農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2023年12月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。
12月、熊本農業高校の有志の3年生が戸馳にいらっしゃいました。
進路が決まっている彼ら。
大学に進学したり就職したり様々ですが、いずれ就農すると決めている皆さんです。
吉田畜産へ
挨拶もそこそこに、予定していた宮川洋蘭でのレクチャーを後回しにして
向かった先は、三角の経済を引っ張る吉田畜産さん。
戸馳島に牧場があると聞いてはいましたが、実際にお邪魔するのはわたしも初めてです。
「熊農の後輩が来る」ということで、急遽受け入れてくださいました。
牛の愛らしさにみんな顔が綻びます。
子牛だけでなく、大人の牛も、当たり前のようになでなで。
ベロを掴もうと挑戦する生徒さんもいました。
イタズラではなくコミュニケーション!
生き物を愛する、心優しい生徒さんたちです。
「どんどん質問しよう!」という宮川さんの言葉もあり、みなさん少しずつ手が挙がるようになりました。
吉田さん親子からのメッセージ
◎好きな情報だけを入れるのではなく、いろんな情報を入れるようにする。
◎ネットは全部を教えてくれない。現場を知ることが大切。
◎世の中を、世界を見る。
◎勉強はできんでもいいけど、頭は使うようにしよう
戸馳、なんだかすんごい農家さんが集まっているように感じます。夢がある!
吉田畜産さんからの帰り、バスに乗り込むと尋常じゃないハエの数。
驚きました。
「きゃー」とか「うぇ〜」とか声があがりそうなものですが、この高校生からは一切そんな声は聞こえてきません。さすが!
「つくる」と「まもる」はセットで考える
さて、鳥獣害対策について。
宮川さんからは、これから農業をしようと志すみなさんには、農業と鳥獣対策はセットであることを伝えました。
対策は、「猟師が」ではなく、「農家が」するもの。
農業するなら無関係ではいられないことです。
狩猟免許のうち、わな猟免許は18歳から取得できますから、がんばれば当事者になれます。
お米、大豆、麦などは平地で作れますし、輸入もできる食材です。
一方、食を豊かにするものは、中山間地域でつくられるものです。
そしてそれらは、作業の機械化が難しい傾斜地でつくられたり、年に一回しか収穫できないものも多いです。
そんなものが動物に狙われるから、農業を続けていけないということにもなってしまいます。
山に、イノシシさんのごはんとなるものがないわけではありません。
里山に美味しいものがあるから降りてくるそうです。
50年前のほうが、山はもっと木々が少なかった。
それでも里に降りてくるイノシシさんが少なかったのは、里には食事がなかったことと人が怖かったからかもしれません。
農家さんのこと、農村の課題、地域課題を視野に入れた、プレーヤーになってほしいと宮川さんからのメッセージです。
何が正解?
カモさんの被害からレンコンを守ろうと、農家さんが畑にネットを張りました。
ネットにひっかかったカモを、ワシが襲いました。
翌朝、通学途中の小学生がネットにひっかかった瀕死のカモを見ます。
鳥を愛する会から、行政向けに「いかがなものか」と連絡が入ります。
では、農家さんはどうやってレンコンを守るといいの?
という迷宮入りしそうな問いが投げられました。
生徒さんから出た案をいくつか紹介します。
・カモを他のところに誘き寄せて、餌を食べさせる。(間接的に畑に行かないようにする)
・死んだカモを吊るしておく
・飛んできたカモを捕まえて合鴨農法に活かす
・鷹や鷲などをたくさん放つ
・ハウス栽培する。
農水局から研修に来ている少しお兄さんからは
・カモが渡来する原因を解明する
難しい問いです。が、リアルな課題ですし、熊被害があっているところと似た構図です。
喜ばれる農業を
宮川洋蘭で取り組んでいる、
「エコ 且つ捨てやすい容器・支柱」を使うのはなぜか。
お客さんのためです。
これまでの当たり前だった、高級感のある重い陶器や捨てづらい鉄の支柱にも疑問を持ち、変えたこと。
発送する際に使う新聞紙は、熊日新聞を使うことでローカル感を味わってもらうこと。
「お客さんが喜んでくれること」を考え、大切にすることで生まれたものです。
捨てるしかなかったものをアップサイクルして生まれた製品も人気です。
宮川洋蘭のイチゴを食べて生徒の皆さんが「品種当てゲーム」をしていました。
さすが、ピシャリと当てます!すごっ!
最後、ジビエファームを見学して終了!
「いつでもコメを!」のステッカーがかわいいバスで元気に帰って行きました。
後輩である農業高校生の視察ということで、嬉しそうだった宮川さん。
稲葉たっちゃんもですが、こうして若い人たちに伝えることを惜しまない姿をいつも拝見しています。