農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2024年11月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。
菊池市市野瀬地区へ
この日は、菊池市役所から依頼を受け、菊池市市野瀬地区にて住民の皆さんにセミナーを行いました。
この地区では、栗、梨、柿などを育てておられます。ほぼ全員イノシシ被害に遭っているとのこと。歴史ある公民館でお集まりになられた住民の皆さま、イノシシの農業被害について話をしました。
「守る」がテーマのセミナーです。
お聞きすると、地区全体で協力し、農地を電柵で囲っておられるそうです。テスターをお持ちの方は4割ほど。
電柵の効きをどのくらい感じているか?という質問には
「はじめだけ効くものですよね」。
ワイヤーメッシュに対しても同じ印象のようでした。
「あまり効かないけど草刈りの手間がかかるのが電柵」となると、コストをかけてももったいないですね。
草刈りの手間を省くため、防草シートの上に電柵を張りたい人もいます。でも、そうすると電気が流れにくくなってしまいます。ワイヤーが入っているものだったら通電するのでOkです。
高齢化も進んでいますので、自分たちの畑だけでなく辞められた農地をどう守っていくか、ということも課題なんだそうです。
みんなで手を携えて対策をすることで、その地区での農業がしやすくなるといいなと思います。
情報をアップデートして、罠を張ることのゴールを確認し、「これから自分たちの農地をどうしていくのか」と問題意識をもちながら進められた会となりました。
現場へ
座学のあとは現場へ。公民館から車で5分、山に入りました。
畑の脇に斜面がある場合、斜面の下と上、どこに柵を張るのがいいのか?
コンクリートにしてしまうと草刈りの手間が省け、管理しやすい、などの話があがりました。
電柵は効かないもの? いえいえ…
たっちゃんは「電柵、ちゃんとしたら効きますよ」「テスターで確認して、問題のあるところをいじってやればよかですよ」「張ったら終わりじゃなかですよ」と繰り返し。
皆さん、「ちゃんと効くものなんだ…」とちょっと驚かれた様子。被害が続くと入るのが当然のような気持ちになるのはなんとなく分かる気がします。
でも、現場を見ると、電柵の高さが、地面から20cm40cmになっていなかったり、電気がうまく流れていなかったり。柵の支柱と支柱の隙間や高さのあるところから動物が入っている様子が見えました。弱いところ(突破されそうなところ)が明確になり、次にすることが見えてきました。
「ばりっとすれば、必ず効果はある!」
たっちゃんは断言します。
異音のする電柵の本体、「どうしたらいいですか」と聞かれてたっちゃんが5秒で解決したのはびっくり!「おぉぉ」と歓声があがりました。かっこよ!
熱心にたっちゃんの話を聞いて質問する若いご夫婦、農地を守りたいという思いが伝わってきました。
たっちゃんの稲葉農園でも、つくっているお米とみかん、収穫の時期が違うため電柵は使い回しているそうです。お米の獲れる頃にはお米に、そしてみかんがおいしくなり始めてからはみかんに。そうすると電柵本体は使いまわせます。
電線を張るなら必ず電気は流さなければなりません。「電柵は怖い、痛い」と動物が知ることで侵入の予防になる心理柵だからです。「この時期は別に入ってもいいから電源だけ切っておこう」として、電線があるのに「痛くない」となるのは逆効果になるということですね。使わない時期には電線を外しておき、本体は次の農地にまわせばいくつも買う必要はありません。効果はそのままでコストカットできるのは理想的!
梨畑の周りでは、イノシシさんと遭遇する人多数で、イノシシさんが持ってきたであろう果物がこの辺に落ちていることもあるそうです。写真の左側の森から来ているんでしょう。
獣道、ありました。
ここから畑まで一直線。
カメラで状況を確認すると対策も一気に進みます。
ということで、現場に行くとたくさん見えてくる!と改めて思った日でした。
市野瀬地区の皆さま、お邪魔しました!