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2025.11.09

写真たっぷり!!戸馳島・秋の収穫祭

秋晴れの青空の下、熊本・戸馳島で行われた、戸馳アイランドワークス プレゼンツ “ 秋の収穫祭 ”。
県内各地からたくさんの家族連れが集まり、島の自然と食をまるごと楽しんだ1日を写真たっぷりでレポートします!

戸馳アイランドワークス主催「秋の収穫祭」

 

🍠まずはソラシドエコファームで芋掘り体験!

島内に2か所ある「ソラシドエコファーム」でスタート。
ソラシドエアの皆さんも前日から来島し、お客様でありながらホスト役としてイベントを盛り上げてくださいました。

 

今回のリーダー・井手くんが、この畑ができるまでの写真を見せながら紹介。

耕作放棄地だった場所を草刈りして、耕して、苗を植えて…
今では立派な芋畑に!子どもたちは食い入るように見ていました

電気柵のこともお伝えしました。子どもたちこれから見つけても触らないようにね!

 

硬い土の下から顔を出す立派なお芋たち。
「わー!出てきたー!」と歓声があがります。

 

誰が一番大きなお芋を掘れるかな?閉会式で発表されます!

 

 

前日、恒例の保育園児と芋掘り大会の予定でしたが雨のため中止に。次の日に親御さんと来てくれた園児さんもいました!

 

お次はぐんぐん歩いて

 

山に入って箱罠を見学します。

 

🐗箱罠を見学!イノシシ役の名演技も

次のプログラムは、山の中に設置された「箱罠」の見学。
初めて見る人も多く、子どもも大人も興味津々!

(普段見れるところに箱罠がないのは設置方法として正解です◎ )

 

「イノシシ役、やってみたい人〜?」と声をかけると、なんと手を挙げたのはソラシドエアの訓練生の方でした。

罠に入るだけではなく、入る前からイノシシになってくれました。

イノシシが乗り移ったかのような迫真の演技に拍手!
さすがソラシドさん、素晴らしい人材がいらっしゃいます。

 

 

🚜働く車に遭遇!道ばたの発見もいっぱい

山から出て、またてくてく。。。。。。

山を出て歩いていると、ガガガーッと音を立てて「働く車」が登場!
草刈り中の大型車両に、子どもたちは「すごーい!」と大興奮。

そんな中、道の端に「たぬきの足跡」も発見!たっちゃんが教えてくれました。

 

歩くこと5分。着いたのは減溶化施設。

ここで紹介したのは、イノシシさんの捕獲から処理までの流れです。
処理が大きな課題で、それを解決するための、イノシシさんをパウダーにするこのマシーンです。
細かいことは、子どもたちにはイメージが湧かなかったかもしれません。笑

 

🐮吉田牧場で黒毛和牛とご対面!

まだまだ歩くよ!

向かった先は吉田牧場さん。大きな大きな黒毛和牛に会えました。

5分ほど歩くと、立派な黒毛和牛が待つ「吉田牧場」に到着。
なかなか近くで見られない大きな牛さんたちです。

出荷を待つ大きな牛さんに子どもたちからは歓声があがりっぱなしです。

なかなかこんなに近くまで入らせていただける牧場はありません。子どもたちの学びのためにと迎えてくださいました。

 

先客がいました。子どものイノシシさんです!

牛さんが「なんだよ誰だよ」という感じであしらっていたのですが、イノシシの方は牛の周りをうろちょろし、時には牛と同じように動いて、自分を牛だと思ってそうでした。その様子がかわいくてかわいくて……

 

牛さんの餌を求めて獣がやってくるので、牧場の周辺ではよく出没します。戸馳島でもその現象が顕著でした。

この子もそうかもしれません。

しかしこの子を受け入れる吉田さんの懐…!!!大きい・・・!!!

 

✈️ドローンによる農業体験も!

大きな牛と無邪気なイノシシを見た後は、大きなドローンを見せてもらいました。島の農家・木村さんがドローンの操縦士です。

農薬を撒くドローン。今回は模擬なので水を撒いてもらいました。

あまり高くからだとうまく農薬がかからないので、稲の数十センチ上を飛ぶのが理想的だそうで、これは技術が必要そうです。

この日は風が強く、まっすぐは飛ばないと苦心されていました。ドローンは有資格者でないとこうして飛ばすことはできません。ラジコン好きな方には向いているかも。

 

お礼を言って、田んぼ道をまーーーっすぐ歩きます。

 

🐐ヤギとふれあう癒しタイム

そして前半最後のアクティビティはヤギ活です!

高くて細いところにのぼるヤギさんを間近で見れる機会はあまりないはず。

歩き疲れた体も癒される、のどかで気持ちのいいひとときでした。

 

 

 

おなかすいたーーーー

の合唱で向かったのは、若宮海水浴場。
11月になったというのに、暑くもあったこの日、浜辺が最高に気持ちよかったです。

 

🍴お昼は浜辺でBBQ!戸馳島の味覚が勢ぞろい

お昼ごはんは、イノシシソーセージとマシュマロのBBQ、焼き芋、竹の飯盒で炊く戸馳島の絶品白米です。車海老も釣れたら食べれるスタイルです。

 

 

 

 

 

 

 

🍤養殖業者が仲間だからできる!車海老釣り

車海老の養殖をする吉本水産のおかげで車海老釣りもできました!!
子どもたちはもちろん夢中、「子ども優先で…」と言ってくれる大人も夢中になりました。

 

 

 

 

もちろん美味100%です(うらやましい)

 

吉本水産にも働きに行っている井手くん。

さすが扱いが手慣れていました。

 

 

竹の飯盒を使ってお米を炊きます。

 

 

ドラム缶でうまく炊けるか!?

ワイルドなメンズが身体を張ってくれました。

15~20分ほどで炊き上がります。お米の甘さがぎゅぎゅっと詰まり、竹の香りも優しくて、絶品でした!

 

 

 

🐟魚のつかみ取り大会で大盛り上がり!

子どもを楽しませるのに全力のオトコ・けんじさんが舞台を作ります

 

 

 

 

最後のプログラムは魚の掴みどり!
浜辺にいけすを作りました(本気度が伝わるでしょう

 

タイ、クロダイ、キス、ガラカブ、ヒラメ、あわび、カニ、そこに追加の車海老。

子どもも大人も本気モード。
砂浜では歓声と笑い声が絶えませんでした。

 

 

 

 

小学生の部、未就学児の部、それぞれみんなどっさり獲りました。

 

その間、(冷静な)大人たちは……

静かにビーチクリーン。
ゴミはそんなになく、根強く生えていた草をとりました。

湘南に負けない、映えなビーチに戻りました!海の綺麗さは負けませんよ♡

 

🏆一番大きなお芋賞の発表!

閉会の最後は、いちばん大きなお芋をとった人に記念品贈呈!

なんと2kg超の一番大きなお芋を掘った、お米農家の息子さんにお米の贈呈という展開!笑

 

 

 

 

そうして終えた収穫祭。皆さんの笑顔を見れば大成功が分かります。

主催は、イノPも入るTOBASEアイランドワークス組合でした。

ソラシドエアの皆さん、ボランティアの皆さん、お疲れ様でした!ありがとうございました✨

 

 

たっくさん歩いて、みんな気持ちよくへとへと。
おいしく楽しく学んで疲れるって最高!!!

次回も楽しみにしています。ぜひご一緒に!!

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

番外編!収穫祭を支えてくれた皆さんの働きをご紹介します。

 

番外編❶  宇土高校のボランティアの皆さん

竹を切ったりお米と水を測って1人ずつ渡せるようにしたり。おかげで竹で炊くご飯のおいしさをみんな知ることができました。

 

みんな掘ったお芋の根っこを切って、持ち帰りやすいように準備してくれました。

 

 

 

番外編❷  ソラシドエアのみなさん

 

前日からおいでくださいました。みっちり芋掘りの予定でしたが雨だったので、これを機にと初めてきた方にプレゼンを。

 

農家ハンターが何をしてきて、今何をしているか。ソラシドエアさんと一緒だと何ができるか改めて宮川さんから話がありました。

 

さて、こちらは竹を切っています。
竹の飯盒、うまくいくか!?一緒に試してくれました。

 

 

 

焼き芋もばっちり。

 

カラスの研究家・板原くんもお手伝いに来てくれましたよ〜

宮崎から大学生も!

 

 

お昼にはジビエソーセージのホットドックと楠田さん特製ジビエのポトフ。そして焼き芋。

優しくてほっこり美味しかった〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

稲葉農園でみかんの収穫をしました。農園主は不在の中、宮川さんが本領発揮!

園芸果樹科卒の宮川さん、説明がさすがで農家みたいでした!笑

 

 

 

高いところは簡単ではありません。雨上がりだったので濡れながらの作業でした。

 

 

 

晴れ間が出て、帰りには山の上のソラシドファームへ。傍に植えた早生桐の成長具合を見てきました。

 

 

そして最後は、戸馳島内にあるソラシドエコファーム2ヶ所に、看板の初お披露目です。

 

島の方に、ここがどんな場所なのかをお伝えするための看板です。井手くんが(むちゃぶりを受け)がんばって設置しました。きっと、ちょっとやそっとじゃ倒れませんよ!

 

 

栗の成長も確認。看板を見て、「草が生い茂ってたところからよくここまできたなぁ」という声が聞こえてきました。

 

さつまいも畑にも看板があります。内容はちょっと違いますので、島に来た方はぜひどちらもご覧くださいね。

 

「何をしているかを分かりやすくする」というのは、ただアピールするだけでなく応援してもらう素地をつくり、巻き込まれてくれる間口をひろげるようなことだなと思います。

そして島に航空業界のこんな人たちが来てると知れるなら、わたしが地元民ならとても嬉しく思うだろうなと思うのです。

 

 

以上、前日の裏話でしたー!

 

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2025.10.17

地域が動く!熊本県・鳥獣被害対策実践塾に見る行政と住民の連携

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。
今回は、熊本県が主催する行政担当者向け研修『鳥獣被害対策実践塾』の第1回の様子をレポートします。

鳥獣被害の実態や対策の基本を知り、各市町村でどのように対策を進め、どのように住民へ働きかけていくか具体的な事例とともに学びを深めるもので、全3回開催されます。


【レポートのポイント】

◆ 行政×地域×農家ハンターの協働
◆ 現場から学ぶ鳥獣被害対策と合意形成
◆ 住民主体で進める地域防除
◆ 江戸から続く、日本の害獣管理の知恵


野生鳥獣による被害の実態と対策の基本

どのような対策が有効なのか、担当者の方も最初は知らないことが多いのが実情です。こうして学びを深めることで地域に知識を渡してくださいます。

えづけSTOP!と合言葉のように言いますが、何が餌付けにつながるのかのイメージが具体的になってきたかと思います。

 

メモを取る方の人数、メモの量は、これまでのセミナーや講座の中で群を抜いていたかもしれません。

東海大学内のホールの広さ、美しさ、映画館サイズのスクリーンに驚きました。。。
みなさんも驚いておられました笑

 

 

 

 

 

行政の担当者の方にとって重要なことは、地域のみなさんとどう足並みを揃えて取り組んでいくかです。
行政が前を走りすぎても、地域に対して非協力的でもうまくいきません。補助金の情報や、経験に基づかない確な対策の方法をこうして学べる機会を得やすいのは行政だからこそです。

どうやって足並みを揃えて取り組めるか、合意形成をしていくかを、これまでの農家ハンターの活動を事例に挙げながら、楠田さんが話しました。

 

涙のトークセッション

登壇されたのは次の皆さんです。

阿蘇市担当者 宮岡さん、阿蘇市山田地区 区長・笹原さん、阿蘇市山田地区 中西さん、
南小国町担当者 麻生さん、前担当者 武田さん、 南小国町 波居原地区 区長・井野さん。

阿蘇市のこれまでの取り組みや南小国町での取り組みは前のブログをご覧ください。

南小国町での取り組み: https://farmer-hunter.com/blog/5481

阿蘇市から南小国町へ視察の様子:https://farmer-hunter.com/blog/5144

阿蘇市での取り組み: 阿蘇市山田地区の取り組み

 

南小国町 波居原地区の取り組み

南小国町 波居原地区の井野区長から、鳥獣対策に取り組み始めたきっかけとして、町の代表者を集めて開催されたセミナーがあったと話されました。

・これまで自分たちがそれぞれ取り組んでいた鳥獣害対策は、間違っていることがたくさんあった。
・地区の皆さんに周知する必要性を感じて、地区でのセミナーを行うよう依頼した。
・イノPが持ってきてくれたジビエの加工品が楽しみで来るきっかけになった人もいた。
・同じ農家で、同じ悩みを持って取り組んできた農家ハンター/イノPだからこそ、自分たちが悩んでいることを理解した上で話してくれた。それが町の皆さんの心に届いたのだと思う。
・その結果、電柵に触れないように草刈りをマメにしたり、見回りの際に電圧を測ったりするようになった。

 

稲葉たっちゃんは、「これまでの活動が地域に届いていた」と、思わず涙ぐんでました🥲

 

阿蘇市 山田地区の取り組み

2年ほど前、阿蘇市で自治会長向けに講演をした際、取り組みたい地区がないか問いかけました。そこで手を挙げたのが山田地区でした。

 

阿蘇市山田地区の笹原区長と農家の中西さんから、阿蘇市山田地区での動きについて紹介がありました。

・前任の区長が「やろう!」と手を挙げてくれていた。
・近年イノシシが川を越えてやってくるようになり、畑での被害も増え、住居の周りに野生動物が出てくるようになり、人的被害を一番心配していた。
・若手のメンバーに相談したところ、やれるだけやってみようという話になった。農家の中でも鳥獣害問題について意識が高まり、狩猟免許取得者が数名いたこともあり、集落をあげて取り組もうという空気ができた。
・南小国町に視察に行き、対策の事例を見せてもらった。
・7月に800mほどの防護柵をイノP指導のもと、みんなで張った。それから2ヶ月、動物には入られていない。

 

 

みんなで取り組む地区の共通点とは?行政と地域が協力できる条件

阿蘇市や南小国町で「みんなでやろう!」と手を挙げた地区には、いくつかの共通点が見えてきました。
それは、被害の深刻さだけでなく、地域のつながりの強さリーダーの存在など、日常の中にある要素が大きく関係しています。

阿蘇市の特徴

集落としてのまとまりがしっかりしている地区が手を挙げる傾向にありました。
さらに、代表者が農家であり、自らが被害を受けている当事者であるかも大きな要因かもしれません。
その危機感が、地域全体の動きを後押ししていました。

また、若手農家が積極的に参加し、リーダーを支える体制があるのも特徴的です。
「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識が芽生え、行動に結びついていました

南小国町の特徴

一方の南小国町では、地域にリーダーシップのある人物がいることが強みでした。
日頃から草刈りや花植え、子ども会などの活動が盛んで、住民同士の信頼関係が深く根付いています。
そのため、新しい取り組みも自然と受け入れられやすく、助け合いの文化が鳥獣害対策にも生きているのかもしれません。

 

共通する成功のポイント

阿蘇市・南小国町の事例を比べると、成功する地区にはいくつかの共通点がありました。

  • 主体性:行政任せにせず、「自分たちの課題」として取り組んでいる。

  • リーダーの存在:信頼される人が中心となり、地区全体を巻き込んでいる。

 

 

実践後、どう変化したか

・阿蘇市山田地区では、800mの電気柵を張った時、みんながみんなやる気があったわけではなかった。しかし各々取り組んでも地域全体での解決につながらない、みんなですれば見回りも分担できるということを説明していき、合意形成ができてきた。
・柵を張る作業はボランティアだったが、今後は日当が出るようにしたい

 

柵を張る場所をどうやって決めたか?

・各集落から候補地を一つずつ出して、役員会でさらに絞り、イノPに相談して決めた。
・被害の大きさや維持管理していける後継者がいるかなどを踏まえて決定した。

 

行政はどのような役割があるか

・市役所、役場、どうにかしてくれという声が多く届く。対策は住民主体であることを丁寧に説明し、ともに学びながら進めていく姿勢を大切にしている
・行政主体になると、「やらされている感」が出てくる。声も届きにくくなる。

 

民間の農家ハンター/イノPや第3者の役割

・行政からだと住民に届きづらい声も、届けることができる。コミュニケーションが円滑になる。
・お酒を交えた交流会で、距離が近くなり話しやすくなることがあった。

 

参加者の方からの質問もありました。

「日頃の集落での活動はどんなふうに生まれているか?鳥獣害対策に行く前の、集落の活動を知りたい。」

・子供会、春と秋の草刈り、老人会、婦人会、花植え、子どもたちのスイカ割り、体験学習など日頃の活動は充実している。
・牧野の維持管理が大変な地域でもある。人と動物の棲み分けが今後ますます課題になる。もともと活動のほかに、野焼きの文化があるので、地域で協力して取り組む風土があったのは結束は強いのではないか

 

今後の抱負

・高齢化が進み、農業に携わる人は減っていく。その中でいかに今の農地を実施していくか、今の地区を維持していくのかという課題に、町といろいろな方々の意見を聞きながら、今後の課題として取り組んでいきたい。

南小国町
・3地区での取り組みを町の優良事例ということで、町内に広げていきたい。

・鳥獣害対策もしながら、農地を守り、儲かる農業をしていくのは本当に難しい課題じゃないかと日々感じている。地域の皆さんと協力しながら農地を維持していきながら、儲かる農業を実践して、若い人たちをいい地域に残していく活動をでやっていこうという思い

阿蘇市
・阿蘇市はどちらかというと、鳥獣害対策は遅れている方。山田地区が成功事例となって、他の地区に波及していければ。

 

 

 

ワークショップ!各地域の事例を聞いて自分の地域で取り入れたいこと

グループを星座の名前で分けてワークショップを行いました。
自分たちの地域で、どんなことを取り入れたいか?

明日から生かせるように、具体的なこと話し合い、シェアする時間でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・モデル地区をつくる
・第3者を交えることで潤滑油をつくる
・住民主体であることを伝えていく
・集落ごとの勉強会を実施

・リーダーとサブリーダーの確保
・農家以外の人も巻き込んで、地域みんなでえづけSTOP!
・共有地という概念
・地域と畑は自分たちで守る!理念を伝える

などが上がりました。

 


東海大学農学教育実習センター長・岡本智伸先生による講演

 

最後のプログラムは、東海大学農学教育実習センター長・岡本智伸先生による講演です。

学生さんも参加されていました。

 

わたしがおもしろかった点を独断と偏見で要点をお裾分けしますね。

・2000年頃は、九州では被害がありつつもそこまで深刻ではなかった。九州は平野部が広いため生息密度が農地に迫っておらず、脅威に感じる必要がなかった。

・被害というのは人間が感じていること。人間が動物にとってどんな環境を作っているのか、行動、活動、考え方が大きな要因になっている。

 

・4つの管理
①生息環境の管理 ②被害防止の管理 ③動物の個体種の管理 ④仕組みの管理

 

・【シカ】阿蘇には牧草地がある。冬でも緑の牧草地があり、そこに入ればシカにとっては餌がたくさん!1ヘクタールあたり冬場に11頭を養えるくらいのものがある。死なない、増えていく、無意識の餌付けになっている。

 

・シカは、ジャンプして餌場に入ると思われているが、ジャンプには怪我の危険が伴うためそんな簡単にしない。通常はツノが邪魔になったとしても、潜れるところを探していく特性がある。動物の特性を知る。

 

・ピンクのテープなどの感覚刺激をつかった防除実験結果・・・餌があれば入ってくる。数日で効果がなくなる。

 

・地域の人のパワーが、野生動物を入れないバリケードのような役割を担っている。

 

・地域を守ることが、自分の農地を守ることにつながる。全体がハッピーにならなければ個々のハッピーにつながらない。

 

 

害獣の管理技術が江戸時代まで発達していた!

・江戸時代は石垣で動物の侵入を防いでいた
・鉄砲は農家に集められていて、捕獲した人への報酬などもあり、対策の中心には農家がいた。

・西洋では、狩猟によって多くの野生動物が絶滅していったが、日本では、野生動物への愛着や信仰、神話などから乱獲に至らなかった。里山に出てきた動物を捕獲するやり方がとられていた。

・西洋が日本の動物の毛皮や羽毛を買い付けるようになり、動物が減る。獣害が起こらなくなる。その後、鳥獣保護法で守られるようになった。

・経済成長が進み、保護も進み数が増え、勢力を拡大していき、1990年代から農業ヤバいな…ということになった。
・日本では約140年間、害獣管理の技術をほとんど使わず、知識が途絶えてしまっている
・放棄地が増え、そこに動物が入ってくる。

 

ということで、農家が鳥獣対策の中心的役割を担うのは、江戸から続く日本における害獣管理のやり方だったのですね!


締めくくりにふさわしい講演で、私自身も多くの学びを得ました。密度の濃い一日、本当にお疲れさまでした💡

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2025.10.06

熊本4Hクラブが戸馳島へ!農家ハンター流・鳥獣害対策の現場を学ぶ

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。

熊本県青年農業者クラブ(通称4Hクラブ)の皆さんが、農家ハンターの拠点・戸馳島を訪れました。若手就農者や行政関係者など、次世代の農業を担う方々が集まり、鳥獣害対策の「い・ろ・は」を現場で学ばれました。

この記事では、学びの様子と農家ハンターが伝えた“実践型の鳥獣害対策”のポイントをレポートします。

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【レポートのポイント】
▶︎ 若手農家と行政が現場で学んだ「リアルな鳥獣害対策」
▶︎ イノシシ対策に欠かせない電気柵と箱罠の正しい運用
▶︎ 残渣処理や耕作放棄地の管理など、日常の工夫が被害防止につながる
▶︎ 命と向き合う現場での“止め刺し”や減溶化施設の実情
▶︎ 地域で維持・管理する体制づくりの大切さ

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農業と鳥獣害対策は切り離せない

参加者は若手農家の方々や、農水課など農業関連の行政担当者。
近年、野生動物による農作物被害は各地で増加しています。農家ハンターでは「農業をする以上、鳥獣害対策はセットで考えること」と伝えています。それほど、鳥獣害は農業と切り離せない課題になっているのです。

実際、三角町ではかつて捕獲数ゼロだったイノシシが、わずか4年で1000頭獲れるようになりました。「うちは関係ない」と思っていた地域でも、予防のための知識が欠かせません。


無意識の“餌付け”を防ぐ|残渣処理と耕作放棄地の管理

残渣の処理

収穫後の残渣を防護柵の外に捨てると、イノシシやシカを呼び寄せてしまう原因になります。味を覚えた動物は、どうにかして畑に侵入しようとします。さらに食べ物が豊富になると、動物の栄養状態が良くなり、飢えずに越冬して数が増えることも。無意識の餌付けをしないことが第一歩です。

耕作放棄地の管理

イノシシは体を隠せる場所を好みます。草が茂った放棄地は、格好の潜み場です。地域で定期的な草刈りを計画し「隠れ場」をなくし、とどまりにくい環境を整えましょう。

 


イノシシは学ぶ動物|電気柵の正しい使い方

イノシシやシカは非常に学習能力が高い動物です。
光・音・匂いなどを利用した忌避グッズもありますが、次第に「怖くない」と学習してしまいます。

一方、その学習能力を逆手に取った対策が電気柵です。「痛い!怖い!」と体験することで避けるようになります。
ただし、昼間に電気を切っていたり、電圧が弱い状態が続くと「怖くない」と覚えてしまいます。

→電気柵は“常に適正な電圧で通電”させること、そして“設置後の管理”が何より大切です。


ソラシドエコファームで学ぶ電気柵体験

戸馳島にある「ソラシドエコファーム」では、ソラシドエアさんと協働して電気柵を学ぶ体験研修が行われました。

この日測定したところ、なんと8000ボルト!
葉っぱで電気を感じたり、手で触れてみる参加者もいて、現場はヒヤヒヤと笑いに包まれました(※真似はしないでください😅)。

畑と道路の段差がある箇所では、通常より1段多い3段電線を設置。

一方で、芋の葉が電線に触れる部分もあり、「電気柵と作物は50cm以上離す」という基本ルールを再確認しました。(NG例もしっかりここでお伝えします♡)


箱罠の運用を学ぶ|Q&Aで現場の疑問を解決

箱罠の前では質問が飛び交いました。

  • Q:エサはどのくらいの頻度で入れる?
    → 食べ具合を見て判断します。週1回程度は見に来ます。

  • Q:両開きと片開き、どちらが良い?
    → 両開きだと落ちるのにタイムダグがあるため片開きを採用しています。

  • Q:罠カメラの電池は?
    → スマホで確認。頻度は使用状況によります。

  • Q:この箱罠で年にどのくらい獲れる?
    → 2回ほど。

  • Q:エサを食い逃げされることは?
    → ある。罠の外から食べたりトリガーの周りだけ食べることもあります。

現場での工夫が細部に光る内容でした。

かたつむりを乗っける古石さんチラリ

箱罠のそば・田んぼの横にイノシシさんの足跡発見!


地域全体で取り組む鳥獣害対策

柵を設置しただけでは終わりではありません。
重要なのは「どう維持・管理するか」を地域で話し合うこと。
地域ぐるみで取り組むことで、対策が“絆を深める活動”にもなります。

 


命と向き合う現場|止め刺しと減溶化施設

農家ハンターでは、なるべく動物に恐怖や痛みを与えないよう「電気止め刺し機」を使うことが多いです。
ただし、止め刺しの現場は精神的な負担が大きく、「空気銃による止め刺し」が最もストレスが少ない方法とされています(ただし免許・コストの問題あり)。

また、イノシシを粉末化する減溶化施設は、鳥獣害に悩む地域にとっての救世主。
処理コストはかかりますが、埋設するより労力も軽減できます。灯油45リットルと電力を使うことから、まとめて効率的に稼働させています。

「命を無駄にしない」という理念は、肉としてではなく別の方法で形にしています。

 

ジビエファームにも来てもらいました。

 

 

 


参加者の声とまとめ

4Hクラブのこの会代表の古石さんは、

「鳥獣害対策は身近にあると思っていたけれど、知らないことがたくさんあり驚きました」

と感想を述べられていました。

三角・戸馳島は、農家ハンターの鳥獣害対策ノウハウが詰まったモデル地区のようになっています。

暑い中、大変お疲れさまでした!

 

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2025.09.25

農政局インターン生が学ぶ、鳥獣害対策の現場

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。

2025年9月、九州農政局でインターン中の大学生が農家ハンターに研修に来られました。現地でインターン生が学んだ有害鳥獣対策の取り組みをレポートします。

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【レポートのポイント】
▶︎農家ハンターの活動紹介
▶︎ICTを活用した箱罠の工夫
▶︎減溶化施設の役割
▶︎捕獲や処理に伴う負担について
▶︎元耕作放棄地で学ぶ電気柵の実習

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イノP/農家ハンターの活動

地域の有害鳥獣対策における課題は何か。

農家ハンターは2016年から活動を始め、試行錯誤の中で得た知見を活かし、同じ悩みを抱える地域での対策にもつなげています。現在はセミナーや研修を通じて、その取り組みを広く共有しています。

 

 

 

 

ICTを活用した箱罠とイノシシ対策

 

箱罠を初めて見たというインターン生のお二人。

箱罠の工夫や、箱罠を選ぶ理由、たっちゃんがICTの導入が、農業を営む鳥獣害対策従事者にいかに重要かなどが伝わったかと思います。

箱罠を初めて設置してから、半年以上1頭も捕獲できなかった経験も、ICTを導入することで相手(イノシシさん)を知り対策するという流れへと繋がりました。困ったり苦労した経験は、他の地域での対策にも活きています。

 

エサの種類について、箱罠のつくりなど質問がありました。

イノPでは、エサに米ぬかを入れることが多いです。理由はコストが抑えられるから。
他に、その地で獲れるものを置くところが多いです。みかんの産地ならみかん、梨の産地なら今頃なりが転がっているでしょう。

 

 

 

減容化施設で学ぶ捕獲後の処理

イノシシさんを、5時間でまるごとパウダーにする減溶化施設へ。

 

処理の方法として、捕獲して止め刺しした後に、捕獲した場所で1m以上の深さの穴を掘って埋めると定められていますが、機械も入れないような場所に置く罠で、手作業で掘るのは容易ではありません。そのため、土をただかけるだけにとどまるケースが多い実情です。

そこで、この減溶化施設が希望の光なのです。

 

 

 

 

感じる負担は誰のもの?

捕獲する人のケアについても話がありました。

止め刺しには、精神的に大きな負担を伴います。肉体的にも簡単ではありません。

他にも上記の通り、処理も肉体的な負担が大きいです。

 

負担を個人の問題にせず、軽減する仕組みをつくることは担い手を増やす上でも不可欠です。

地域をまわると、見回りが時間的に負担だという声があります。
箱罠を設置する有資格者は見回りやエサの用意等の役割を担うのが自然のようですが、地域のためにやっていることですので、地域で分担することで特定の誰かに負担が集中しない体制を整えることが重要です。
資格のない人も見回りをしたり、エサを用意できますので、地域一丸となってチームワークで取り組むことの大切さを、セミナー等ではいつも伝えています。

 

 

減溶化施設の前に置いてあった堆肥、新品のものが破られていました。イノシシさんがスンスンしたようです。

 

元耕作放棄地で学ぶ電気柵の実習

 

耕作放棄地だった畑を復活させたエコファームに行きました。

 

 

 

草刈りが追いつかない場所は、葉っぱが当たっていました。
これで漏電し、通電が悪くなっていきます。「皆さん、ここに気をつけてね!」のサンプルです。セミナーでも必ず伝える注意点です。

 

ここでは部分的に電線が編み込んであるタイプの防草シートを活用しています。幅が60cmのものと80cmのものがあります。どちらも使っていますが、80cmの方がより使いやすいという意見がありました。

 

電線の結び方にもコツが。ただ結ぶだけでなく、少し遊びを持たせ、カバーを少し剥いでくくりつけるのが◎です。

 

一生懸命守ったさつまいもは、元気に葉が伸びていました。土の下で美味しいお芋が育っているんでしょうね〜!

 

インターン生の視察はこれで全日程。質問をしたり熱心にメモをとったりする姿が印象的でした。今回の研修で得た知識が、今後農業に関わる仕事の中で活かされることを願っています。

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2025.09.03

八代工業高校で鳥獣対策授業を実施|熊本県の狩猟PR事業レポート

農家ハンター応援団フォトライターの髙木あゆみです。
2025年9月、熊本県八代工業高校で行われた「鳥獣対策の授業」に同行しました。これは熊本県の狩猟PR事業の一環です。その様子をレポートします。

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【レポートのポイント】
▶︎八代工業高校での活動
▶︎国鳥・キジを解き放て!
▶︎罠に触れる
▶︎銃に触れる

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八代工業高校で授業が行われた理由

これまで農業高校や家政科のある学校での授業はありましたが、工業高校での実施は初めてでした。
八代工業高校では、機械科に「ハンター班」があり、高校生のジビエ料理対決「ジビエ甲子園」にも出場経験があります。罠の設計や情報科で鳥獣対策アプリの開発に取り組むなど、鳥獣対策に積極的な学校です。

 

八代の山でキジを放鳥

当日は、人吉から雉職人がキジを連れて来られました。
みんなで八代の山へ放鳥しました。
鳥獣害対策は、数の増えた動物や人間生活に害のある動物を減らすことだけでなく、数の少なくなった動物を増やすための取り組みも行います。

生徒たちは初めてキジに触れ、自然の中に飛び立つ姿を見て、野生動物と人との関わりについて考えるきっかけを得たように思います。

 

 

 

JICAの2人も一緒に!

 

 

 

 

 

箱罠の仕組みを学ぶ

授業ではまず、実際の箱罠に触れて仕組みを学びました。

  • 床の素材:水や土に触れて錆びやすいため、メッキ加工が施されています。

  • 構造の強度:イノシシが助走をつけてぶつかる前後部分は強く作られ、側面は比較的弱い構造。これは動物の行動特性に合わせた工夫です。

生徒たちは「イノシシの力で罠が変形することがある」という説明に少し驚いたような表情をしていました。

 

 

 

 

くくり罠の特徴と注意点

次に紹介されたのは「くくり罠」です。シカはくくり罠での捕獲が中心ですが、頭脳派のイノシシにも効果的です。

捕獲された場合は箱罠よりも注意が必要です。

  • 足を怪我したり切断して逃げてしまうリスクがある

  • 可動範囲が広いため止め刺しの際に危険が伴う

  • 匂いに敏感なイノシシは、新しいものへの警戒心が強く、新品の臭いを察知して避けることがあるため、水に漬けたり土をかぶせて設置する工夫が必要

設置場所がわかりにくく、人が誤って踏んでしまう危険性もあります。冷静になれば仕組みを理解して外せますので、万が一かかることがあってもパニックにならないようにしましょうね!

 

くくり罠のワイヤーを動物が噛んで切ることもあるか?と質問がありました。

威力の強いイノシシさんですが、噛んでワイヤーがちぎれることはありません。でも長く使い、ひっぱりすぎて何かの拍子で切れることはあるかもしれませんので、メンテナンスの際はチェックしてくださいね。

 

 

 

猟銃を触る!

授業の後半では、農家ハンターの稲葉たつやさんによる鳥獣対策の基本講座が行われました。


それから、狩猟免許がなければ触ることのできない猟銃に、生徒たちは実際に触れる貴重な体験をしました。安全のため、弾は出ない体験モデルですが、それ以外は本物と同じものです。

なかなか質問の手は挙がりにくいものの、狩猟に関わる活動を行っている生徒たちは真剣に話を聞き、メモを取りながら学んでいました。

 

 

 

 

 

狩猟免許を取得する意欲のある生徒の皆さんでした。次世代を担う高校生たちが知識を身につけることは、未来の農業や地域づくりに直結します。

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