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2025.12.17

鳥獣被害対策の最前線|熊本県実践塾で見えた捕獲とジビエの今

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。

今回は、熊本県主催「鳥獣被害対策 実践塾」のレポートをお届けします。
本実践塾は、県内市町村の担当者向けに開催されているもので、全3回のプログラム。今回はその第3回目
として、戸馳島を会場に行われました。

現場を実際に見て学ぶフィールドワークと、関係者のリアルな声が詰まった内容でした。

 


【レポートのポイント】

◆  フィールドワーク1:箱罠 〜設置と考え方
◆  フィールドワーク2:減容化施設の役割と課題
◆  フィールドワーク3:ジビエファームの現場
◆  座学:ジビエ利活用の現状と課題
◆  現場の声を聞く!当事者トークセッション


フィールドワーク①|鳥獣被害対策における箱罠の考え方

 

最初に訪れたのは、イノシシの箱罠設置現場です。

 

狩猟と鳥獣被害対策としての捕獲は、似ているようで性格が異なります。
狩猟は嗜好性があり、山に入って行うもの。一方で鳥獣被害対策は、地域や畑に出没し、人や暮らしに被害を与える “加害獣” を、集落や農地周辺で捕獲することが目的です。

狩猟は時期が定められていますが、鳥獣被害対策の捕獲は通年で実施可能です。また、銃を使う狩猟とは異なり、山奥に箱罠を設置することはありません。

 

箱罠の設置場所は変えるべき?

参加者からこんな質問がありました。

| 箱罠の位置は変えますか?

これに対しての答えはこうでした。

| 「捕獲できないのであれば変えます。設置時には獲れそうな場所を選びますが、獲れない場合は、獲れない理由を考えて設置場所を変えることが大切です」

獲れる罠かどうかの判断基準

  • 事前にエサだけを置いて様子を見る

  • 近くに獣道があるか

  • お尻をこすった痕跡がないか

こうした点を確認します。
判断が難しい場合は、猟友会に相談し、協力を仰ぐことも重要だそうです。

新しい箱罠を設置する際の注意点

  • シルバーのメッキ部分は、塗装した方がよい場合もある

  • 色よりも「匂い」への配慮が重要

  • 設置前にしばらく野晒しにして人工的な匂いを落とす

  • 捕獲実績のある場所の土を使い、野生の匂いをつける

動物に警戒させない工夫が欠かせません。

片開きゲートが選ばれる理由

両開きタイプは中央に蹴り糸があるため、動物が奥まで入らないまま扉が閉まり、逃げられる可能性があります。
ただし、大型の箱罠では両開きが適している場合もあります。

 

箱罠とくくり罠のメリット・デメリット

〈メリット〉

  • くくり罠:低コストで設置しやすい

  • 箱罠:安全性が高く、捕獲後すぐに駆けつける必要がない

〈デメリット〉

  • くくり罠:動物が動ける範囲があり危険。ワイヤー切断や反撃のリスク

  • 箱罠:設置やエサに工夫が必要で手軽ではない

罠は「守り」とセットで効果を発揮する

いくら罠を設置しても、地域に簡単に食べられる作物が放置されていれば意味がありません。
例えば、周囲にみかんが落ちていれば、わざわざ危険を冒して箱罠に入ることはないからです。

鳥獣被害対策の基本は、獲る前に「まず守る」こと。
「餌付けSTOP」の取り組みがあってこそ、罠は効果を発揮します。

 

フィールドワーク②|減容化施設が担う役割と課題

捕獲後の処理は、今なお大きな課題です。

ジビエ利活用は全国的に進んでいますが、解体後に残る骨や内臓などの残渣は産業廃棄物となり、処理コストが大きな負担になります。

経験を積めば、解体前にジビエ向きかどうか判断できる場合もありますが、解体後に不適と分かるケースも少なくありません。

 

 

焼却処分には、住民理解や焼却施設整備が必要で、数億円規模の費用がかかります。

山中での埋設処理も簡単ではありません。
重機が入れない場所では手作業で、1.5m以上の穴を掘る必要があります。

現場では「欲しいのは人手ではなく“穴”」と言われるほど、過酷な作業です。

 

 

 

こうした課題を救う存在が減容化施設です。
ただし、課題もあります。

減容化後にできる「イノシシパウダー」をどこで、どう活用するか
堆肥としての活用を目指し、現在も模索が続いています

 

 

フィールドワーク③|ジビエファームから見える現実

ジビエファームでは、前施設長の井上さんが説明を担当しました。

趣味で捕獲した肉を分け合う「猟師肉」と、出荷する食品としてのジビエは全く別物です。
衛生管理を徹底した環境で解体することで、品質と味が守られます。

 

始めてすぐのジビエと、学びを深め経験を積んでからのジビエは全然違ったそうです。井上くんは、自身の失敗談を交えながら話しました。

 

 

ジビエ事業のリアル

ジビエの精肉を手探りで始めた農家ハンターでは、初めて直面することばかりだったそうです。

 

・捕獲した全個体がジビエになると思っていた

・実際は小さい個体や病変のある個体も多い

・1頭から取れるジビエは約3割

・残り7割は処理が必要

・経費は3割の肉から捻出しなければならない

民間事業としては、非常に厳しい現実です。

そのため、いきなり食肉加工施設を作るのではなく、減容化施設から始める流れが望ましいという考えが示されました。

 

座学|熊本県におけるジビエの現状と課題

「ジビエ利活用について」と題して話されたのは、
くまもとジビエコンソーシアム 事務局長・田川敬二さんです。

熊本県内の処理加工施設は、

  • 公設民営:10か所

  • 民設民営:9か所

施設のない市町村も多く、地域によって利活用の差が生じています。

捕獲数は多いのに、鹿のジビエが不足するという矛盾も起きています。

 

ジビエ流通の難しさ

  • 時期による品質・量のばらつき

  • 安定供給が難しい

  • 注文は少量・高品質志向

  • 卸が介在しづらい構造

この課題を解消するため、ワンストップで常時受発注できる仕組みづくりが検討されています。

現場の声を聞く!当事者トークセッション

 

有害鳥獣駆除に携わる4名によるトークセッションも行われました。

「地域を守る」という理想だけでは続かない現実。
行政や地域がどう関わるかを考えるためのプログラムです。

有害鳥獣駆除に取り組む4人によるトークセッションは面白かったです。

 

ゲストは、芦北地域より渡邊義文さん。猟友会事務局長。
そして不知火町の河野通尚さん。柑橘農家であり農家ハンターメンバーでもあります。

それから昨年までイノPに勤めていた井上拓哉さん、そして稲葉たっちゃんの4名です。

 

シビアな話ですが、従事する人がいなくなれば地域にとっての痛手です。誰もがやりたがることではなく、精神的にも肉体的にもハードです。また、捕獲した人には捕獲報奨金が出ますが、罠を設置したり事故で死んだイノシシの撤去を頼まれたり止め刺し(命を止める作業)だけをしたりと、金銭的にもメリットがない作業だけを担うこともあります。

たっちゃんが自分の地域で、地域を巻き込んで対策を進めなかったために「イノシシのことは、達也にさせとけばいい」という空気ができあがってしまったという失敗談を時々話されます。

 

いくつかピックアップしてリアルな(叫び)声をお届けします。

・『イノシシが捕まったけん来てくれ』と呼ばれて行ったらすぐそばに農産物の残渣の山。まず守りを固めて、近づけないようにしてくれ!

・依頼を受けて罠を設置に行っても、地域内で合意形成がとれていないことがある。合意形成は事前に自分たちでしておいてほしい。

・自分の地域はチームで取り組んでいるが、隣の地域が「あそこにやってもらえばいい」と他力本願になっている。

・止め刺しだけ頼まれる。自分もできればしたくはないし、やっても報奨金は捕獲した人にしか入らない。

・埋設場所の確保、運搬用の軽トラの支援があるといい。

・熟練者のルール違反があり、指摘すると怒られる。

・行政の猟友会への関与が不足すると、上層部にとって都合よく物事が進む。機材が若手や末端まで行き渡らなかったり、難しい案件や雑務だけが若手にまわってきたり。行政には農村のため集落のためにもっと関わってもらいたい。どうかビビらないで入ってきて!笑

・「やって当たり前」という空気感や態度を地域の人や行政から感じたら、一気にモチベーション下がる。

 

 

 

 

見えてきた課題

  • 行政職員の知識習得

  • 住民への啓発と講習の実施

  • 猟友会が捕獲に集中できる環境整備

  • 行政の積極的な関与

  • 報奨制度・手当の見直し

 

誰かを責めるのではなく、率直な思いが語られた時間でした。

 

取材を終えて

これまで5年超、農家ハンターやイノPを取材をする中で、
「なんで自分たちがこんなことしなきゃいけないんだ」
という空気を、井上くんやたっちゃんから感じたことはこれまで一度もありません。

ボランティアのような要請があったとしても
地域のため未来のために粛々と、知識を深め、研究し、実践していました。

時に理不尽なこともあるのだと今回知りました。

他の皆さんからのお話もありましたが、

感謝と協力

これに尽きるでのはないかと思います。

 

ということで、これまでにない実践塾、おつかれさまでした!

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2025.12.02

天草市で学ぶ野生獣害対策 ― 捕獲より先の「守る」講座内容とは

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。
今回は、天草市で開催された果樹農家向けの鳥獣被害対策講座についてレポートします!


天草市では、2024年度のイノシシ捕獲頭数が 1万頭を超えるほど。被害の多さと対策への力の入れ具合は県内でも際立っています。
また、イノシシをまるごとパウダー化できる大規模な減容化施設も整備されており、環境面でも先進的な取り組みが行われています。

今回の講座は、その天草市有明地区で実施されました。

【レポートのポイント】

天草市ではイノシシ捕獲数が1万頭超え。急増の背景と現状を紹介。
講座テーマは「まず守る」。捕獲より先に押さえるべき基本を解説。
シカ被害が広がる前に備える大切さと、果樹農家が取るべき侵入防止策。
イノシシの習性や繁殖期を踏まえ、対策の“がんばりどき”を整理。
天草市の手厚い支援策と、地域全体で取り組む重要性をレポート。


講座のテーマは「その対策、本当に正しい?」

鳥獣被害対策と聞くと「まずは捕獲」と考えがちですが、講座では開口一番、
「まずは守ることが鉄則です」
というお話から始まりました。

シカ被害が広がる前に

天草市は、現状ではシカの生息数は多くありません。
しかし、シカはパール柑や晩柑の葉が大好物。果樹農家にとっては大きな脅威となるため、県南部のように増える前に、侵入を防ぐ対策を進めることが重要だと説明されました。

天草市のイノシシ状況:10年間で大幅増

 

2024年度の天草市におけるイノシシ捕獲頭数は 10,152頭。熊本県内でも突出しています。
10年前は約300頭。捕獲技術の向上もあるものの、個体数そのものが増えていることは間違いありません。

講座では、イノシシを減らすのが難しい理由を2つ挙げられました

①とても頭がいい
イノシシは学習能力が高いため、相手を「知る」ことで初めて対策が効果を発揮します。賢さと執着心を侮ってはいけません。

② 増えるスピードが速い
イノシシは、一度の出産で4〜5頭産むと言われていましたが、栄養状態が良くなったからか8〜10頭産むこともあります。1頭から5〜10頭・・・全体の7割を捕獲しないと実質的に減っていかないと言われています。

箱罠やくくり罠を設置している方も多く、「罠の見回りに1日に2時間かけていられない」というたっちゃんの言葉に頷いておられました。

対策の「がんばる時期」はいつ?

たっちゃん曰く、
年中がんばる必要はない。タイミングを知ることが重要とのこと。

  • 狩猟期が始まるとイノシシは里に出にくくなる

  • 12月後半から発情期に入る

  • 4・5・6月に出産

  • ウリボーが出てくるのは7月頃

こうした生態を知ることで、最も効果的な時期に集中して対策できるのです。

捕獲の前に「餌付けしない」環境づくり

講座で投げかけられた質問。

「傷のあるみかんをその辺に捨てていませんか?」

心当たりのある農家さんもいたようです。
しかしイノシシにとっては、傷んだみかんでも立派なごちそう。

稲についても、一番穂を食べられれば大問題ですが、二番穂は農家側が気にしないため、結果的にイノシシの「美味しかった経験値」になってしまいます。

一度「ここに餌がある」と学習されると、何度でもやってきます。
つまり、

✓ イノシシが来る場所に捨てない
✓ 収穫後は圃場を耕す

これが“知らないうちの餌付け”を防ぐ重要なポイントになります。

話題は電気柵の対策にも移りました。

電柵、2年で効かなくなるという声が時々たっちゃんの耳に入りますが、「そんなことない!」。
テスターで電圧測って、4000v以上流して、下から20cm、40cmに合わせて電線を張ったらちゃんと効果ありますから!!
といつもゴリゴリに伝えています。

天草市の本気度は「予算と施策」に現れている

天草市は鳥獣被害対策に1億円規模の予算を投入しています。これは全国的に見ても大きな数字です。
捕獲報奨金も他地域より高めに設定されていますが、現在は「守りの対策」を強化する方針に伴い、やや抑えられ始めています。

その分、防護柵の設置補助金が手厚いという話もありました。

限られた財源で効果を最大化するために、行政と地域が一体となって学び、守る体制をつくっていく——。
これが天草市の目指す方向なのだと感じました。

たっちゃんも「他の市町村と比べても本気度がすごい」と驚いていました。

参加者から「柵で畑を囲おうと、他の畑に行く」という声がありました。

そうです。
だから集落で対策をできるよう皆で学び、考えていくことが大切です。鳥獣被害対策はチーム戦!

柵や罠の種類、設置場所、地域で考えてレベルアップして守っていきましょう と締め括られました。

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2025.11.19

未来の農林業を支える力を育む。芦北高校での鳥獣害対策研修レポート

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。
今回は、芦北高校で行われた狩猟技術向上研修をレポートします。
農業科・林業科の2年生を対象に、1日みっちり実施された研修の様子をお伝えします。

 


【レポートのポイント】

◆ 鳥獣害対策の基本5ステップを体系的に学ぶ
◆ 箱罠・くくり罠の特徴と安全な使い方を体験する
◆ 電気柵の“効かない理由”を現地点検で理解する
◆ カメラ設置で鳥獣の侵入ルートを可視化し、対策に活かす
◆ ディアラインと新芽から植生回復を読み解くフィールド学習


座学で学ぶ基本

鳥獣害対策についての基本の考え方や事例を学びます。

これを読んでいる方の中には、カラスがゴミ捨て場をあさり、荒らしていた時代を知っている方も多いかと思います。今は荒らされていませんね。ネットをして防護しているからです。市民は守るのが上手になりました。

イノシシやシカが相手でも同じこと。まずは近寄らせない環境づくりが重要です。

対策の順番は、以下の5段階が基本です。

① 学ぶ
② 環境管理
③ 無意識の餌付けをしない
④ 囲う(防護する)
⑤ 捕獲する

芦北高校の生徒の多くは、将来農業に携わったり、行政の農林水産系部署に配属されることが多いとのこと。
「鳥獣害問題を学ぶことは、彼ら自身の将来にも地域にもプラスになる」と、たっちゃんは話してくれました。

罠を学ぶ

罠の種類・仕組み・特徴・仕掛け方を学びます。芦北地域の猟友会の方も指導に参加しました。

箱罠

まずは箱罠から。

生徒さんと稲葉たっちゃんが“親子イノシシ設定”で箱罠に入り、捕獲の流れを体験しました。

その後、捕獲後の「止め刺し(命を止める)」の手順について、狩猟免許を持つ先生が実演。

先生がプロというのも、この高校の魅力のひとつです。

くくり罠

シカはくくり罠での捕獲が主流で、箱罠では捕まえにくいイノシシも対象になります。

  • 地面に埋めて設置

  • 足が乗るとワイヤーが締まる

  • 設置には木など支柱が必要

  • ワイヤーの長さが可動域となり、動物が暴れる際は危険性が高い

暴れた際に足がちぎれたり、止め刺しが難しくなることもあるため、
農家ハンターでは安全性の観点から 箱罠をメイン に設置しています

!!!

くくり罠を触ってみよう

ワイヤーを全力で引っ張り、仕組みを体験します。
仕組みを理解しておけば、もし山で誤って自分の足にかかった場合でも落ち着いて対処できます。

グループに分かれて設置の模擬練習です。

ワイヤーが固いので女子は大変そうでしたが少しずつコツを掴んでいきました。

閉じるか!?ドキドキの瞬間

お昼ご飯に猪汁

農家ハンターの猪肉を使って、学校の先生が猪汁を作ってくれました。

 

ご飯が一番盛り上がります。

うまい!の声と、

生徒さんの歓喜の声と、おかわりあるかな!?の声と、誰先生が作ったと!?の声。かわいいです。

電気柵の効果をチェック

午後の授業では、先生が悩んでいた畑の被害を確認。

土が掘り起こされ、イノシシが活発に動いた痕跡が…。
「ちゃんと設置したはずなのに…!」と先生からヘルプ。

生徒さんと点検しました。

電線の漏電箇所が複数 見つかりました。
電線が何かに触れていると電圧が弱まり、効果がほとんど無くなります。

接しているものが絶縁体かどうかを確認しながら点検すると、漏電箇所が見つけやすくなります。

カメラの設置と果樹園の確認

シカの侵入が多い柑橘畑にカメラを設置しました。

  • 北側の川から来るのか

  • 反対の山側から来るのか

侵入方向を特定して対策するためです。

座学中、先生からこんな質問もありました。

「見回りの頻度は?侵入の兆候はどう見つける?」

たっちゃん:
「引き裂いたような食べ方があれば分かるが、被害が多いと判断が難しい。
カメラで見ればどの動物が来ているか分かり、対策につながる。」

支柱を設置して・・・

カメラを取り付けます。

カメラは10分ほどで設置でき、さっそく映りました。

新芽、発見! ― ディアラインとは?

ディアラインなるものをご存知ですか。

葉っぱや木の皮を好んで食べるシカが、口の届く高さまで植物の葉や枝を食べてしまうことで、森の植生にくっきり現れる“境界線”のことを言います。

昨年まではくっきりしていたディアライン、今年は境界線が曖昧になり、元気な新芽がいくつも出ていました!大きな改善です。

木の皮を一周食べられると枯れてしまうため、果樹園でも深刻なダメージになり得ます。
元気な新芽を見つけた際は、たっちゃんと共に喜びました。

元気な芽!

昨年の記事はこちらです💁‍♀️ https://farmer-hunter.com/blog/4857

罠の設置(演習林にて)

最後に、演習林でくくり罠と箱罠の設置を行いました。

  • シカの動きを予想

  • 足跡の確認

  • 猟友会の方からアドバイス

斜面に設置するグループも多く、午前に学んだ知識を活かして実践しました。

すべらないように気をつけながら・・・

障害物をあえて置き、動物を誘導して踏ませる方法も教わりました。
こんな目印があれば誤って人が踏むリスクも減ります。

くくり罠のあとは箱罠を設置します。

イノシシさんは変化や違和感に敏感なので、平にならします。

エサも入れて、設置完了!

箱罠を設置して終わった一日。みなさんお疲れ様でした。
林業科のある珍しい学校です。生徒数が増えていっています。来年もまた!

【番外編】

フンmap

被害状況をより正確に把握するため、フンmapを作っているというので見せていただきました。
・担当の箇所のフンをチェックして、あれば埋める。
・フンのあったところに印をつける。
・一定時期過ぎたらまた同じことをします。そうしてできるのがフンmap。

こうすることで、いつ頃、どのくらい入っていたか、その推移が見えてきます。

春に調査した際には30-40箇所あったものが、直近の調査では2箇所になっていました。

これはすごい!!対策の結果も丸見えです。

たっちゃんも絶賛でした。

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2025.09.03

八代工業高校で鳥獣対策授業を実施|熊本県の狩猟PR事業レポート

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。
2025年9月、熊本県八代工業高校で行われた「鳥獣対策の授業」に同行しました。これは熊本県の狩猟PR事業の一環です。その様子をレポートします。

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【レポートのポイント】
▶︎八代工業高校での活動
▶︎国鳥・キジを解き放て!
▶︎罠に触れる
▶︎銃に触れる

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八代工業高校で授業が行われた理由

これまで農業高校や家政科のある学校での授業はありましたが、工業高校での実施は初めてでした。
八代工業高校では、機械科に「ハンター班」があり、高校生のジビエ料理対決「ジビエ甲子園」にも出場経験があります。罠の設計や情報科で鳥獣対策アプリの開発に取り組むなど、鳥獣対策に積極的な学校です。

 

八代の山でキジを放鳥

当日は、人吉から雉職人がキジを連れて来られました。
みんなで八代の山へ放鳥しました。
鳥獣害対策は、数の増えた動物や人間生活に害のある動物を減らすことだけでなく、数の少なくなった動物を増やすための取り組みも行います。

生徒たちは初めてキジに触れ、自然の中に飛び立つ姿を見て、野生動物と人との関わりについて考えるきっかけを得たように思います。

 

 

 

JICAの2人も一緒に!

 

 

 

 

 

箱罠の仕組みを学ぶ

授業ではまず、実際の箱罠に触れて仕組みを学びました。

  • 床の素材:水や土に触れて錆びやすいため、メッキ加工が施されています。

  • 構造の強度:イノシシが助走をつけてぶつかる前後部分は強く作られ、側面は比較的弱い構造。これは動物の行動特性に合わせた工夫です。

生徒たちは「イノシシの力で罠が変形することがある」という説明に少し驚いたような表情をしていました。

 

 

 

 

くくり罠の特徴と注意点

次に紹介されたのは「くくり罠」です。シカはくくり罠での捕獲が中心ですが、頭脳派のイノシシにも効果的です。

捕獲された場合は箱罠よりも注意が必要です。

  • 足を怪我したり切断して逃げてしまうリスクがある

  • 可動範囲が広いため止め刺しの際に危険が伴う

  • 匂いに敏感なイノシシは、新しいものへの警戒心が強く、新品の臭いを察知して避けることがあるため、水に漬けたり土をかぶせて設置する工夫が必要

設置場所がわかりにくく、人が誤って踏んでしまう危険性もあります。冷静になれば仕組みを理解して外せますので、万が一かかることがあってもパニックにならないようにしましょうね!

 

くくり罠のワイヤーを動物が噛んで切ることもあるか?と質問がありました。

威力の強いイノシシさんですが、噛んでワイヤーがちぎれることはありません。でも長く使い、ひっぱりすぎて何かの拍子で切れることはあるかもしれませんので、メンテナンスの際はチェックしてくださいね。

 

 

 

猟銃を触る!

授業の後半では、農家ハンターの稲葉たつやさんによる鳥獣対策の基本講座が行われました。


それから、狩猟免許がなければ触ることのできない猟銃に、生徒たちは実際に触れる貴重な体験をしました。安全のため、弾は出ない体験モデルですが、それ以外は本物と同じものです。

なかなか質問の手は挙がりにくいものの、狩猟に関わる活動を行っている生徒たちは真剣に話を聞き、メモを取りながら学んでいました。

 

 

 

 

 

狩猟免許を取得する意欲のある生徒の皆さんでした。次世代を担う高校生たちが知識を身につけることは、未来の農業や地域づくりに直結します。

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2025.07.24

野生動物にとっての渋谷?水俣市の鳥獣被害と対策の実態

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2025年7月、彼らの現場で見て感じたことをレポートします。


水俣市で鳥獣対策のセミナーが行われました。県・市・林業組合・イノP、そこに水俣・津奈木地域の農家の方が集いました。

稲葉たっちゃんは、座学に加え、ワイヤーメッシュ柵を設置した圃場での現地研修を担当しました。

今回はその研修現場の様子と、会場近辺で行ったの鳥獣被害対策の調査をレポートします!

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【レポートのポイント】
▶︎行政・林業・農業が連携して挑む鳥獣害対策
▶︎防護柵:ワイヤーメッシュ柵設置の現場
▶︎水俣市における鳥獣被害・対策状況の実態調査

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行政・林業・農業が連携して挑む鳥獣害対策

水俣市東部センター葛彩館にて、「芦北地域における広域的な鳥獣被害防止対策に係る研究会」が開催されました。

水俣・芦北地域から農家35名、行政関係者25名が参加しました。

有害鳥獣対策は、一部だけで完結するものではなく、県・市区町村・林業・農業・民間が連携して取り組むのが望ましい課題です。というよりも、誰もが無関係ではいられない問題です。

水俣地域ではイノシシとシカによる被害が深刻で、令和5年度の被害額は約6,000万円にのぼります。被害の95%が果樹で、そのうち52%に樹体被害がありました。
令和6年のシカの捕獲数は4,200頭と、年々増加しています。

「隣には動物がいる」──そんな環境で農業を営む方も少なくありません。

 

 

林業関係の方から狩猟免許取得の声掛けもありました。
免許更新の折に、特に高齢の方はもう更新しないという声もあがってきます。高齢者へ更新の呼びかけだけでなく、若手への声かけも必要だと力強く話されていました。

 

ワイヤーメッシュ柵設置の現場へ

ワイヤーメッシュ柵がずらっと張ってある圃場へ行きました。

 

お米を植えてすぐに食べられてしまい、困っていたと地域の方が言いました。

イノシシもシカも訪れる水俣は、動物さんの渋谷のような場所と言えるかもしれません。

 

 

 

この圃場では、柵と、動物による掘り返しを防止する“スカート部分”を組み合わせて設置してありました。

 

 

農家ハンターはこのスカート部分を強く推奨しています。

地形の段差やわずかな隙間があると、動物たちは粘り強く掘り返して侵入してしまいますが、このスカートがあれば難易度が上がり、侵入を抑える効果があります。

さらに効果を高めるには、このスカート部分を畑の外側にもっと広く張り出してもよかった、とのアドバイスもありました。

この地域には現在、狩猟免許を持つ人がいないそうです。
特にシカ被害は災害リスクにも直結するため、地域内での相談と連携が必要だとたっちゃんは強調していました。

この地域には狩猟免許を持った人がいないそうです。
とくにシカ害は災害の被害に直結するため、たっちゃんは地域で相談していくことを勧めました。

 

町をぶらり現地調査へ

 

「耕作放棄地が増えてる!」

と、車道を走りながらたっちゃんは小さく叫びました。2,3年前よりも増えている印象だそうです。
わたしにはただの茂みと耕作放棄地の耕作放棄地の違いがはっきり分かりません。でも、たっちゃんは一目で見分けられます。

 

 

現役の畑の隣が耕作放棄地となると、やがて茂みに変わり、動物の潜み場になってしまいます。

高齢化・過疎化・耕作放棄地の増加──これらの要因が重なることで、農業や鳥獣対策にとっては好ましくない結果をもたらします。

高齢化・過疎化・耕作放棄地 の組み合わせは、農業や鳥獣対策には望ましくない結果になります。

 

見えてきた日本の里山のつくりと 災害

日本の里山集落は、山のすそに民家があり、その前の開けた日当たりの良い場所に畑や田んぼが広がっています。

 

イノシシは作物を食べるだけですが、水俣市で深刻化しているシカの被害は、食害にとどまらず土砂災害にまで及びます。

シカは樹皮を食べて木を枯らし(人間の帯状疱疹のように、樹皮を一周食べられると木は死んでしまいます)、
さらに下草を食べ尽くし、新芽が育ちません。根が張らず、土壌に土をとどめる力がなくなり、大雨の際に土砂崩れが発生する──という悪循環が起こります。

この構造を考えると、土砂崩れによる最初の被害は、山すその民家や住民に及ぶことになります。

 

シカは、農地を守るだけでは減らせない。捕獲しなければ個体数は減らないのが悩ましいです。

狩猟免許保持者がいなければ捕獲もできないため、狩猟免許取得を促進するのです。

 

集落でも、シカが木を食べた跡が分かる【ディア ライン 】も確認できました。

 

 

家にシカがたくさん来ることが見える防護柵です。

 

水俣に取材にお邪魔したのは初めてでしたが、県南のシカ害の深刻さが伝わってきました。

 

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