活動ブログ

BLOG

2023.12.24

喜ばれる農業は、鳥獣対策とセットで

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2023年12月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

12月、熊本農業高校の有志の3年生が戸馳にいらっしゃいました。

進路が決まっている彼ら。
大学に進学したり就職したり様々ですが、いずれ就農すると決めている皆さんです。

 

吉田畜産へ

 

挨拶もそこそこに、予定していた宮川洋蘭でのレクチャーを後回しにして
向かった先は、三角の経済を引っ張る吉田畜産さん。

戸馳島に牧場があると聞いてはいましたが、実際にお邪魔するのはわたしも初めてです。

「熊農の後輩が来る」ということで、急遽受け入れてくださいました。

 

牛の愛らしさにみんな顔が綻びます。
子牛だけでなく、大人の牛も、当たり前のようになでなで。

ベロを掴もうと挑戦する生徒さんもいました。
イタズラではなくコミュニケーション!

生き物を愛する、心優しい生徒さんたちです。

 

 

 

 

「どんどん質問しよう!」という宮川さんの言葉もあり、みなさん少しずつ手が挙がるようになりました。

 

 

 

吉田さん親子からのメッセージ

◎好きな情報だけを入れるのではなく、いろんな情報を入れるようにする。

◎ネットは全部を教えてくれない。現場を知ることが大切。

◎世の中を、世界を見る。

◎勉強はできんでもいいけど、頭は使うようにしよう

 

戸馳、なんだかすんごい農家さんが集まっているように感じます。夢がある!

 

 

吉田畜産さんからの帰り、バスに乗り込むと尋常じゃないハエの数。

驚きました。

「きゃー」とか「うぇ〜」とか声があがりそうなものですが、この高校生からは一切そんな声は聞こえてきません。さすが!

 

「つくる」と「まもる」はセットで考える

 

さて、鳥獣害対策について。

宮川さんからは、これから農業をしようと志すみなさんには、農業と鳥獣対策はセットであることを伝えました。

対策は、「猟師が」ではなく、「農家が」するもの。
農業するなら無関係ではいられないことです。

 

狩猟免許のうち、わな猟免許は18歳から取得できますから、がんばれば当事者になれます。

 

お米、大豆、麦などは平地で作れますし、輸入もできる食材です。

一方、食を豊かにするものは、中山間地域でつくられるものです。
そしてそれらは、作業の機械化が難しい傾斜地でつくられたり、年に一回しか収穫できないものも多いです。

そんなものが動物に狙われるから、農業を続けていけないということにもなってしまいます。

 

山に、イノシシさんのごはんとなるものがないわけではありません。

里山に美味しいものがあるから降りてくるそうです。

50年前のほうが、山はもっと木々が少なかった。

それでも里に降りてくるイノシシさんが少なかったのは、里には食事がなかったことと人が怖かったからかもしれません。

 

農家さんのこと、農村の課題、地域課題を視野に入れた、プレーヤーになってほしいと宮川さんからのメッセージです。

 

何が正解?

カモさんの被害からレンコンを守ろうと、農家さんが畑にネットを張りました。

ネットにひっかかったカモを、ワシが襲いました。

翌朝、通学途中の小学生がネットにひっかかった瀕死のカモを見ます。

鳥を愛する会から、行政向けに「いかがなものか」と連絡が入ります。

 

では、農家さんはどうやってレンコンを守るといいの?

 

という迷宮入りしそうな問いが投げられました。

生徒さんから出た案をいくつか紹介します。

 

・カモを他のところに誘き寄せて、餌を食べさせる。(間接的に畑に行かないようにする)

・死んだカモを吊るしておく

・飛んできたカモを捕まえて合鴨農法に活かす

・鷹や鷲などをたくさん放つ

・ハウス栽培する。

 

農水局から研修に来ている少しお兄さんからは

・カモが渡来する原因を解明する

 

難しい問いです。が、リアルな課題ですし、熊被害があっているところと似た構図です。

 

 

喜ばれる農業を

 

宮川洋蘭で取り組んでいる、

「エコ 且つ捨てやすい容器・支柱」を使うのはなぜか。
お客さんのためです。

 

これまでの当たり前だった、高級感のある重い陶器や捨てづらい鉄の支柱にも疑問を持ち、変えたこと。

発送する際に使う新聞紙は、熊日新聞を使うことでローカル感を味わってもらうこと。

「お客さんが喜んでくれること」を考え、大切にすることで生まれたものです。

捨てるしかなかったものをアップサイクルして生まれた製品も人気です。

 

 

宮川洋蘭のイチゴを食べて生徒の皆さんが「品種当てゲーム」をしていました。
さすが、ピシャリと当てます!すごっ!

 

 

最後、ジビエファームを見学して終了!

「いつでもコメを!」のステッカーがかわいいバスで元気に帰って行きました。

 

 

 

後輩である農業高校生の視察ということで、嬉しそうだった宮川さん。

稲葉たっちゃんもですが、こうして若い人たちに伝えることを惜しまない姿をいつも拝見しています。

この記事をシェアする

2023.12.15

菊池で絶好調講演!

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2023年12月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

この日は、菊池市一帯から、中山間地域のリーダーたちが集った勉強会でした。
「鳥獣被害防止対策講演会」、主催は菊池市です。
このところ講演でおおいそがしの稲葉たっちゃん、この日も絶好調に2回講演しました。

調査 が肝心!

 

鳥獣被害に危機意識をお持ちの方々が30名近く集まりました。

菊池市の現状はというと。
農林業被害が深刻で、主要道路にイノシシ・サル・シカが出てくるのは珍しくはなくなりました。
農業被害額は7000万円と計上されています。

ただし、この数字は十分ではないという声があり、見直す必要があるようです。
実際にご参加の方からも「こんなに低いはずはない」という声があがりました。

肌感覚と数字が合っていないことに対してたっちゃんは、

「調査の結果次第で国や県からの予算配分が変わります。その時は面倒だったり、「ざっとでよかかな」と思っても全体数で見れば影響があるため、調査のときにはぜひ協力してください。アンケートも同じです。行政へ声を届けられる機会を活用してください」
と話しました。

 

 

いつ対策する?

年に一回しか収穫できないようなもの、そして作業を機械化ができない農作物が特に被害を受けています。

手をかけて育ててきたものが、さあ収穫しようというときに先に動物に食べられてしまう。
スピード比べのようになっちゃうけれど、かといって収穫を早めるわけにもいきません。そんなところでイノシシさんが幅をきかせて歩いていたら 怖いし「もうやめよ…」とモチベーションが下がってしまうのも分かる気がします。

「最近イノシシ出てきたな」と感じるようになったときが始めどきだとたっちゃんは言いますが、その理由が分かりました。

動物さんは場所と味を覚えて一年ごとに増えていきます。
でも人間が対策をするには、免許が必要だったり罠などモノを仕入れたり、補助金の申請をしたりと時間がかかるんです。
ざっと3年ほどだそう。
「多くなって被害がひどくなってきた、やばい」というのがスタートだとしても、対策できるまで3年。
その間動物はさらに増えていく…となっちゃうので、早めの対策が必要だということです。

 

おじちゃんたちの技術を若者へ

 

技術を持つ人が、若者へ伝えていくこと。

これもタイムリミットがあります。
高齢化で担い手が減ります。

被害は増えて担い手は減るというのは、全国の過疎地域で直面することが見えている課題です。

 

狩猟免許を取得しても、経験が必要なことはたくさんあります。

例えば銃の扱い。持ったからといってすぐ撃てません。当たりません。
どのタイミングで弾を装填する?
どのくらい近づく?など、経験者が現場で培ったことをビギナーに伝えていく時間が必要です。

 

自分たちが決めて動く。

 

被害があってもなくても、「今後、この地域をどうしていくか」は、地域住民自身でで考え決めていくしかありません。

危機意識を持った方々から、いくつも声が上りました。

 

・「旭志の方で、シカが増えている

・「豚コレラもあり、戦々恐々としている」

・「地域住民が対策しやすいように、ルールの見直しが必要だと思う」

ここでみなさんのご様子を拝見し、危機意識がるからこそなんとかしたいと思っておられることが分かりました。
個々人で率先して動いておられる人もいらっしゃいます。

 

行政が得意とすること、逆に民間だからできることがあるので、どのように上手に繋がっていくかもこのような講演会で伝えています。

 

全国津々浦々、たっちゃんの講演巡業は広がります。それだけ困っている地域があるということですね。

この記事をシェアする

2023.12.08

現場で学ぶ、えづけSTOP!

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2023年12月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

 

この日は、県の各地の行政職員さんが、戸馳島においでになりました。
今年度「えづけSTOP」講座の最終回です。

 

ジビエファーム、Q&A

案内したのは、施設長の猪上くん。
宮川さんとの漫談のようなQ&Aから始まりました。

 

 

 

Q:解体施設で働く大変さは?

A: ①イノシシさんが重い!
②命を奪うところ
③無駄なく活用すること
他の施設では、解体する人を雇ったりして分業す流ことが多い。ここは一貫しているので捕獲から流通までの流れがわかる。また、ICT活用によって、いつ誰がどこで獲ったか分かったうえで解体するため、自信を持って美味しいお肉をお客さんに販売できる。

 

Q:他の施設では 猟師さんが獲った猪を持ち込みすることが多いが、自分たちで止め刺し(命を終わらせること)を行うようになった経緯は?

A:三角全域を一手に担っていた方の活動を引き継いだ。もともとは猪がいない地域だから、対応できる人が少ない。それで農家が対策を始めた。そしてなるべく苦しませないようにしたいという思いから、最初から最後までを自分たちでするようになった。ジビエとして美味しいものを出したいという思いもある。

 

Q:解体施設の大変さは?

A:安定的に供給すること。季節で捕獲量が違う。シーズンによって稼働量が異なり、安定供給が課題。ストックできる冷蔵庫があるといい。

 

まるっと堆肥化マシーン

 

 

ジビエファームには、イノシシさんをまるっと堆肥化してくれるスーパーマシーンがあります。これを鳥獣害被害に困る地域は導入されることをオススメするのにはワケがあります。

 

お金だけではなくジビエには向かないイノシシさんも、堆肥化することで、ただ埋めるのではなく循環の中で活かすことができます。

捕獲することもだけど、獲ったあとが大変です。
命を終わらせること、そしてその後の処理が大きな負担になるのです。

実際に導入している天草市では、
「埋めるのが大変だったから助かる」

という住民の方の声が届いていると話してくれました。

 

そして、避けられない産廃料。

どれだけ無駄なく解体しても、1個体の7割は残渣となって産廃にすることになります。
内臓や頭部と言った重さの結構ある部位は産廃にせざるを得ません。

これがバカにならない値段になります。

例えば50kgの個体1,000頭を捕獲できたとして。
総重量50,000kg、そのうち7割を廃棄すると仮定したら廃棄総重量35,000kg
150円/kgの産廃料で計算すると総産廃料 5,250,000円…!

(計算苦手ですので間違えてたら教えてください🙇)

 

解体施設をつくるなら

 

宮川さん伝授!これは大事!というポイント3選

 

①設立前に住民合意を必ずとる!

全国的な解体施設の課題は、住民の方に理解をしてもらえないことです。
そのために不便な山奥につくらなきゃならなくなった施設が多いそうです。
「地域の課題解決のための場所」だということを根気強く伝えていくことが大切です。

 

②持続可能な施設にする!

ある施設では、猟師さんが捕獲しなくなり、せっかくある解体施設をcloseする事態となったそうです。

誰が担い手になるのかということも見据えて、つくる必要があります。

 

③PCスキルを持った人材が必要!

肉の解体となれば、屈強な人がやってそうなイメージですが、
実際はPC作業がなんと多いことか。

特にジビエファームではトレーサビリティを大事にしているので記録が欠かせません。

 

箱罠で

箱罠を前に、行政の皆さんが見守る中、たっちゃんがRKKのミミーラジオに出演するというおもしろい展開もありながら、みなさんで箱罠を見学しました。

 

 

ここでの大事な学びは

「えづけSTOPと、箱罠は最高のコラボレーション!!」

 

耕作放棄地が整備されていたり、
人間にとっての不要なもの・イノシシさんにとってのご馳走である残渣がそのままにされていたり
という、いわゆる”えづけ”をSTOPしている状態だと、
箱罠に置く米ぬかやいろんな餌が、イノシシさんにとって魅力のある食事になります。

つまり、箱罠にかかりやすくなるってことです。

箱罠とえづけSTOP作戦は両輪ですることで効果を発揮するのです。

 

 

 

職員さんにお話をお聞きしました

 

シカカツと、ジビエカレーを食べてホッと一息のところ、ご参加の方にお話をお聞きしました。

 

 

 

 

 

相良村の職員さん

猟友会メンバーが中心の「捕獲隊」が、鳥獣対策に全面的に協力してくれているそうです。

でもその多くは高齢で、10年後の担い手が心配です。
少しでも協力できるようにと、今回の研修に参加されました。

「箱罠の設置場所、ワイヤーの貼り方、間違ってました!!すぐ変えます!」

だそうです😇

 

球磨地域振興局から県職員さん

 

林業系の対策と農業側の対策は別になっているけど、連携が必要だと思っています。

対策に浮いては、
シカ対策のネットをしても、すぐに飛び越えてくるから、「どれ買ったらいいの!?」と分からないことも多く
森林組合さんからも、軽くて設置しやすいものがいいと要望があります。

提案する側だから、しっかり学びたいと話されました。

そしてここでも担い手不足がすぐそこまできているという危機感をお持ちでした。

 

たっちゃんがよく講演で話される、「今から10年が後継者を育てる鍵になる」ということが繋がってきます。

 

今回は、行政の職員さん向けなので、行政と地域の方々がうまく連携して対策を進めるためのエッセンスを詰め込んであったように思います。

来年もまたぜひ!

この記事をシェアする

2023.11.27

阿蘇を守れ!区長さん・行政の担当者さんとの話から見える対策の要

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2023年 11月 彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

阿蘇の区長さんに向けて

阿蘇地区長行政研修会 にて、稲葉たっちゃんが講演しました。シャンデリアの下で。

 

阿蘇地域はイノシシさんもシカさんもたくさんいて、しっかり被害を受けています。

 

林業被害から農業被害に広がり、やがて人的被害に繋がる。

動物が近くにいて怖い、危ないとなれば、過疎地域はますます人が少なくなってしまいます。
それを防ぐためにも動物さんには山にいてもらいたいのですが、
猟友会はどこも高齢化しています。

稲葉たっちゃんは、「今が大事。もう10年もすれば技術の継承すら難しくなってしまう」と言います。
猟友会のおじちゃんたちが元気な売りに技術を学んでおくことが、未来の地域を守ることになります。

地域に動物さんを寄せないようにするために、収穫しない果樹は切る、後回しにしたらそれもできる人がいなくなってしまいます。

 

具体的な、効果的な対策についても伝えます。

 

農業の辞め方を示す

「農業の辞め方」を示す必要があるのではないか、ということも話がありました。

耕作放棄地は動物さんの隠れ場所になり、そこが人里との接点になります。
耕作放棄地をそのままにしないためにも、高齢化で農業をやめる人が増える近い将来を見据えて、「上手に農業をやめることで地域を守る」というわけです。

何事も、はじめ方は教えてもらえても辞め方はなかなか教えてもらえません。

指針があるといいですね。

 

 

参加の区長さんから

「高齢化や動物保護法もあって、対策しづらいというのが正直なところ。地域を横たわって被害があっているのが課題だと感じます」

「猟友会への世間の目も厳しい。銃が怖いとか。なかなか獲りづらい環境があり、もっと厳しくなっていくのではないかと思っている」

「行政にはもっと補助金を出してほしい」

という声があがりました。

 

たっちゃんは、

「補助金を活用しきれていないのが、各地域の現状。モノの選び方、柵の張り方など間違っていることも多く、効果的な捕獲に繋がらない。柵などのハード面はだいぶ充実してきた。国・県・市の補助を活用して、もっと学ぶ機会をつくってほしい」

「被害が多い地域に対策費は多く分配される。そのためデータをしっかり取って、対策費を確保することも重要」

「集落の予算で、誰かが代表して免許取ったり、罠を買ったり、地域で取り組む必要がある。誰かが頑張りすぎると、『あいつがするだろう』となってしまうから、お金もマンパワーもみんなで捻出した方がいい」

とお答えでした。

 

 

阿蘇市の担当さんと

 

「カラス対策のゴミ捨てと一緒」

これは分かりやすい例でした。

初めはあんまり興味のなかった人も、「困るよね」から始まって網を張ったりするようになって対策してきました。
今ではカラス避けネットは一般的ですよね。

鳥獣害対策も同じです。

「人任せにしない」が対策のキモ。

経験と知識の豊富な先輩方が集まる猟友会と、例えば孫世代の高校生がタッグを組めば
デジタルも駆使して、ぐんと対策が進むのではないか、と市の担当さんやたっちゃんが話していました。

 

始まったイノ☆コミ

たっちゃんと話をしようと声をかけてくださった区長さんたち。

 

 

「干し柿みんな食べられてしもた!!!」

どうやらアナグマにやられたという区長さん。
畑仕事をしている横をとことこと歩く姿はかわいいけど困っていると話してくれました。

たっちゃんの話を聞いて、「集落のみんなと、どう共通理解を持つか が課題だ」と感じたそうです。

 

「カメラやアプリはいくらくらいするとね?」

と聞いてきた方もいました。

東京ドーム90こ分の広さの牧場に、シカが60頭いたことから、伝染病を心配していらっしゃいました。

また、山の財産である檜もやられて山の価値も下がっています。
シカネットが効かないようで…喫緊の課題です。

阿蘇ならではの、野焼きの後にシカがよく出てくるようで、3月に視察に行くことを約束しました。

 

それぞれの立場で

行政の担当さんがどれだけ  “自分ごと”になっているかは重要で、それで地域の可能性が変わるのは間違いありません。

それぞれの立場と強みがあります。
行政にはお金があるし、動き方も大きい。それをうまく市民が活用すれば、自分たちだけでは手が届かないところにも届くようになります。

民間はフットワークが軽く、ひとまずやってみることができます。だからこそ農家ハンターはたくさんのノウハウとデータが揃いました。

 

農家ハンターは、自分の地域を守るだけでなく、みんなが自分の地域を守れるようにすることを目指しています。

それぞれの強みを活かして共に目標に向かうスタイル。
わたしが大好きなところです。

この記事をシェアする

2023.11.12

農業高校生の甲子園・日本学校農業クラブ全国大会で、高校生に伝えたこと

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2023年11月彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

農業高校生の甲子園

全国の農業高校にとっての甲子園、「日本学校農業クラブ全国大会」が熊本で開催されました。

集まったのは、日本の未来の農業のエリートたちです。

全国各地から、225名の生徒さんと123名の引率の先生方、そして八代農業高校や泉分校の生徒さんと先生方302名、合計650名が集い、2泊3日で様々な研究や学びを発表し合うこの大会。

「コロナ禍によって失われた地域連携を、農業クラブ活動によって復興させるにはどのような取り組みがあるか」などのテーマで9会場の分科会に分かれて、事例を発表したり意見を交換します。

あぁ難しそう…!

 

 

プログラムの最後に稲葉たっちゃんが講演をしました。

テーマは、「地域と畑は自分たちで守る!」です。

 

 

・止める(=命を終わらせる)のは辛い。今も辛い。できればしたくない。でも誰がするのか?「誰かがする」という意識では、鳥獣害被害は解決しない。

・鳥獣害対策にICTで立ち向かうことに、前例がなかった。だからやったこともないプログラミングなどにも興味を持って、一つ一つやってきたことが活動に生かされ、更に機器やアプリの開発などにも繋がっている。デジタルに強くなると、例えばハウスの温度管理などにも技術や知識を活かせる。農業でもデジタルを味方につけることが大切だ。

・活動を初めてしばらくは交通費も自前だった。でもお金がないと続かない。続けられるように法人化し、ジビエファームをつくり、イノシシさんの命を活用することで続けられるようにした。

・猪さんの捕獲後の処理がどの地域でも課題になっている。埋められているならまだいい方で、上にパラっと土をかけられるだけのこともある現実。自分たちはそうでない方法で命を大切にしたかった。

・解体数は捕獲に対して16%。人間が食べたい猪じゃないと売れない。命を無駄にしないようにしたい。そのため、ジビエ以外にも堆肥やペットフード、革製品として活用している。

 

農家ハンターの7年間を伝えます。

 

 

一歩前へ

「自分は家族経営の小さな農家の1人。

それが、鳥獣害対策をすることで機器の開発に携わったり、こうして何百人もの前で話をしたりと、可能性がぐんとひろがった。

一歩踏み出して、ストレスを感じながらでも少しずつ挑戦していく。そうやっていけば日本を変えていけると思っている。」

 

等身大のたっちゃんの思いを高校生に向けてエールのように送った言葉は、高校生にどう届いたでしょうか。

 

お礼の挨拶をしてくれた代表の生徒さんの言葉の中に、デジタルに強い人材になる大切さを学んだということが添えられていました。

 

わたし、何度も何度も聞かせていただいていますが、この日はまたぐっときました。

それはたっちゃんの奥にある思いを、ストレートに高校生たちに届ける姿勢に、だと思います。

「届けたい相手に精一杯、誠心誠意」を毎度感じて、心が痺れるのです。

 

先月、猪上くんやたっちゃんが授業を通して関わった八代農業高校泉分校の高校生から聞いたことがあります。

「農家ハンターに、僕は人生変えてもらいました。感謝してもしきれません。」

 

記念品にまた感激!

心のこもった記念品が、全参加者に配られました。

八代農業高校泉分校の生徒さんたちが作ったペットボトルホルダーが
記念品として参加者に配られました。彼らが捕獲した猪さんでできています。

 

難易度の高い、ネジネジスタイル。

冬に初めてネジネジキーホルダーに挑戦した授業で、苦戦していたみなさんの様子を見ていました。

 

講演の後、校長室でたっちゃんはそれを見ながら
「上手にできとるね〜。あがんみんな難しい難しいて言いながら苦戦して作りよったのに。涙出るばい」

と嬉しそうに言っていました。

 

生徒さんの素晴らしさを語り合った橋口校長先生と最後に一枚。

この記事をシェアする

カテゴリー
アーカイブ