活動ブログ

BLOG

2025.06.13

農水省職員がプライベート研修に!ジビエ・害獣対策のリアル

こんにちは!農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです。
2025年6月、農林水産省の職員の方々が、プライベートで研修にお越しくださいました。今回は、その現場でのやりとりや学びをレポートします!

この日お越しくださったのは、農林水産省よりお3方。

  • 九州農政局  谷川 智雄さん

  • 九州農政局  玉城 寛人さん

  • 本省鳥獣対策室 佐藤 駿悟さん(東京から!)

仕組みを作る側、日本の鳥獣対策の“ど真ん中”にいる皆さんです!

 


【レポートのポイント】
▶︎三角町の鳥獣被害対策
▶︎ジビエファーム・解体施設運営のリアル
▶︎狩猟文化の有無
▶︎箱罠の選び方と注意点
▶︎柵設置のコツ
▶︎イノシシパウダー化マシーン
▶︎まとめ


 

2024年度は、全国的に捕獲頭数が多かったそうです。農家ハンターの本拠地・宇城市三角町の2024年度のイノシシさん捕獲頭数は1016頭と過去イチです。

三角町の鳥獣被害対策

狩猟文化の有無

三角ではもともと捕獲文化がなく捕獲技術を持った人が地域にいませんでした。
農家ハンターに当初から多大なご協力をしてくださっている大師匠・山本さんが三角じゅうを回っていて、それを引き継ぐように稲葉たっちゃんと井上くんが取り組んできました。

それから時間をかけ、住民自身が捕獲できるように技術を共有してきました。

いろんな地域で話を聞くと、もともと狩猟文化があるところは動物がいる環境も食すのも当たり前でした。対策に従事する人もいて、そこまで困っていない印象があるそうです。

 

狙いは動物たちの「絶滅」ではなく、「山から人里への出没数を減らす」こと。
“濃くなった部分を薄める”という感覚が大切です。

 

解体施設運営のリアル

 

 

捕獲頭数が左右する運営の難しさ

ジビエの解体処理施設であるジビエファームは、農家ハンターから生まれた株式会社イノPが運営しています。この解体施設をつくる費用を確保するために会社を立ち上げて今に至ります。実際にやってみて、直面した課題がいくつかあります。

  • 季節によって変動する捕獲数

  • 売れる肉と売れない肉の差

  • 味と品質の維持

  • 食肉にならない部位(残渣)の処理先の確保

残渣の処理は、どこが引き受けてくれるかは自治体によってまちまち……
家畜ではないのと民間施設の解体処理施設であることから処理先の確保が一筋縄ではいかず非常に大変だったようです。

 

捕獲が増えると、「命を無駄にしたくない」という想いから、解体施設の設置やジビエ利活用をする動きが出てきます。
命を無駄にしたくないという思いの表れだと思います。

しかしこれまでの経験から、有効活用・利活用したい気持ちは重々わかるものの解体施設をつくるのは慎重に、と稲葉たっちゃんは普段から伝えています。

 

ジビエ活用までのおすすめフロー

ジビエ活用までのおすすめフローはこちらです。

減溶化設備を整える(イノシシさんを5時間でパウダー状にします。堆肥としての活用を検討中)

どのくらい、どんな個体が捕獲されるかを知る

解体施設をつくっても採算取れるか?
肉の取引先はあるか?
残渣はどこが引き取ってくれるか?
人的経済的に運営できるか? を検討

見通しがたてば解体施設をつくる

 

現場で見た!箱罠の選び方と注意点 

箱罠には多様な種類がありますが、重要なのは「どんな個体を捕獲したいか」によって適切なタイプを選ぶこと。

  • 感度が高すぎるとウリ坊だけがかかって親を逃してしまう

  • 取り逃がした親は二度と罠にかからないことも

「獲りたい個体に合わせた罠選び」が捕獲率を高めます。

止め刺しと電気ショッカーの選択肢

現場での精神的負担と対策

止め刺しの道具、電気ショッカーも実際に持っていただきました。

 

捕獲にかかる最大のハードルが止め刺し。
狩猟とは違い、有害鳥獣対策のために捕獲する人は「獲らなくていいなら獲りたくない殺したくない」という思いを持つことが多いです。精神的ストレスが大きいため、止め刺しの方法は負担が小さいことが重要です。槍をつかうところも多いですが簡単ではありません。そして心身ともにすり減ってしまうという経験をたっちゃんも井上くんもしてきています。

空気銃は人間にも動物にもストレスがありません。が、銃を持つのは簡単ではないので、やはり電気ショッカーが扱いやすいです。

手作りする人もいますが、それだと電気が流れていることが分からなかったりしてヒヤリハットが多いため、安全面に配慮されたものを購入することをおすすめしています。

 

柵設置のコツ:メッシュ柵と金網柵

メッシュ柵の設置方法

メッシュ柵は害獣対策をしている地域ではどこでも見かけます。ブログでも何度か取り上げていますが、その向きは裏表が逆になっていることも多く、どうやら納品の仕方に原因があるようです!
納品時、表・裏・表・裏とたがいちがいに重ねてあるそうです。重ねてある通りに設置すれば、たがいちがいの柵になってしまうというわけです。

「納品の仕方を変えてもらったらいいのでは……」とわたしは思いましたが、コンパクトにするためには致し方ありません。

 

 

両端を隣の柵と1マス分被せるのも重要です。
害獣たちは畑に入れる抜け道をぐるぐると回りながら探し、「ここ弱そう、いけるかも」な場所があれば掘ってすり抜けようとがんばります。その隙を与えないようにするために、両端を重ねて守りを固めます。重ねることを計算に入れて、必要数を調達する必要があります。

 

金網柵

ゴリ押しなのが金網柵です。地面の状態に合わせて張れるため、隙間ができません。L字で張るので、動物が掘って中に入ることができないためです。人手や手間はかかるしコストもかかります。でもその分効果があります。しっかり張れば動物の侵入も、食害によるストレスもありません。

全てを金網柵で張るのはコスト面で難しい場合、地面がごつごつ/凸凹した場所は金網柵にし、それ以外はメッシュ柵にするなどして場所ごとに検討してもいいでしょう。

減溶化施設「イノシシパウダー化マシーン」

総重量400kgを一度に、まるごと処理できます。

休眠預金を活用して導入した、新イノ粉マシーン。解体に向かない個体、肉にならない部分の処理の行き先としてはもちろん、この減溶化マシーンの運用をしていくことで、地域で鳥獣対策する人の後押しもできます。

止め刺しとその後の処理が2大難関の害獣被害対策。山での埋設処理が多いですが、国の研究機関が作成したガイドブックによれば、掘り起こしが起きない深さとしては、150cm以上の深さがあることが望ましいとされています。浅いと掘り起こされる可能性があるからです。
150cmを掘る……想像できますか?汗だくで体力も時間もすり減ります。わたしはたぶん、ぶっ倒れます(・∀・) 施設はその処理を担ってくれます。

無機質と混ぜて堆肥とすれば、畑への散布や販売の道も見えるかもしれません。

 

 

 

古石さんのいちじくハウス

TOBASE  Island Works代表の古石さんのいちじく農園も訪ねました。いちじく栽培についてや特定地域づくり事業についての意見交換などしました。
(特定地域づくり事業についての取り組みはこちらをご参照ください https://farmer-hunter.com/blog/5332

特定地域づくり事業によって就農者を増やしたり地域の人口減少を食い止めたいという思いがあると古石さん。

いちじくが実っている様子を見るのは初めてで、3ヶ月でこんなに大きくなるんだ!と驚きました。

 

 

柿の木の下で、ヤギを眺めながらのまとめ

宮川洋蘭の柿の木ガーデンで、クロストーク。
ヤギを眺めながら……というよりもヤギも混ざってきていました。

今回はスケジュールはある程度決めていたものの、聞きたいことに合わせて時間を調整しました。ジビエファームで2時間も話したのは初めてでした笑

政策をつくっていく皆さんです。
質問する姿勢や内容、まなざしから熱意が伝わってきました。
公も民も一緒に、ですね。今回のプライベート視察が政策に活かされていくことを願っています。

この記事をシェアする

2025.05.31

みかん農家も直面!山鹿・鹿本の有害鳥獣対策セミナー

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!2025年5月、彼らの現場で見て感じた事をレポートします。

 

JA鹿本みかん部会での講演に同行

この日、山鹿市鹿本町の『JA鹿本』では、みかん部会の皆さんが集まり、有害鳥獣対策についての講演が行われました。講師は、農家ハンターの稲葉さん(たっちゃん)!彼自身もみかん農家であり、現場感覚を交えた実践的な話をしました。

講演に先立ち、JAの販売店にもお邪魔してきました。その様子もあわせてレポートします!

 

今回集まられたのは、みかん農家の皆さんです。たっちゃんもみかん農家。地域は違えど共通の課題も多いようです。

 


【レポートのポイント】
▶︎鹿やイノシシの被害は初期対応がカギ
▶︎オフシーズンには電気柵や罠の点検が重要
▶︎地域ぐるみでの対策
▶︎JA販売店でのやりとり


今、現場で起きていることとその対策

シカやイノシシ被害の予兆と初動の重要性

山鹿・鹿本地域でも鹿が目撃されるようになっているようです。近い将来、鹿の被害が増えることを見込んで対策をおすすめします。
今、困ったことになっているイノシシも、最初は土手の崩れがサインでした。枯れ木はシカからのサインです。見逃さないよう山に入られたら注意して見てください。被害が本格化する前の「初期対応=初期消火」が重要です。

 

被害がで始めると、猟友会に獲ってくれ、市役所にどうにかしてくれ という声が上がります。

イノシシの習性も分からないままでいると増える一方、役場の対策では追いつきません。猟友会も高齢化が進み、さらに人が減っています。「誰かがしてくれる」というスタンスでは解決しません。だからこそ、今こそ一人ひとりの行動が必要です。ぜひ一歩踏み出してください。

 

山鹿・鹿本地域での鳥獣対策の現状

イノシシの捕獲数
・熊本県内では46,000頭
・山鹿市では2,600 頭、天草では10,000頭

これだけ獲っても減らない。

 

シカは消防と同じで初期消火のための初動が効果があります。芦北や水俣のようにならないためにも、シカのサインが見えたら対策をするというのを頭に入れておいてください。鹿の捕獲は箱罠ではなく、足をつかむくくり罠が主流です。

オフシーズンの今、やっておきたい対策

今はお腹に赤ちゃんがいるシーズンのため、比較的動きが少なく捕獲も多くない時期です。6月くらいから出産が始まり、7月から動きが活発になるので、6月中に対策を進めておかれると◎です!

 

オフシーズンにどんな対策をするといいか?

・罠の設置、動作確認
・罠 設置場所の見直し
・電気柵の通電確認、メンテナンス
・草刈り(電気柵まわり、耕作放棄地や茂み)
・実を採らない果樹の伐採

たけのこ、枇杷、みかん、米、栗、柿、そして米の2番穂・・・
山鹿・鹿本地区には年中おいしいものが溢れてます。

昔は今よりも貧しかったので、栗や柿は食べていました。今は採る人も食べる人も減り、過疎地で人口も減っています。
収穫しないものをそのままにしていることで、動物の餌場となってしまうので、家庭や地域で、相談・対策・管理することが重要です。

電気柵の現状とポイント

みかん栽培のオフシーズンの今、電気柵はどうしていますか?

電気柵は「心理柵」。「痛い!と思わせる」ことが大切です。

電気の線を回収している人、そのままにして電流は止めている人、いらっしゃいました。
電線があるなら電気を流すか、必要なシーズンまで回収して保管する というのが望ましいです。

 

みかん農家の皆さんには、みかん畑のどの位置に電気柵を設置するといいかを話す場面もありました。軽トラックの通る道路側ギリギリにはると電気は効きづらいため、50cm畑の内側に張ることを勧めました。

 

 

質疑応答から学ぶ

質問もおおく届きましたのでまとめます。

質問内容 回答
シカが来そう。対策は何をすればいい? 山や地域を守るには、電気柵の設置と捕獲の両立が必要です。特にシカは捕獲が有効。
シカは賢い? シカよりイノシシの方が頭が良く、警戒心も強いため、捕獲がより難しいです。
電気柵に動物が慣れてきたらどうする? 完全に慣れることは少ないですが、電圧をテスターで定期確認し、常に効果的な状態を保つことが重要です。
防草シートは電気柵の下に使える? 通常の防草シートでは電流が弱くなる可能性があります。電線が編み込まれた通電シートを使用するのが望ましいです。
忌避剤は効果がある? 一時的な効果はあるかもしれないが、長期的には電気柵やメッシュ柵との併用が効果的です。
ビニールハウスの中にヒヨドリが入ってくる。対策は? ハウス内での対策としては、ネットを張ることが有効です。

 


講演前、山鹿市のJA販売店にお邪魔してきました。

忌避剤もいくつも売ってあって、日常では縁のないわたしは興味津々!笑

電気柵の助成金の申請方法についても提示してありました。
従業員の方は電気柵のテスターの必要性をたっちゃんが話すと、熱心に話を聞いてくださいました。そろそろきっと入荷してくださっていると思いますので、県北の方、どうぞ!笑

 

 

 

この記事をシェアする

2025.05.23

苗植えに草刈りにBBQ〜2025年春のソラシドエコファーム レポート

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!2025年5月彼らの現場で見て感じた事をレポートいたします。

 

ソラシドエアと耕す「ソラシドエコファーム」とは?

九州の翼・ソラシドエアさんと農家ハンターが共同で運営している畑は、もともと耕作放棄地だった場所を再開墾し、「ソラシドエコファーム」として再生しました。
現在は3か所に広がり、1か所では栗の苗木、残る2か所ではさつまいもを育てています。

今回は、芋の苗植えと栗畑の草刈りの様子をご紹介します!

写真をふんだんに取り入れた現場レポート、ぜひご覧ください。

 

【エコファーム1】さつまいもの苗植えに挑戦!

ここは最初に開墾された「第一号」のエコファーム。
この日は、4月に新しくソラシドエアに入社された方も一緒に、さつまいもの苗を一つ一つ丁寧に植えていきました。

 

 

 

 

 

畑には イノシシ避けの電気柵を設置。実際に草を使って通電を確認する場面もありました。湿った草だと感電がより伝わりやすいんです。

 

 

 

万博でも披露したというオペラも聴かせていただきました。畑のオペラは格別でした✨

 

【エコファーム2】栗畑の草刈りで汗を流す!

こちらは栗の苗木を育てている畑。
草刈りは初挑戦の方も多く、服装を整えて、安全第一で作業に取りかかりました。

 

 

 

定期的なお手入れが作業効率をUP

苗木の周りには藁が敷かれ、たっちゃんの定期的な草刈りのおかげで作業はスムーズに進行。
さらに藁を追加して、苗木の根元をしっかり守ります。

追加の藁!また苗木の周りに敷きます。

休憩には定番アイス「ブラックモンブラン」!

九州ではおなじみのアイス”ブラックモンブラン”を紹介しながら、ひと休み。

まるでドラマ「ルーキーズ」みたいじゃないですか?笑

 

【エコファーム3】みすみ保育園の園児たちと苗植え体験!

恒例の収穫祭でもお馴染み、みすみ保育園の年長さん12人が元気いっぱいに参加してくれました!

 

 

 

「お姉ちゃんかわいいから好き〜」なんてほっこりな声も聞こえてきました

 

 

社長も園児さんと一緒に!

 

 

戸馳島のゴツゴツとした土も、再び耕すことで柔らかくなってきたそうです。

 

 

 

 

 

 

虫や草、時には大人から見ればゴミのようなものにも夢中になる園児たち。好奇心いっぱいです!

バイバイの時、ソラシドエアのお兄さん大人気でした笑

最後はみんなで「イノシシピース!」

「飛行機はソラシドエア!」と唱えながら、笑顔で帰っていった子どもたち。

大人だけで残りの苗を静かに植えたときの、あまりの静けさ!笑

終わりに:海辺でのBBQで締めくくり!

作業と暑さと園児たちのパワーでお腹が空いたら、海辺でBBQ!

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ戸馳島の吉本さんが持ってきてくれた車海老は、生でも焼いても絶品✨

そしてイノシシ肉は、シンプルな塩胡椒で焼くだけで大人気!

 

 

自然の中での作業はちょっと大変な分すごく楽しくて、心も体もリフレッシュできます。
子どもたちの笑顔や、わいわいした時間にたっぷり元気をもらいました。

畑づくりを一緒に進めてくれているソラシドエアさん、本当にありがとうございます!

これからも、現場で見たこと・感じたことを、写真とともにお届けしていきます。
次回のレポートもどうぞお楽しみに!

この記事をシェアする

2025.04.28

特定地域づくり事業協同組合で地域を守る!戸馳島で「TOBASE Island Works」発足

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!2025年4月、彼らの現場で見て感じた事をレポートいたします。

 

 

熊本県・戸馳島にて、新たに結成された「TOBASE Island Works協同組合」。
特定地域づくり事業協同組合制度を活用したこの取り組みは、過疎地域における雇用の創出や移住・定住促進につながるものです。熊本県知事への表敬訪問の様子も含め、熱気と挑戦のリアルをレポートします!


【レポートのポイント】

▶︎特定地域づくり事業協同組合制度
▶︎TOBASE Island Works協同組合設立
▶︎熊本県知事を表敬訪問


特定地域づくり事業協同組合制度

『特定地域づくり事業協同組合制度』について、ご存知ですか?

このたび、イノP(農家ハンターから生まれた株式会社で、ビジネスの力で有害鳥獣対策に取り組みます)は、果樹作農業の古石農園、車エビ養殖の吉本水産、蘭と果樹の宮川洋蘭と共に、この制度を活用した取り組みを始めることとなりました。

 

特定地域づくり事業協同組合制度とは?

 


総務省のHPより
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/tokutei_chiiki-dukuri-jigyou.html

 

ざくっと言えば、「組合で人を雇い、その人材を組合員の各事業でシェアしようね」というものです。
1事業者だけでは従業員の雇用は難しいけれど、年間で人手が必要な時期がある。そんな事業者たちが、それぞれの繁忙期と閑散期のズレを利用し、年間を通して “仕事がある” 状態を作ります。

 

 

TOBASE Island Works結成

安定した雇用を生み出すことは過疎に歯止めをかけるため欠かせません。しかし、特に過疎地域ではそれが難しいのが現状です。戸馳島でも例外ではありません。

そこで、組合を発足し特定地域づくり事業協同組合制度を活用することになりました。
果樹作農業の古石農園、車エビ養殖の吉本水産、蘭と果樹の宮川洋蘭、そしてイノPの4事業者で立ち上げたこの組合を《TOBASE  Island Works協同組合》と名付けました。

収穫時期の異なる農業漁業や、野生鳥獣を相手にするイノPには、とてもありがたい仕組みです。

 

組合から派遣される職員第一号が井手勇希くんです。宮崎からの移住者です。

教職を志す井手くん、先生になる前に知見を広げ、いろんな経験を積みたいと手を挙げて参画しました。

やる気抜群!地元の宮崎弁が親しみやすく、なんだかみんなの弟のようにかわいくて何事にも一生懸命、地域のみんなに愛されること間違いなしです!

 

 

熊本県知事表敬訪問

宇城市の末松直洋市長、熊本県中小企業団体中央会の西尾浩明さんともに、TOBASE Island Works協同組合の構成メンバーそろって熊本県知事に表敬訪問に行きました。特定地域づくり事業協同組合として県より認定を受けたこと、そして今後の展望について報告しました。

 

左から、末松宇城市長・古石代表理事・木村県知事

 

 

 

組合の代表である古石恭介さんからの挨拶の中に、こんな言葉がありました。

「地域の担い手の育成や確保につなげたいと期待しています。また、(派遣された職員は)業種も経営理念も異なる複数の事業に関わることで、さまざまな視点を取り入れ、多くのスキルを身につけることができます。成長した社員が独り立ちする時、地元に根を張る自分たちがサポートしていきたいです。」

地域や人手を必要とする組合の構成員にとってプラスになるという視点にとどまらず、従事する人にとってもプラスになるよう動き育てていくという姿勢がTOBASE Island Worksの魅力だと思います。

 

宇城市の末松直洋市長 もご挨拶くださいました。

「宇城市でも特に人口減少・高齢化の著しい戸馳島。地域を担う基幹産業や地域経済の衰退、さらなる人口減少や悪循環が危惧されます。この協同組合の設立は新たな雇用が生まれ、地域外からの移住定住につながり、後継者や就農者の獲得も期待しています。」と話されました。

2月に市長になられたばかりの末松市長、人口減少や地域の衰退への懸念以外にも空き家問題など地域の課題にも触れながら話されました。

 

 

 

最後に、木村敬県知事から心のこもったメッセージを届けてくれました。

県知事が総務省に在籍されていた頃、島根県の海士町の高校生が卒業後も島で生活できるようにという課題から発案し制度設計に関わってこられた制度です。 思い入れも一塩のようでした。

「戸馳島でこの組合ができたことを、自分ごととして嬉しく思っています。この制度を考えるにあたり、農業と漁業の連携モデルは理想的でした。そこに有害鳥獣の駆除という公共的な事業の素晴らしい組み合わせが実現しました。円滑に実施されるよう県もサポートしていきます。なんでもご相談ください。」

 

 

井手くんやる気十分です!この制度によって職員として働けることの感謝を伝えていました。

 

 

従業員をただ雇うのとは異なり、初めての雇用形態に挑戦することになります。ワークバランスや連携など、やっていく中で課題が見えてくることもあるかもしれません。しかし代表の古石さんと吉本さんも仕事は熱心、ハートはあたたかい。気持ちの良いお人柄で、そこに宮川さんと稲葉たっちゃんがいます。事務局には楠田さんもつき、「みんなにとって良い」を目指せることと確信しています。

 

 

せっかく県庁に来たので、関係各所にご挨拶に回りました。

稲葉たっちゃん、県から有害鳥獣対策の事業を受託しているため、歩けば歩くだけ「稲葉さん!」と声をかけられていました。人気者〜!✨

 

 

 

緊張から放たれた皆さん、ルフィとも記念撮影してきました。

「とくち王に、おれはなるっ!!!」

 

この記事をシェアする

2025.04.13

バイオ炭の力と、米農家のホンネ、語り合う夜

農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!2025年4月、彼らの現場で見て感じた事をレポートいたします。

2024年7月に続き、2回目の開催となった 《車座》に参加させてもらいました。今回は、「バイオ炭」についての講習会と、恒例の交流イベント「車座」の2部構成でした。


【レポートのポイント】

▶︎カーボンクレジットとは?
▶︎もみ殻を炭にする機械「炭ちゃん」
▶︎コメ農家の話 令和のコメ騒動など
▶︎とばせ車座での交流と語らい

 


講習会のテーマは、「農業 × 環境 × ビジネスチャンス?」 

・セミナー①(株)JIZOKU 片岡さんによる「農業由来のカーボンクレジット活用で農村活性化を目指す」

・フィールドワーク もみ殻をくん炭にする”炭ちゃん”マシーン見学

・セミナー②(株)内田農場 内田智也さんによる「最近のコメ騒動について米農家のホンネ」

そしてお楽しみの宴・車座です。

 

カーボンクレジット活用

第一次産業における温室効果ガスの排出量は、全体の4分の1を占めており、農業のあり方は気候変動と密接に関係しています。農業で対策ができると、その影響はまた大きくなるということです。

一次産業におけるカーボンクレジットの創出支援事業をおこなう、株式会社JIZOKUの片岡慶一郎さんと、富山で頑張る大学生の関本有太郎さんが話を聞かせてくれました。

カーボンクレジットとは、CO₂の排出削減や吸収を実施した企業Aが、その成果分のクレジットを発行し、それを排出企業Bが購入することで、自社の排出量をオフセットできる仕組みです。

例えば、あなたがガソリン車で移動して排出したCO2分を、植林をした人からクレジットを購入して「わたしがCO2出した分、これで相殺ね」とすることです。

 

 

 

 

片岡さんにカーボンクレジットの仕組みについて詳しく教えていただきました。

農業分野でどんなアクションが温室効果ガスの排出を抑制できるかというと、もみ殻、竹、おかくず。畜産廃棄物などを炭に加工して農地に散布するなど。また、田んぼから出るメタンガスも排出量が大きく、対策として秋に稲藁をすき込むのは効果的なんだそうです。

 

排出削減量の算出はとてもややこしいですが、JIZOKUさんのような会社がそれを担い、クレジットを購入してくれる企業とのマッチングも引き受けています。

バイオ炭!もみ殻を炭化する “炭ちゃん”が戸馳島に!

九州に一台しか設置されていない、もみ殻を炭にする”炭ちゃん”。

まさか、農家ハンター/イノPの拠点である、戸馳島にあるとは…!!

実際に見てみよう!ということで、導入した農家の吉村さんの畑にお邪魔しました。

Jクレジットを想定したこと、もみ殻くん炭を活用した自然農法に興味を持って取り組んでいるそうです。

 

 

 

 

えっほ えっほ 3歳も一生懸命運びます。
もみ殻は雨で多少濡れても燃えるのには支障がないそうです。

パウダー状のくん炭。軽くて風に舞うので土にすき込んでしまうまでがちょっと大変なようですが、土壌でCO2をぐぐっと抑えててくれるパワーを持ってます。

農家ハンターでも、Jクレジットにチャレンジしていきます!

 

米農家に聞く米騒動

 

今、問題になっているコメ騒動について、そして当事者はどう見ているのか、お米農家の内田智也さんが彼の目線でお話をしてくれました。

 

 

 

就農者が減ることについて、意見を求められるシーンもありました。

「集約されていくことが必ずしもマイナスばかりではありません。しかしパイプラインや用水路の管理は自分たち農家だけでは賄いきれない。確かに就農する人が減り、同時に年々作業する人が減っている。継続していくためには人手が必要という側面もあります。」

 

 

害獣対策目線の話もありました。

「害獣による被害があるかないかを考えて作付けするようになりました。とうもろこしはイノシシの大好物ですが、そこが餌場・潜み場になれば周りに迷惑をかけてしまいます。だから被害があるところは、とうもろこしではなく米を作るようにするなど工夫しています。」

 

コメ騒動について、当事者の声を聞くことはなかなか機会がありませんでした。立場・角度によって見方は異なるでしょうし意見はそれぞれありますが、その一つに触れられました。冷静な声を聞く機会となり、ありがたかったです。

 

車座!宴!

 

いわずもがな楽しいのがこの時間、お気に入りのおみやを持って皆さん集まりました。

新メンバーの井手くんは、地元宮崎仕込みのチキン南蛮を作ってきてくれたり、絶品トマトや車海老、おすすめの大学芋など豊富ないろいろが揃いました。
楠田さんによるイノシシのペッパー焼きも好評でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キッチンカーごと来てくれる強者もいました笑

 

 

なんだか大事なことも話されていたように思うのですが、とにかくいろんな人といろんな話がおもしろくて、おいしくて、すみません、大事なところを覚えてません!笑

ただただ、愉快な皆さんがここに集まり、職種や年齢を越えてあーだこーだ未来の話をする、この輪が最高だと思う夜でした。

 

 

 

この記事をシェアする

カテゴリー
アーカイブ