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2024.09.30

イノシシとの知恵比べ!南小国・田尻轟地区での勉強会

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2024年9月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

南小国町 田尻・轟地区で鳥獣対策セミナー

 

 

南小国町の田尻・轟地区で住民の方に鳥獣対策勉強会をお行いました。

イノシシさんが多くいる地区、対策には餌付けSTOP対策が有効だということで、南小国町の農林課有害鳥獣担当の職員さんが企画され、地域の会合の一環で場が設けられました。

皆さんとても距離が近く、コミュニケーションをよくとられている地域のようでとっても和気藹々。明るくて終始笑いと会話に包まれる2時間でした。

 

さてイノシシさん。どのくらい身近かとお聞きすると、畑が荒らされていたりあちこちに山から降りてきている痕跡があると言います。

 

実際、セミナー前に地区を調査した農家ハンター部隊も

山際に イノシシさんの通り道や痕跡を見つけたりしてどんな経路でイノシシが集落に降りてきているか予測を立てました。

柵やイノシシ避けリボンでまた、対策をしているのが分かりました。

 

ワイヤーメッシュや電柵について、どこの地域でも間違いやすい点をここでもシェアしておきますね。

 

・ワイヤーメッシュが裏表逆に張られている → 横目が畑の外側に来ると、動物が引っ張って溶接部分が取れる可能性がある。横目が畑川、縦目が外側にくるようにする。

・ワイヤーメッシュが、隣と重なっていない → 両隣のワイヤーメッシュと少し重ねることで隙間からの侵入を防げる

 

「ワイヤーメッシュは裏表ってあったとね!?」とみなさんびっくり。

 

 

他にも、電柵のソーラーを守ろうと、ビニールをかけてあることがあります。雨風から守りたいからですが、しけって機械が壊れる可能性があるので逆効果なんですって。

 

電柵は、地面から20cm、40cmの位置に張るのがベストです。が、まっすぐフラットな地面ならばラクですが、畑の周りや山の中だと凸凹していたり石ころゴロゴロだったり穴があったりしますよね。そんな場でいちいち測って調整するのも手間なのでざざざっとしちゃうことも多いです。また、電柵を効果的に使うには周りの草刈りが欠かせませんが、20cmなんてあっという間なので草刈りの頻度を減らすために柵を高めにしてしまいがち。

でも、電柵は『イノシシさんの濡れた鼻に当たって電気が流れ、「痛い!」となって近づかない』が目的。鼻に当たらない位置にきちゃうと効果がないのです。

 

他の柵もそうですが、ホームセンターで簡単に購入できても張り方を教えてもらう機会はなかなかありません。導入業者さんも詳しくなかったりするので張り方が自己流になってしまう場合が多いそうです。正しく理解できると効果が変わってきます。

 

 

草刈りの手間を省けるよう、たっちゃんから、電気が通る防草シートが補助金の対象になったため導入を検討されたらどうかと提案したところ、気になるのは費用対効果。50mで14000円程度で、3~5年持つようです。「コストはかかるけど長く持つなら……」という反応でした。

 

 

話の途中から、たくさんの質問が飛び交いました。特に柵のこととイノシシさんの生態についての質問に集中していました。

 

Q イノシシの移動距離は?どんな行動パターン?
A オスは、生まれたところから離れようとする。行動の習性として、目的期にまっすぐに行くのではなく、ずっと歩いてその目的地に近寄れるところを探します。だから柵を張っていても、どこか弱いところがないか根気強く探します。

 

Q 田植えをして、まだ稲も実ってない時に田んぼに入るのはなぜ?
A 食べるというよりも、水や泥が好きだから入るのかもしれません。https://farmer-hunter.com/blog/1229

 

Q イノシシ避けのリボンやラジオは効きますか?
A 最初は効くかもしれないけど、慣れると効果がなくなります。

 

シカさんは?

また、県内でのシカさんによる被害状況もお伝えすると、「毎朝聞こえてくるあの声は鹿だったったい!」と、この地区にも鹿さんの存在がじわじわと迫ってきているようでした。

 

道や畑や山際で見かけて「あ〜おるね、かわいかね」とほのぼのしていては、5年後にはシカさんワールドが広がってしまいます。増やたものを減らすのは大変。イノシシさんよりカモさんよりも、シカさんは農業・林業・人的に深刻な被害をもたらします。土砂崩れもそうですね。人間の生活・農業境界を超えないよう早めの対策が鍵なのです。

 

 

誰が担う?

誰かの土地や畑は、「所有者が守る」ということで分かりやすいです。けど、地域を守るためには、地域全体で面的に取り組み一人一人が自分ごととして捉えて結束していくことが必要です。

自分たちの手で地域や畑を守るには、自分たちがブレーンかつプレーヤーになること。

罠を仕掛けられるように、狩猟免許を持つ人が集落に必要です。そしてみんなで取り組む。セミナー会場として場を提供してくれていた女性は「誰か罠の資格とったら?」と提案しました。そこから誰が適してるか、自分だと通らないだろうけどどうだろうかと話が始まります。ここも例に漏れず高齢者の割合がぐんと大きいわけですが、それでも「自分たちで」となっていくこと素晴らしいなと思いました。

 

農家ハンターの活動は、「山にいる動物たちには手を出さない」をモットーにしていますが、場合によっては減らすことも含めた面的な動きが必要になってくることもあります。地域で話し合って、学びあって方針を決めていけるといいですね。

 

 

耕作放棄地

では、耕作放棄地はどうしたらいいでしょうか?全国的にも課題となっているこの問題。つくらなくなった土地をほうっておくと、動物の隠れ場となり、畑や人間の生活区域に近づくことになります。この地区でも、昨年度よりつくらない田んぼが増えたそうです。牛の牧草を作ったらどうかという話もあったようです。ただウリ坊さんは牧草が好きなので守っていかなければなりません。

たっちゃんからの提案は、「管理の手のあまりかからないもの、かつ動物が好まないものを植えるとどうだろうか?」です。例えばくぬぎ。2〜4年は草刈りが必要ですがその後は見通しのいい森になっていきます。動物の隠れ場になることも、放っておいて荒れることも管理の手をかけることもなくなります。農家ハンターでは、実験的に早生桐を植えています。

 

「いのししとの知恵比べたいな!」

「頭よかもんな〜イノシシは」

「俺がイノシシならちょっと電気が痛くても命懸けで食べ物のとこに行くもんな〜」

そんなことを話して帰って行かれました。誰もイノシシさんをバカにしておられませんでした。だからこそ生態についての質問が多かったのかもしれません。

 

イノシシさんソーセージの試食も好評でした!✨

 

田尻・轟地区との鳥獣対策は続きます。農家ハンターが現場で伴走していきますので、どんな成果につながるか私も楽しみです!

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