活動ブログ

BLOG

2025.03.11

3年の集大成!イノシシ粉マシーン導入のため休眠預金を活用

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!

2025年3月彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

 

休眠預金活用事業というのをご存知ですか?

銀行でなが〜く眠る預金を社会課題の解決のために活用するものです。例えば口座の持ち主が亡くなり、相続手続きなどされないままになっていたり、あまり入っていないからとそのまま忘れていたり。そんなお金は国単位で見ればかなりの額になります。ただ眠らせておくのではなく、資金として社会にとって必要な事業に活用していこうと始まったものです。(ちゃんとお金は引き出せますのでご安心くださいね)
わたしの遠い記憶にもありますが、確か残高は数十円・・・口座を解約するには印鑑の変更や住所変更の手続き、通帳紛失届など諸々しなきゃいけないことを思えば、そのままにしておきたい(笑)。こうして活用していただけるなら胸を張って放置しておこうと思います。

 

さて、農家ハンター(株式会社イノP)は、その休眠預金を活用することが認められ資金分配団体である『一般社団法人SINKa』さんより、3年間の伴走支援を受けてきました。1週間に一度、メンターさんとメンバーでミーティングをするという時点で、伴走の本気度が窺えます。農家ハンターだけでなくSINKaさん側も大変な3年間だったろうと思います。

その集大成として、
ソーシャルビジネス次世代フォーラム~九州の若者による地域価値創造事業の輪を広げよう~休眠預金等活用制度に基づく2021年度事業「SB第3世代による九州位置(地域)価値創造事業」成果報告会 が開催されました。

 

SINKa代表の濱砂さん

 

同じようにSINKaさんから支援を受けている他の4つの団体の報告と座談会に、これから活用していきたいと考えている企業・団体などがリアルとオンラインで参加しました。

 

3年間で行ったこと①イノシシ粉末化マシーン大型化!

報告のトップバッターはイノP!楠田さんが登壇しました。

 

この休眠預金を活用して行ったことは、イノシシさんをまるごとパウダーに変えちゃうイノ粉マシーンの導入と設置です。これまでプロトタイプをジビエファームに置いていただいていましたが、より多くの頭数を一度に処理できるよう大きいサイズを導入、場所もこれまで置いていた場所から変更しました。

 

なぜ大型化する必要があったかというと捕獲数が増えたこと。

捕獲したイノシシさんをジビエとして利用できるものはごく一部で、手間と人手を要します。ジビエに向かない個体や、解体して肉にならない部分を焼却するのにもコストがかかります。

かといって、処理の仕方として主流となっている埋設は多大な労力が必要で、捕獲数が多い場合は不向きです。

ということで、イノシシさん投入から5時間でパウダーになり畑に撒いて活用できるイノ粉マシーン を大型化することが望ましかったのです。

 

もう一つ、メンタル面の理由もあります。捕獲のための罠を設置する農家さんの多くは、できることなら命を奪いたくないとお考えです。せめてその命が何らかの形で使われてほしいという思いでした。埋設と粉末にして畑で使うのはどちらが精神的負担が軽いかアンケートをとったところ、粉末にして畑で利用したいという声が9割を占めました。

 

1月についに導入に至り、運用がスタートしたばかりです。

 

3年間で行ったこと②人材確保

楠田さん、頭のきれる方なんですが、ユーモアセンスも抜群です。

「人件費に充てられる補助金はあまり多くありませんが、今回はそれができたので人材を確保できました。それがわたしです」

この流れに笑いと拍手が起こりました。そうそう、そうなんです。

 

そしてそんな楠田さんの功績の一つに 鳥獣対策スタンプラリー があります。
仕掛けを楽しみながら鳥獣対策に取り組めるものです。チェックリストも作成していましたので、「誰もが気軽に鳥獣対策の第一歩を踏み出せる」仕組みが整ってきているように思います。

 

3年間で行ったこと③セミナーや視察の受け入れ

講演やセミナーに参加されたのは3年で2200人、農家ハンター、イノPの拠点である三角町の戸馳島に来られたのは439人(以上)!

その中から、この農家ハンターがやってきたモデルの中から取り組みたいという声が多数挙がっているそうです。

 

さらに、IcTを活用してきた、データも役立つ道筋が見えてきたと話がありました。7年間の活動の基礎やデータが、これから分析や他地域に生かされていくでしょう。データがあり、それを周りに伝えているからこそモデルとして広がっていくということですね。

 

失敗は失敗にあらず

「包み隠さない」のが農家ハンタースタイル。失敗もオープンにすることで、同じ志を持った人が同じミスをしなくていいように。

イノシシ粉末化マシーンの設置場所の選定、必要な手続きなどが煩雑で想定よりも時間がかかったと報告の中で話されました。もともと予定していた土地近くの住民の方から設置に不安の声があがり変更することにしました。が、その土地はもともと農地だったため農地からの転用手続きが必要でした。その手続きはタイミングが限られているため、手続きに1年かかりました。さらにその手続きの中で、機械設置に関してさまざまな確認事項が発生し、それをクリアするのにまた1年ほどかかったというわけです。

 

ソーシャルビジネスは、地域課題・社会課題の解決にビジネスで挑むことなので前例のないことも多く、一歩一歩道を拓くパイオニアのようなものだとわたしは捉えています。思わぬ事態に直面して、その都度一つひとつクリアしていっています。失敗にも見えるそんなことも、次に同じ道を歩む人にとってはどんな手続きが必要で注意していかなければならないかを示す教科書になります。

メンターの大堂さんからは、

「鳥獣対策は誰がやるかという問題があり、国も県も農家の方も、みんな正解がわからないところだけど、こうして代表の宮川さん、現場の稲葉さん、農水省から来た楠田さん、他雨や解体をする井上さんがいて、全国に発信し、良いチームで取り組んでいる」とコメントがありました。

 

 

他にも、与論島で活動する一般社団法人E-Yoronさん、福岡県大牟田市で活動する大牟田ビンテージのまち株式会社さん、対馬で活動する一般社団法人MITさん、同じ熊本の菊池市で活動する株式会社フリップザミントさんの報告がありました。3年でそれぞれの結果を出しておられます。課題に取り組むだけでなく、それを足がかりにさらに成長されるお姿に脱帽の思いでした。ビジネスを成り立たせるだけでも簡単ではないですが、描く図によって地域課題の解決が想像以上の展開につながっていくことも、3年という長いスパンで実行するものだったからこそ見えるものではないかと思います。

また、「休眠預金は、他の補助金や助成金とは違い、おばあちゃんたちが貯めたお金だったりします。使うのも大切にそのことを感じながら使わせていただく気持ちで」と次世代の方へのメッセージとも言える言葉もありました。だからこそ、社会にとって、地域にとってプラスとなることに使うということなんですね。

 

 

トークセッションでも、宮川さんと稲葉たっちゃんは仲良し、良いコンビです。

 

 

最後に、この休眠預金事業を活用して導入したNEWバージョンのイノ粉マシーンがこちらです!

 

鳥獣害対策に取り組みたい人にとって大きな壁である「捕獲のその後」の一つ、”処理”をスムーズにすることができます。ここをチャレンジセンターとして活用していくことになります。

この記事をシェアする

カテゴリー
アーカイブ