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2024.12.19

鳥獣被害対策の担い手となる皆さんへ

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2024年12月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。

 

 

鳥獣被害対策アドベンチャー開催

 

農林水産省による、鳥獣被害対策の担い手を支援するためのプロジェクトがあります。

どう鳥獣被害対策の活動をしていけばいいか模索する人が、すでに実施している団体のもとに集い、フィールドワークをするものです。株式会社パソナの農援隊が受託してプロジェクト【鳥獣被害対策アドベンチャー】を開催しています。農家ハンターも会場となっており、座学からフィールドワークまで、2日間かけて学ぶ講座が行われました。

 

 

今年も関東や九州各地から有志が集まりました。

・まちづくりに携わるので、その一環として鳥獣被害対策は欠かせないと思っているから
・水害の原因がとして、鹿の食害が大きな要因となっていることが分かり、人を巻き込んで対策をするためのヒントを得たい
・趣味で狩猟をやっているが、体系的に学びたいから
など、それぞれのバックグラウンドと参加理由がありました。

 

 

 

最初は座学。

鳥獣対策を実践する皆さんのための講座なので、失敗談も交えながら。

・イノシシが出始めの頃は、ネットでも情報は見つからなかった。だから対策も手探り。
「この土手、誰が掘った?」「誰が穴掘った?」という小さなハテナをそのままにしていたけど、それは「イノシシが来てるよ〜」のサインだった。そのサインを見逃したからここまで増えてしまった。鹿では失敗したくない。

・対策は、”獲る”から入りがちだが、基本は “守る”。
・地域の中で、最初は批判されたけど今では猟友会の皆さんにもご理解いただき、協力してやれるようになった。
・ITは味方。電柵のDX化でモニタリングできるようになっていたり、柵の点検アプリも開発されている。
・鹿は堆肥化できない。ペットフードには向いている。

などなど。

 

 

イノシシさんに会いに山へ

 

この日は、朝から箱罠にイノシシさんがかかっていたため、みんなで現場へ向かいました。車で20分、山の奥へ奥へと入ります。

 

箱罠にかかっていたのはメスのイノシシさんでした。

 

 

少し離れた場所で、皆さんに状況を説明しこれからすることや注意することなど話しました。 距離をとるのはイノシシさんを刺激し余計なストレスを与えないためです。

 

 

 

対策に従事する人にとって大きな関門であるのが【止め刺し】という命を止める作業と、その後の処理です。止め刺しは精神的負担もとても大きいものです。そのため、動物さんにとっても従事者にとってもできるだけ精神的肉体的負担の少ない方法を推奨します。

ということで、ここでは電気を使うやり方を見てもらいました。

 

この場面を皆さん静かに見守りました。

 

 

 

誰にでも、この止め刺しの現場をお見せするわけではありません。オープンにするような場面ではないということもありますし、人がいればいるだけイノシシさんにストレスを与えてしまいます。「学ばせてくれてありがとうという気持ちで、皆さんに見てもらいました」とたっちゃんは話しました。

 

余談ですが、たっちゃんや猪上くんにとって一番のやり方は空気銃です。銃免許が必要ではありますが、動物さんに近づかず、気づかれず、一瞬で仕留める空気銃がお互いにとって負担が少ないようです。ストレスが少ない分、お肉としても品質が良く美味しくなります。

 

 

猪上くん開発の運ぶ道具を使って、イノシシさんを車まで運びます。運び出しも結構な重労働、場所によっては車まで距離があることもありますし、70kgのイノシシさんだっています。この道具で、大きなイノシシさんでも1人で運べるようになりました。

 

今回のイノシシさんはメスで、鳴き声をあげたりと威勢が良く、とっても美人さんでした。ありがとう🙏

 

山を降りていると、とっても美しい景色!✨

 

 

焚き火とイノシシトーク

皆さんはそれから焚き火をしながら今日の感想を交えながらジビエBBQを楽しまれました。

 

バックグラウンドは様々だと先に書きましたが、サラリーマンをしながらできることをしようと狩猟免許を取ったという人もいましたし、できる範囲からスモールスタートしたいけどどう切り口を作るかといういう人もいました。

狩猟はしたいし、そのあと食すのも好きだけど、止め刺しはできれば避けたかった。でも、狩猟して食べる以上、向き合わなければと思っていますという声も聞かれました。

また、「空家対策をしているが、鳥獣対策も必要なことだと感じている。どう地域の人をまきこんでいくか」といった課題意識を持っている方もいました。農家ハンターもそうですが、鳥獣対策も空家問題も全国の過疎地域にある共通の課題です。そのため農家ハンターでも空家を買い、リノベーションして宿泊施設研修施設として活用しています。

 

質問もありました。

◆鹿がいることも多様性だと思うが、良い山とはどんな山ですか?

→どの視点から見るかによるけど、鹿が増え、下草を食べてしまったり好む樹を食べることで、特定の植物しか残らなくなるし育たなくなる。芽吹いたそばから食べられるため根がはらずにハゲ山のようになり山の力がなくなる。そうすると動物の種類も変わり、いなくなる種も出てくる。良い山とは多様な植物と動物がいる山だと思っています。

 

◆さっき止め刺ししたイノシシさんは今から食べれるか?

→食べようと思えば食べられるが、美味しいジビエにするためにはしっかり血抜きをして熟成期間が必要なのですぐに食べても美味しくない。なので今日は熟成した美味しいお肉を用意しました!

 

◆美味しいジビエとそうでないものの違いは?

→臭く感じるのは雑菌臭です。不衛生な状態で解体していたり、血抜きがうまくできていなかったり時間が経っていたりすると雑菌が増え臭くなります。季節や個体差もあるけれど、素早く血抜きをしっかりして、衛生管理された場で解体して、熟成期間をおけばおいしくなります。

 

 

 

 

同じ課題意識を持っているということもありますが、美味しいものを食べ、火を囲みながら話すと距離が縮まりますね。

 

 

翌日は地域の人に話を聞いたり電柵を張ったりと実践の日となりました。

 

 

参加された皆さま、2日間お疲れ様でした。それぞれの地でこれからますますご活躍されると思います!農業や狩猟をしていなくても、何かできることをという意識を持つ人がいるのは頼もしいなぁと感じたのでした。わたしもそろそろ……

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