農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2023年 11月 彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。
阿蘇の区長さんに向けて
阿蘇地区長行政研修会 にて、稲葉たっちゃんが講演しました。シャンデリアの下で。
阿蘇地域はイノシシさんもシカさんもたくさんいて、しっかり被害を受けています。
林業被害から農業被害に広がり、やがて人的被害に繋がる。
動物が近くにいて怖い、危ないとなれば、過疎地域はますます人が少なくなってしまいます。
それを防ぐためにも動物さんには山にいてもらいたいのですが、
猟友会はどこも高齢化しています。
稲葉たっちゃんは、「今が大事。もう10年もすれば技術の継承すら難しくなってしまう」と言います。
猟友会のおじちゃんたちが元気な売りに技術を学んでおくことが、未来の地域を守ることになります。
地域に動物さんを寄せないようにするために、収穫しない果樹は切る、後回しにしたらそれもできる人がいなくなってしまいます。
具体的な、効果的な対策についても伝えます。
農業の辞め方を示す
「農業の辞め方」を示す必要があるのではないか、ということも話がありました。
耕作放棄地は動物さんの隠れ場所になり、そこが人里との接点になります。
耕作放棄地をそのままにしないためにも、高齢化で農業をやめる人が増える近い将来を見据えて、「上手に農業をやめることで地域を守る」というわけです。
何事も、はじめ方は教えてもらえても辞め方はなかなか教えてもらえません。
指針があるといいですね。
参加の区長さんから
「高齢化や動物保護法もあって、対策しづらいというのが正直なところ。地域を横たわって被害があっているのが課題だと感じます」
「猟友会への世間の目も厳しい。銃が怖いとか。なかなか獲りづらい環境があり、もっと厳しくなっていくのではないかと思っている」
「行政にはもっと補助金を出してほしい」
という声があがりました。
たっちゃんは、
「補助金を活用しきれていないのが、各地域の現状。モノの選び方、柵の張り方など間違っていることも多く、効果的な捕獲に繋がらない。柵などのハード面はだいぶ充実してきた。国・県・市の補助を活用して、もっと学ぶ機会をつくってほしい」
「被害が多い地域に対策費は多く分配される。そのためデータをしっかり取って、対策費を確保することも重要」
「集落の予算で、誰かが代表して免許取ったり、罠を買ったり、地域で取り組む必要がある。誰かが頑張りすぎると、『あいつがするだろう』となってしまうから、お金もマンパワーもみんなで捻出した方がいい」
とお答えでした。
阿蘇市の担当さんと
「カラス対策のゴミ捨てと一緒」
これは分かりやすい例でした。
初めはあんまり興味のなかった人も、「困るよね」から始まって網を張ったりするようになって対策してきました。
今ではカラス避けネットは一般的ですよね。
鳥獣害対策も同じです。
「人任せにしない」が対策のキモ。
経験と知識の豊富な先輩方が集まる猟友会と、例えば孫世代の高校生がタッグを組めば
デジタルも駆使して、ぐんと対策が進むのではないか、と市の担当さんやたっちゃんが話していました。
始まったイノ☆コミ
たっちゃんと話をしようと声をかけてくださった区長さんたち。
「干し柿みんな食べられてしもた!!!」
どうやらアナグマにやられたという区長さん。
畑仕事をしている横をとことこと歩く姿はかわいいけど困っていると話してくれました。
たっちゃんの話を聞いて、「集落のみんなと、どう共通理解を持つか が課題だ」と感じたそうです。
「カメラやアプリはいくらくらいするとね?」
と聞いてきた方もいました。
東京ドーム90こ分の広さの牧場に、シカが60頭いたことから、伝染病を心配していらっしゃいました。
また、山の財産である檜もやられて山の価値も下がっています。
シカネットが効かないようで…喫緊の課題です。
阿蘇ならではの、野焼きの後にシカがよく出てくるようで、3月に視察に行くことを約束しました。
それぞれの立場で
行政の担当さんがどれだけ “自分ごと”になっているかは重要で、それで地域の可能性が変わるのは間違いありません。
それぞれの立場と強みがあります。
行政にはお金があるし、動き方も大きい。それをうまく市民が活用すれば、自分たちだけでは手が届かないところにも届くようになります。
民間はフットワークが軽く、ひとまずやってみることができます。だからこそ農家ハンターはたくさんのノウハウとデータが揃いました。
農家ハンターは、自分の地域を守るだけでなく、みんなが自分の地域を守れるようにすることを目指しています。
それぞれの強みを活かして共に目標に向かうスタイル。
わたしが大好きなところです。