農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!2025年3月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。
宇土市の上松山地区にお邪魔してきました。この日、宇土市の農林水産課主催で鳥獣害被害対策のためのセミナーが行われ、地域の方14人が集まりました。
《今回のレポートのポイント》
・宇土市上松山地区の鳥獣害被害状況
・害獣対策のためのマップづくりについて
・マップから見えた宇土市上松山地区の害獣対策状況と課題
宇土市上松山地区のイノシシ出没状況
国道3号線から入ってすぐのこの地区は、五色山という山があるものの、四方を囲まれているわけではなく、どんな被害があるだろうか?と考えながら会場を目指しました。
稲葉たっちゃんの話によると、
今年(2024年度)はイノシシさんの捕獲、県全体で多くなっています。宇土市では例年800頭ほど獲れています。今年はこの松山地区で100頭捕獲したそうです。
害獣対策のマップづくり
この日のプログラムは、害獣対策のマップづくりです。
その町や地区の地図を用意し、有害鳥獣を目撃した場所、鳥獣によって被害のあった場所、獣道や足跡など痕跡があった場所、柵を張っていたり罠を仕掛けている場所、放置されている果樹、耕作放棄地などを書き込み、その町の被害状況を可視化するものです。
住民の方がそれぞれに持つ情報を集約し、鳥獣被害に対する共通の理解を持つことができます。また、どこから動物が来ているのか、どこを守っていくといいか予想を立てることで、次の対策に繋げることができるというものです。
マップづくりに入る前に、皆さんの困りごとや疑問をヒヤリング。
Q イノシシは夜行性?
A イノシシは夜行性ではありません。慣れると昼間でも出てくることがあります。
Q 朝、よく見るようになった。新幹線の高架下を通って宇土市内の山に帰っていくのを見かける。寝床を決めたらそこから動かないのかな?
A 食べ物次第じゃないか。時期によって変わったりするかと思います。イノシシの脳はウマと同じくらいあると言われているので、しっかり見極めていると思う。
マップづくり
いざ、マップづくり!
みなさん遠慮がちなのか、シールはなかなか減らず……
そんなに被害…ない…?
マップを前に皆さんと話して見えてきたのは、耕作放棄地の増加に対する課題感でした。「あそこも畑をやめらした」「ここもか」みたいなことが年々増えているそうです。そこが山から来たイノシシの潜み場にならないように、地域で耕作放棄地の管理・対策に取り組む必要性を話し合いました。
さて、イノシシの実際の被害についてですが、
いざマップを作ってみると、そんなに被害が多くて困っている、ということでは……ない……?
という状況が見えてきました。
イノシシを見かけることはあるものの、幸いにも何か被害が出るところまでは至ってないようです。
でも、この上松山地区で100頭は捕獲されています。
ん?と思っていると、そこにはキーパーソンの存在が。
害獣駆除のキーパーソン
この地区に暮らすセキさん、何度も何度も稲葉たっちゃんの話を聞きに来られました。そして鳥獣害対策の仕方を学んでいきました。仲間と2人、狩猟免許を取得し、罠も設置し、熱心に取り組んでいます。くくり罠、箱罠ともに仕掛けています。上に書いた地域での100頭の捕獲は、セキさんとお仲間の功績が大きいようです。
彼がいてくれることがとても大きな抑止力になっているのではないでしょうか。
セキさんは何度も何度も何度もたっちゃんの話を聞いて、ドローンの免許もとり、そこから罠を仕掛けました。おかげで効果的に捕獲ができ、地域の人から信頼と感謝の思いが厚いようでした。上松山地区のサイトでは、捕獲したイノシシの様子が紹介されていますのでリンクはこちらです。
https://www.gosikiyama-fureaikai.com/kuusatsu.html
ICTやデータを用いて取り組み担ってくれる人がいることで、「地域の困りごと」になる一方の鳥獣害問題が「地域で困らないこと」になるのですね。驚きました。
被害が大きくないのに、鳥獣被害対策セミナーでこんなに人が集まることにも驚きました。
「なんか公民館であるてだけん行ってみようか」というものではなく、害獣対策について知り対策するために集まられました。
これにも理由がありました。
この地域には五色山という山があります。みんな幼い頃に遊んだ、故郷の山です。しかし徐々に荒れ始め、道も通れなくなるほどになってしまいました。5年前に補助金も採択されたことから、みんなで地元の五色山を守ろう、取り戻そうと立ち上がり、樹を伐採したり道を整備したりしてみんなで手を取り合ってきました。その頃からイノシシが出始め、自分たちで駆除しよう、守ろうと、自分たちのやり方で鳥獣対策をしてきたそうです。その動きがあったから、地域内の信頼関係や協力体制が自然と築かれていたのではないかとセキさんが話してくれました。
「こうして勢力的にがんばる人がいるからこそ、その人たちだけに任せずにできるところから協力していくといいですね」とたっちゃんからメッセージをお届けして終わりました。
マップで見える課題、次の地域はどこでしょう?