしにはただの茂みと耕作放棄地の耕作放棄地の違いがはっきり分かりません。でも、たっちゃんは一目で見分けられます。

 

 

現役の畑の隣が耕作放棄地となると、やがて茂みに変わり、動物の潜み場になってしまいます。

高齢化・過疎化・耕作放棄地の増加──これらの要因が重なることで、農業や鳥獣対策にとっては好ましくない結果をもたらします。

高齢化・過疎化・耕作放棄地 の組み合わせは、農業や鳥獣対策には望ましくない結果になります。

 

見えてきた日本の里山のつくりと 災害

日本の里山集落は、山のすそに民家があり、その前の開けた日当たりの良い場所に畑や田んぼが広がっています。

 

イノシシは作物を食べるだけですが、水俣市で深刻化しているシカの被害は、食害にとどまらず土砂災害にまで及びます。

シカは樹皮を食べて木を枯らし(人間の帯状疱疹のように、樹皮を一周食べられると木は死んでしまいます)、
さらに下草を食べ尽くし、新芽が育ちません。根が張らず、土壌に土をとどめる力がなくなり、大雨の際に土砂崩れが発生する──という悪循環が起こります。

この構造を考えると、土砂崩れによる最初の被害は、山すその民家や住民に及ぶことになります。

 

シカは、農地を守るだけでは減らせない。捕獲しなければ個体数は減らないのが悩ましいです。

狩猟免許保持者がいなければ捕獲もできないため、狩猟免許取得を促進するのです。

 

集落でも、シカが木を食べた跡が分かる【ディア ライン 】も確認できました。

 

 

家にシカがたくさん来ることが見える防護柵です。

 

水俣に取材にお邪魔したのは初めてでしたが、県南のシカ害の深刻さが伝わってきました。

 

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2025.06.27

【南小国町 田尻轟地区】箱罠とカメラを設置!

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!

2025年6月彼らの現場で見て感じた事をレポートいたします。


南小国町の田尻轟地区で、箱罠カメラを設置しました。

もともとこのエリアの山の中には、たっちゃんと一緒に設置した箱罠がありましたが、イノシシさんのオフシーズンのため捕獲には至っていませんでした。そこでカメラ設置の依頼を受け、この日稲葉たっちゃんとお邪魔しました。行ってみると、箱罠は約2週間前、田んぼや畑に囲まれた池近く移動されたそうでした。しかし、現場を確認したところ、箱罠の設置場所としてはやや難があることが分かりました。
カメラ設置までの動きをレポートします。


【レポートのポイント】

▶︎箱罠とカメラを新たに設置
▶︎柵の内側から山中へ移動して再配置
▶︎設置は地域住民の皆さんで。
▶︎タイミングを見据えた捕獲活動


柵の中に侵入するイノシシの足跡

今回の設置場所は、地元の方々が知恵を凝らして設置した、メッシュ柵(山側)と電気柵(川側) の内側。にもかかわらず、柵の中にイノシシが侵入したとみられる形跡がありました。土手は掘り返され、田んぼの中にはイノシシの足跡、さらにはアライグマと思われる足跡まで。ここ最近は人の田植えなど人の動きがあったため、イノシシが警戒して気配が薄れていたようですが、活動を再開した様子です。

 

しかし、人間の生活圏(畑の隣など)への箱罠設置は適切ではないとの判断から、その場所でのカメラ設置は見送ることにしました。捕獲に至ったとしても、他のイノシシが農作物を食べに来るリスクが高まるためです。人間の生活圏で捕獲することは、「人間のところまで出ておいで」というメッセージになってしまいます。

新たな設置場所は柵の外、山の中へ

そこで、話し合いの上、柵の外にある山の中へ移設することを決定。設置作業は地域の方々の人手と知恵でスムーズに行いました。切り倒された木々を整理し、地面を平らにしながら箱罠を設置しました。特に注意したのは、メッシュ部分がイノシシの足に触れないようにたっぷりと土をかけること。イノシシはメッシュが蹄にはまるのをとても嫌がりますから、これはイノシシが警戒しないための重要なポイントです。

 

 

 

 

 

カメラ第1号を設置!

今回の作業では、田尻轟地区初のカメラを導入。たっちゃんが準備してくれたカメラは、今後のイノシシの動向を把握するための大切なツールです。カメラの設置はスムーズに進み、全体の作業時間は約50分ほどでした。

 

カメラの設置場所は、箱罠の入り口の反対側、かつ距離感が掴めるように斜めにするのが望ましいです。イノシシさんは警戒心が強いため、箱罠に入ろうとしたときに目の前から赤外線のライトが見えないようにします。

 

餌は柑橘と米ぬかを使用

罠には米ぬかと落ちていた柑橘類を使用。特に米ぬかは、罠の中だけでなく出入り口、10mほど離れた場所にも撒き、イノシシをうまく誘導できるよう工夫しました。今後、カメラで記録された写真はイノPへ送信され、地域のグループLINEに情報共有します。

捕獲はこれからが本番の季節!

7月以降はイノシシの活動が活発になる季節。たっちゃんの見解では、この時期を逃すのは非常にもったいないとのこと。捕獲の成果は、地域住民のノウハウ蓄積や、自信にもつながっていきます。

ちなみに、以前設置していた池のそばの箱罠では、箱罠よりもくくり罠の方が効果的だというたっちゃんのアドバイスがありました。箱罠は呼び寄せるやり方なので設置には向きませんが、特定の個体を狙って仕留めるくくり罠は選択として◎です。

鹿の気配もあり

さらに、設置場所ではシカの痕跡も確認されました。木の皮がめくれている箇所があり、これはシカによるものだろうとのこと。これから夏にかけて、捕獲頭数が増える季節に突入します。今後の成果に期待が高まります。

この日、阿蘇ではシカに見守られて帰路につきました。

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