農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。
2025年9月、九州農政局でインターン中の大学生が農家ハンターに研修に来られました。現地でインターン生が学んだ有害鳥獣対策の取り組みをレポートします。
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【レポートのポイント】
▶︎農家ハンターの活動紹介
▶︎ICTを活用した箱罠の工夫
▶︎減溶化施設の役割
▶︎捕獲や処理に伴う負担について
▶︎元耕作放棄地で学ぶ電気柵の実習
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イノP/農家ハンターの活動
地域の有害鳥獣対策における課題は何か。
農家ハンターは2016年から活動を始め、試行錯誤の中で得た知見を活かし、同じ悩みを抱える地域での対策にもつなげています。現在はセミナーや研修を通じて、その取り組みを広く共有しています。
ICTを活用した箱罠とイノシシ対策
箱罠を初めて見たというインターン生のお二人。
箱罠の工夫や、箱罠を選ぶ理由、たっちゃんがICTの導入が、農業を営む鳥獣害対策従事者にいかに重要かなどが伝わったかと思います。
箱罠を初めて設置してから、半年以上1頭も捕獲できなかった経験も、ICTを導入することで相手(イノシシさん)を知り対策するという流れへと繋がりました。困ったり苦労した経験は、他の地域での対策にも活きています。
エサの種類について、箱罠のつくりなど質問がありました。
イノPでは、エサに米ぬかを入れることが多いです。理由はコストが抑えられるから。
他に、その地で獲れるものを置くところが多いです。みかんの産地ならみかん、梨の産地なら今頃なりが転がっているでしょう。
減容化施設で学ぶ捕獲後の処理
イノシシさんを、5時間でまるごとパウダーにする減溶化施設へ。
処理の方法として、捕獲して止め刺しした後に、捕獲した場所で1m以上の深さの穴を掘って埋めると定められていますが、機械も入れないような場所に置く罠で、手作業で掘るのは容易ではありません。そのため、土をただかけるだけにとどまるケースが多い実情です。
そこで、この減溶化施設が希望の光なのです。
感じる負担は誰のもの?
捕獲する人のケアについても話がありました。
止め刺しには、精神的に大きな負担を伴います。肉体的にも簡単ではありません。
他にも上記の通り、処理も肉体的な負担が大きいです。
負担を個人の問題にせず、軽減する仕組みをつくることは担い手を増やす上でも不可欠です。
地域をまわると、見回りが時間的に負担だという声があります。
箱罠を設置する有資格者は見回りやエサの用意等の役割を担うのが自然のようですが、地域のためにやっていることですので、地域で分担することで特定の誰かに負担が集中しない体制を整えることが重要です。
資格のない人も見回りをしたり、エサを用意できますので、地域一丸となってチームワークで取り組むことの大切さを、セミナー等ではいつも伝えています。
減溶化施設の前に置いてあった堆肥、新品のものが破られていました。イノシシさんがスンスンしたようです。
元耕作放棄地で学ぶ電気柵の実習
耕作放棄地だった畑を復活させたエコファームに行きました。
草刈りが追いつかない場所は、葉っぱが当たっていました。
これで漏電し、通電が悪くなっていきます。「皆さん、ここに気をつけてね!」のサンプルです。セミナーでも必ず伝える注意点です。
ここでは部分的に電線が編み込んであるタイプの防草シートを活用しています。幅が60cmのものと80cmのものがあります。どちらも使っていますが、80cmの方がより使いやすいという意見がありました。
電線の結び方にもコツが。ただ結ぶだけでなく、少し遊びを持たせ、カバーを少し剥いでくくりつけるのが◎です。
一生懸命守ったさつまいもは、元気に葉が伸びていました。土の下で美味しいお芋が育っているんでしょうね〜!
インターン生の視察はこれで全日程。質問をしたり熱心にメモをとったりする姿が印象的でした。今回の研修で得た知識が、今後農業に関わる仕事の中で活かされることを願っています。