農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。
2025年9月、熊本県八代工業高校で行われた「鳥獣対策の授業」に同行しました。これは熊本県の狩猟PR事業の一環です。その様子をレポートします。
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【レポートのポイント】
▶︎八代工業高校での活動
▶︎国鳥・キジを解き放て!
▶︎罠に触れる
▶︎銃に触れる
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八代工業高校で授業が行われた理由
これまで農業高校や家政科のある学校での授業はありましたが、工業高校での実施は初めてでした。
八代工業高校では、機械科に「ハンター班」があり、高校生のジビエ料理対決「ジビエ甲子園」にも出場経験があります。罠の設計や情報科で鳥獣対策アプリの開発に取り組むなど、鳥獣対策に積極的な学校です。
八代の山でキジを放鳥
当日は、人吉から雉職人がキジを連れて来られました。
みんなで八代の山へ放鳥しました。
鳥獣害対策は、数の増えた動物や人間生活に害のある動物を減らすことだけでなく、数の少なくなった動物を増やすための取り組みも行います。
生徒たちは初めてキジに触れ、自然の中に飛び立つ姿を見て、野生動物と人との関わりについて考えるきっかけを得たように思います。
JICAの2人も一緒に!
箱罠の仕組みを学ぶ
授業ではまず、実際の箱罠に触れて仕組みを学びました。
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床の素材:水や土に触れて錆びやすいため、メッキ加工が施されています。
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構造の強度:イノシシが助走をつけてぶつかる前後部分は強く作られ、側面は比較的弱い構造。これは動物の行動特性に合わせた工夫です。
生徒たちは「イノシシの力で罠が変形することがある」という説明に少し驚いたような表情をしていました。
くくり罠の特徴と注意点
次に紹介されたのは「くくり罠」です。シカはくくり罠での捕獲が中心ですが、頭脳派のイノシシにも効果的です。
捕獲された場合は箱罠よりも注意が必要です。
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足を怪我したり切断して逃げてしまうリスクがある
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可動範囲が広いため止め刺しの際に危険が伴う
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匂いに敏感なイノシシは、新しいものへの警戒心が強く、新品の臭いを察知して避けることがあるため、水に漬けたり土をかぶせて設置する工夫が必要
設置場所がわかりにくく、人が誤って踏んでしまう危険性もあります。冷静になれば仕組みを理解して外せますので、万が一かかることがあってもパニックにならないようにしましょうね!
くくり罠のワイヤーを動物が噛んで切ることもあるか?と質問がありました。
威力の強いイノシシさんですが、噛んでワイヤーがちぎれることはありません。でも長く使い、ひっぱりすぎて何かの拍子で切れることはあるかもしれませんので、メンテナンスの際はチェックしてくださいね。
猟銃を触る!
授業の後半では、農家ハンターの稲葉たつやさんによる鳥獣対策の基本講座が行われました。
それから、狩猟免許がなければ触ることのできない猟銃に、生徒たちは実際に触れる貴重な体験をしました。安全のため、弾は出ない体験モデルですが、それ以外は本物と同じものです。
なかなか質問の手は挙がりにくいものの、狩猟に関わる活動を行っている生徒たちは真剣に話を聞き、メモを取りながら学んでいました。
狩猟免許を取得する意欲のある生徒の皆さんでした。次世代を担う高校生たちが知識を身につけることは、未来の農業や地域づくりに直結します。