農家ハンター応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
2025年2月、彼らの現場で見て感じた事をレポートさせていただきます。
阿蘇市山田地区 効果的な柵の張り方
阿蘇市の山田地区で鳥獣被害対策のマップづくりが行われました。
の前に、みなさん外の集まっておられたので柵の講習を。
実際の現場で、金網柵はこの土地のどこに張ればいいのか?質問を交えながら説明しました。
畑のすぐ横がコンクリートだったら、電気柵はコンクリートぎりぎりに張る?それとも少しコンクリートから距離をとる?
電気柵に関していえば、じつはコンクリートの上にイノシシさんの足がある状態で鼻が電気柵に当たっても、あまり痛さは感じません。土の上に足があるほうが通電しますので効果があります。なので、コンクリート部分から少し距離を空けて電気柵を張るのが◎となります。
それでもコンクリートがすぐそばに張らなければならないときは防草シートに電線が編み込まれた通電シートを活用するなど、場所場所によって選んでいければ最小限のコストで効果を上げていけるかもしれません。
効率よく効果を高めるためには知識が必要です。時には、今までやっていたことから変更したほうがいい場合もあります。「この場合はどうだろう?」と考えながら、どこにどんな柵をするかを決めていけるといいですね。
また、管理のしやすさも重要です。管理のしやすさは効果に通ずる!ということで、”鳥獣対策ありきの管理しやすい畑づくり” にシフトしていくことが必要になってくるでしょう。
・一昨年まではイノシシは出てこなかったけど今は昼間も堂々を歩いている
・家庭菜園も荒らされるからもう作らない。
・電気を流しておかないと、電線が切れるようになる。
こんな声が聞かれました。
マップづくりは鳥獣被害対策に強い地域づくり
さて、この日メインのプログラムはマップづくりです。
これまでブログでも何度かご紹介してきた、鳥獣被害対策マップづくり。
その地域でどこに動物が出て被害が出ているか、対策はどうかを地図に落とし込んでいきます。
鹿、イノシシ、小動物、どんな動物がどこから来ているか想像できます。対して対策はどこでどうしているか地図に記すことで現場を俯瞰してみることができるようになるというものです。また、対策をどうするかを集落全体で考えていくことができるのです。
そしてさらにプライスレスな成果が、「集落みんなで共通の理解を意識を持てる」ということ。鳥獣対策は一人が万全にやっていても、動物は隣の畑に行くだけなので集落での効果にはつながりません。一人でやれることではなく協力して取り組むことですから、みんなで「うちの地区はこんな感じなんだね」と理解できれば次の一歩にもつながりやすいもの。
お昼ご飯にしし汁とおにぎり、ぜんざいが振る舞われました!お願いしたのはまるかけキッチンの橋田さんと橋本さん。前日から仕込んでつくってくれました。地区の女性陣もおいしいおにぎりを作ってくれました。
おいしいものが真ん中にあると心の距離が縮まります♪
たっちゃんは、美味しいものをみんなで前にして、「やることはたくさんあって、対策までするのは大変。鳥獣対策はマイナスのように感じるけど、イノシシや鹿を通じてわいわいやることをプラスの捉えて取り組んでもらえたら」と話しました。
「地域で鳥獣対策しよう!」と英断した区長さん(前の区長さんも)。その昔、イノシシをヘッドロックで捕まえたそうです。
あ市長さんも顔を出されました。
今回、たくさんの声を聞くことができました。ご紹介します。
・自分たちのところが動物から守れたら、次は別の地域に行くのではないか。町全体、県全体、国全体で対策しないといけないのではないか。
・今は農作物の心配だけど自分は人的被害が出るのを一番危惧している。
・Google Mapとの連携で、ITを使って対策できそう
・守ってばかりではラチがあかないのではないか。特に鹿は獲っていくことも考えないと。
熊本県及び阿蘇市の行政の職員さん
・阿蘇市全体に声をかけて、手を挙げたのが山田地区。ここがモデル地区になれば他地区も動くかもしれない。みんなで気持ち一つにやっていきましょう
・みんなで勉強して柵を張らないと効果がうすい。張って終わりにならないようやっていきましょう
・市から「ああしてくれ」「こうしてくれ」とは言えない。だけど「こうしたい」ということにはサポートができるのでどんどん声を挙げてほしい。
捕獲についての話では、「守りを固めていくと、次は母数を減らすために獲るということになっていきます」と楠田さん。これも地域で取り組むことです。捕獲で一番大変なのは止め刺しとその後の処理です。ジビエコンソーシアムが止め刺しの講習会をやっています。熊本は対策のための罠の講習やなどが充実しているそうです。
山田地区100世帯ほどあるそうですが、うち20世帯がおいでになりました。すごい!
稲葉たっちゃんと楠田さんは今回の講習に手応えを感じたようでした。マップづくりに至るまでがなかなか難しいことを他の地域で感じています。マップづくりは一人ですることではないですから、これは地域で課題意識を持てていることの表れです。また、住民の方の声にあったように、自分たちの町を守れたらそれでいいということではなく「みんなですること」という意識もまた日本各地で抱えるこの課題に挑むための鍵でもあります。